Windows XPはいつまで入手可能? Windows OSのダウングレード権を確認しよう


コマーシャルWindows本部 シニアエグゼクティブプロダクトマネージャの細井智氏

 マイクロソフト株式会社は12日、Windows OSのダウングレード権に関する説明会を開催。コマーシャルWindows本部 シニアエグゼクティブプロダクトマネージャの細井智氏が、古いOSへのダウングレード権について、詳細を説明した。

 ここ最近、Windows XPのプリインストールPC販売終了の発表が、PCメーカーを始めとするOEMベンダーから、相次いで行われている。しかし実は、本来のWindows XPプリインストール販売は、2008年6月30日に終了しているのだという。

 今もまだ、OEMベンダーからのプリインストールモデルを購入することはできるが、実はそれらは、Windows 7からのダウングレード権を利用したもので、2010年10月22日には、それも含めて、プリインストールモデルの提供が終了する。最近の発表は、この仕組みが利用できなくなることをユーザーに知らせるもの、というわけだ。

 厳密には、10月22日にはメーカーからの工場出荷が終了する、ということであるため、その後もしばらくは入手可能ではあるのだが、いつまでも市場に在庫が存在する、というわけにはいかない。従って、企業がWindows XPのPCを新規で入手するためには、別の方法を考えていかねばならないのである。


本来の意味でのWindows XPプリインストールPCの販売はすでに終了しており、現在は、Windows 7からのダウングレード権を利用して販売が継続されているしかし、10月22日にはそれも終了してしまうため、ユーザー側でダウングレード権を行使する必要が生じてくる

OSのダウングレード権

Windowsのダウングレード権
OEM版/DSP版 Windows 7 Professionalの特例

 マイクロソフトでは、特定バージョンのOSの販売が終了した後も、ユーザーからの要求に応えるため、OSのダウングレードについて、いくつかの選択肢を用意している。同一エディション(一部例外あり)、同一言語という制約はあるものの、ユーザー(企業含む)自らがダウングレード権を行使し、PCに古いOSをインストールすることは、10月22日以降も可能なのだ。

 その1つ目の手段は、主に企業向けに提供されている「ボリュームライセンスプログラム」を利用する方法。このプログラムでは、過去すべてのOSバージョンへのダウングレードが認められている。つまり、「極論をいえば、(サポートが終了している)Windows 95についても利用権利がある」(細井氏)のだという。

 また2つ目は、OEM版/DSP版のWindows Professional(Ultimate含む)からのダウングレードで、こちらの場合は、最新版の1つ前までのOSへダウングレードできる。ただしWindows 7では、特例として2つ前のWindows XPへのダウングレードが、期間限定が認められた。

 この期間は、当初は「Windows 7出荷後18カ月またはWindows 7 SP1提供のどちらか早い方」とされていたのだが、7月13日に「OEM版Windows 7の提供が終了するまで」に変更されている。最終的な提供終了時期について、細井氏は「現段階では未定」とするが、目安としては、OEMベンダーは最新OS提供から最長2年間提供されるので、「次期Windows提供後2年間は、ダウンロード権が付いたものが販売されるのではないか」という。

インストールに利用できるメディアに注意

ダウングレードメディアの取得方法

 このように、プリインストールにこだわらなければ、Windows XPは今後もかなり長い期間にわたって入手できるのだが、注意しなければならないのは、インストールする際のメディアについてだ。

 ダウングレード権を使って過去のOSをインストールするためには、メディアについてもそのユーザーが保持している必要があり、借りたメディアを使ってのインストールは認められていない(ユーザー自身が正規ライセンスとメディアを保持しているのであれば、ユーザーの求めに応じて、SIerなどが代行インストールを行うことは認められている)。

 メディアは、1)PCメーカーより出荷されたPCに添付されていたバックアップメディア・ダウングレード用メディア、2)パッケージ版メディア、3)ボリュームライセンスメディア、のいずれかを使用できるため、一見、利用できる範囲は広そうに見える。社内には1つくらい、こうしたメディアは残っているかもしれない。

 しかし細井氏によれば、1)の場合、「メーカーAのメディアを、メーカーBのPCのインストールで利用するのは(マイクロソフトの)ライセンス的にはOKだが、(インストールしようとするPC側の)BIOSロックなど、技術的な制約のためにできないかもしれない」とする。

 また2)では、ダウングレードに使う正規のライセンスを持っているのであれば、アクティベート済みの(他のPCにインストールされている)Windows XPのパッケージであっても、インストールに用いることはできる。ただし、すでにアクティベート済みであるから、オンライン認証では必ずはじかれてしまうので、電話によるキーの発行依頼を逐一行う必要がある。

 1000台分のDSP/OEMライセンスをダウングレードする、といったケースで、Windows XPパッケージのメディア1つを使ってインストールするのは、ライセンス条項的には可能なものの、毎回毎回電話で認証をしてもらうのは現実的ではない。また、Windows XPのパッケージ版販売はすでに終了しているため、すでに持っているのでなければ、入手は困難である。

 従って、多数のPCを展開する企業の場合は、3)を用いるのが現実的とした。中小規模向けのオープンライセンスでは、最低1ライセンスのクライアントWindowsライセンスを購入していれば、ボリュームライセンスサービスセンター(VLSC)からダウンロードでき、ライセンス認証専用窓口でキーの発行を受けられる。また、中・大規模向けのSelect/EA契約であれば、ボリュームライセンスでのクライアントWindowsライセンスの購入すら不要(もちろん、ダウングレードするOSのライセンスは必要)。展開もスムーズに行えるのだ。

 古いアプリケーションへの対応のため、Windows XPが必要になる、という企業はまだまだこれからもあるだろう。急に必要になって慌てないように、ダウングレード手段やメディアの確認を、前もって行ってみてはいかがだろうか。


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(石井 一志)

2010/10/13 11:51