ジャストが低価格ネットリサーチ事業に参入、1問1サンプル回収が一律10円


株式会社ジャストシステムの福良伴昭代表取締役社長

 株式会社ジャストシステムは3日、インターネットを利用してアンケート調査を行える法人向けのネットリサーチサービス「Fastask」の提供を開始した。利用料金は、1問1サンプル回収につき一律10円だが、最低利用価格が1万円となっている(価格はすべて税別)。

 Fastaskは、クラウド化とセルフ方式を徹底化するというコンセプトでサービスを開発した。アンケートの設計やアンケートページの作成、見積もり、結果の集計・分析・レポートまでを、ユーザー企業自身がオンラインで行えるようにしたことで、低価格と所用時間の短縮を実現したとしている。

 アンケートページは、ワープロなどであらかじめ書いておいた設問・選択肢の原稿を、Fastask上のウィザードに従って入力することで作成していく。設問形式はシングルアンサー、マルチアンサー、フリーなど8形式から選択可能。設問の分岐や、選択肢の引き継ぎ(パイピング)にも対応しており、HTMLの知識は不要だ。作成したアンケートページは、プレビュー機能によって自身でロジックチェックなどを行える。1カ月間無料でアンケート作成機能を試せるトライアルも提供している。


アンケート作成画面アンケート設問編集画面

 アンケートの完成後、調査対象とするモニター属性を指定し、回収目標サンプル数を入力すれば、アンケートを実施した際に発生する簡易見積もり金額が提示される。なお、実際にアンケートを実施する前に、Fastask事務局において簡易的なロジックチェックが行われるほか、公序良俗に反する内容のアンケートは差し止められる。

アンケート回収目標サンプル数の割り当て画面

アンケート回収状況の確認画面

 アンケート結果データは、Fastaskのサイトからダウンロードした上で、ユーザーにダウンロード提供されるWindows 7/Vista/XP対応ソフト「fXross」を使って単純集計やクロス集計を行う。Excel形式ファイルで表やグラフとして出力されるため、プレゼンテーション資料などに簡単に活用できる。

集計ソフト「fXross」クロス集計の出力例

 調査対象となるモニターは、ジャストシステム製品の登録ユーザーのほか、大手ネットリサーチのモニター登録者・経験者から公募し、現時点で約60万人を組織化。インターネットやスマートフォンを利用するシニア層もカバーしているのが特徴という。

 料金は、本調査のほか、調査対象を抽出するためのスクリーニング調査の料金が必要となる場合がある。性別、年齢、職業、居住地、子供の有無、未既婚の属性については基本機能として無料だが、これら以外の属性で抽出する場合は、スクリーニング調査の料金が2000サンプル回収につき一律1万円かかる。

 例えば、スクリーニング調査で1万サンプルを回収し、15問の本調査で300サンプルを回収する場合は合計9万5000円。ジャストシステムでは、従来のネットリサーチの3分の1から、場合によっては5分の1の料金で済むとしている。なお、アンケート回答者にはポイントが付与されるが、アンケート実施企業側で謝礼額を用意する必要はなく、Fastaskの料金だけでアンケートを実施できる。

 Fastaskではこうした低価格の料金設定に加え、質問文パターンのリスト化などアンケートのノウハウなども利用者に提供していくことで、ネットリサーチ市場の裾野を拡大したい考え。さらに今後は、例えば設問の意図を入力するだけで設問文を自動作成できる機能など、アンケート設計・製作や結果の分析・解析プロセスにおいてジャストシステムが保有する日本語解析技術を活用した機能を提供していくとしている。

2012年の第2フェイズで導入予定の機能では日本語処理技術を活用。さらに所用時間を短縮するとしている価格の比較例

 ジャストシステムの福良伴昭代表取締役社長は、「ジャストシステムがネットリサーチ事業ということで意外に思われるかもしれないが、これまで培ってきた使いやすいソフトウェアの開発力、さらに日本語処理技術やドキュメント処理技術を存分に生かすことができる。企業の規模や業種を問わず手軽に使えるサービスとして、潜在ニーズがある」として、ネットリサーチ市場でのシェア獲得に意欲を示した。


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(永沢 茂)

2011/10/3 17:25