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読売巨人軍のビッグデータを活用するアプリ開発、「ジャイアンツハッカソン」開催
(2016/3/22 12:57)
映画「マネーボール」でも描かれたように、スポーツにおいてデータ分析の潮流がある。そんな中、プロ野球の読売ジャイアンツ関連のデータをもとにアプリケーションを開発するイベント「ジャイアンツハッカソン」が、日本アイ・ビー・エム株式会社(IBM)と、インキュベーション企業の株式会社サムライインキュベートにより開催される。
開発プラットフォームはIBMのPaaS「Bluemix」。スポーツデータの解析・配信企業であるデータスタジアム株式会社により、「ジャイアンツ等のプロ野球公式戦における1球、1打席、1試合ごとのデータ(5年分)」「試合出場選手のプロフィールデータ」「ジャイアンツ等のプロ野球公式戦における試合の戦評」の3種類のデータが用意される。なお、データはBluemixのAPIとして提供され、持ち出し禁止となる。
すでにチーム単位で応募した中から12チームが選ばれている。その参加チームに向けて、3月19日に事前説明会が開催された。
提供されるデータについては、データスタジアムの金澤慧氏が説明した。
試合データは、打席入り前の情報と、一球ごとの結果情報、打撃結果を組み合わせて収集される。これにより、1球ごとや1打席ごとなどに、状況やプレイ内容のさまざまなデータがそろっている。なお、データスタジアムは、いくつかのサイトで「一球速報」などを提供している。
1球ごとのデータから分かることの例として、金澤氏はホットゾーンの分析を挙げた。内角外角・高め低め・投手の右投げ左投げなどを組み合わせて、打者の得意不得意を分析するものだ。
データスタジアムが提供する試合データ、プロフィールデータ、戦評のほかに、ジャイアンツからも関連データが提供される。読売新聞グループ本社の栗山倫子氏(システム企画部)は、提供されるデータである「読売巨人軍の選手画像」「グッズの販売実績」「読売巨人軍公式ファンクラブ(GIANTS CLUB G-PO)のデータ」「2015年の公式サイトのアクセス数」について説明した。
参考として、IBMとデータスタジアムのそれぞれから、スポーツのデータを利用する実例も紹介された。
IBMではスポーツビジネスへの取り組みを、ファンを引き付ける「ファンのエンゲージメント」、プレイを強化する「チームのパフォーマンス」、会場での情報提供や混雑回避などの効率化の「スタジアム・アリーナの最適化」の3つに分類。サッカーでTwitter上のファンの声を生かす例や、バスケットボールチームの分析ルームの例、スタジアム内で場所情報やリプレイ動画を提供するアプリの例などを紹介した。
また、データスタジアムでは、一球速報やTV中継向けのデータ提供、ゲーム向けの選手パラメータ提供にはじまり、シミュレーションによりゲーム展開のタイプを予測する「みどころ予報」や、次に投げる球種や打席結果を予測する「打席予測・得点予報」、スタジアムのWi-Fiサービスでリプレイ動画やデータを提供するサービス、スタジアムビジョンにデータを表示するサービス、映像のトラッキングによりフォームの変化を分析する例などを紹介した。
そのほか、読売新聞の栗山氏も「スタジアムに来た熱心なファンだけでなく、それほど野球ファンでなくてもスタジアムに来た人が楽しめるものや、野球ファンが居酒屋で盛り上がれるもの、野球少年が選手データを見るものなどもあっていい」と、幅広いアイデアを求めた。
事前説明会では、「選手画像はどのようなものがあるか」「××を使ってよいか」「成果物の著作権は?」など、参加者から活発な質問が飛んだ。その他、運営側やほかのチームとの情報交換、資料などは、Facebookのクローズドなグループに集約される。
ハッカソンの本番は4月9~10日に開催。そのファイナリストによる決勝戦「DemoDay」が4月27日に行われる。