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富士通、ニフティ株の公開買い付けを実施、完全子会社化へ

 富士通株式会社は、28日に開催された取締役会で、ニフティ株式会社の全普通株式を公開買い付けにより取得することを決議した。買い付け価格は1株1495円。公開買い付けの開始公告日は5月2日で、6月15日までの間に760万9965株の買い付けを行う予定。

 富士通では現在、ニフティ株の66.59%となる1517万株を保有し、連結子会社化している。今回、公開買い付けを実施してニフティを完全子会社化する。28日に開かれたニフティの取締役会でも賛同を得ているという。

 ニフティは現在、東証第2部に上場しているが、富士通は公開買い付けの上限を設けず、ニフティが保有する自己株式を除いたすべての株式を買い付ける方針。その後、ニフティは上場廃止となる見通し。なお、ニフティ株の28日の終値は1063円だった。

 今回の公開買い付けにより、富士通がニフティ株の90%以上を保有した場合は、特別支配株主としての権利行使が可能となるため、公開買い付けに応じなかった株主に対して株式売渡請求を行う予定とのこと。

 富士通では、IoTが進化する市場でグローバルにおける競争力を高めるため、「テクノロジーソリューション」に経営資源を集中、すべてがつながるサービスを市場に提供する経営方針を2015年10月に打ち出しており、今回のニフティ完全子会社化はその一環と表明している。

 ニフティは1986年に日商岩井株式会社と富士通の共同出資で設立され、パソコン通信サービスを開始。1999年3月に富士通が日商岩井の保有株式を譲り受け、いったんは完全子会社化となった。その後、2006年に東証2部に上場、株式の公募売り出しにより連結子会社化されていた。

 2015年12月に富士通はニフティに対し、それぞれの特性に合った戦略を迅速に実行していくため、今後はクラウドを中心とするエンタープライズ向け事業と、コンシューマー向け事業の2つに会社を分割することを提案。それには完全子会社化による一体的な事業運営が欠かせないとして、今回の決定に至ったという。

(岩崎 宰守)