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釣り記事NG、NAVERまとめがインセンティブ制度刷新で「量から質へ」

 NHN Japan株式会社は5日、特定のテーマに沿ったリンクや画像、動画などを集約して“まとめページ”を作るサービス「NAVERまとめ」において、広告収益をユーザーに還元するインセンティブプログラムを刷新すると発表した。まとめページの評価をアクセスの「量」のみで判断せず、「質」を重視した評価軸を追加するという。

まとめの内容と流入元の「質」を重視

 2010年11月にスタートした現行のインセンティブプログラムは、NAVERまとめ上に掲載された広告による収益を原資とし、ユーザーが獲得したまとめページへの「ポイント」の総数に応じて分配金額が決まる仕組み。ポイントはアクセス数をもとに、独自の指標で算出している。

 2013年1月から運用開始する新インセンティブプログラムでは、閲覧者の流入元や滞在時間を評価ロジックに反映。TwitterやFacebookなど外部のSNSからの流入や適正な滞在時間を「質の高いアクセス」と定義し、同じ1アクセスでもこれまで以上にポイントを増やす。一方、NAVERまとめ内からの流入や、短すぎる滞在時間のアクセスは、従来よりも付与するポイントを減らす。

 また、以下に類するまとめページをインセンティブの対象外とすることを明示した。

・アイテム数が少なく「まとめ」とはいえないもの
・アイテム数が膨大で選別や取捨選択がされていないもの
・NAVERまとめのまとめ
・1つのサイトやサービスからの転載だけで構成されているもの
・検索結果と代わり映えがない
・まとめのタイトルと中身に不一致があるもの

 さらに、アカウント停止が検討されるケースも明文化した。該当するのは、コメント欄を使用したまとめの宣伝活動、商用利用、特定サイトへの誘導を目的とする行為、1つの情報ソースを細切れにしただけの転載、情報ソースの全文コピー、タイトルと中身の著しい不一致があるまとめ。

 NAVERまとめはインセンティブプログラムが奏効し、10月末時点の月間ページビューは前年同期比479%増の8億1700万PV、訪問者数は同272%増の3300万人と順調に推移。インセンティブについては、過去最高で月間60万円を獲得したユーザーがいるという。そうした中、インセンティブを増やすことだけに終始したまとめ記事や、商用目的のまとめ記事が増えてきたと、NHN Japan執行役員の島村武志氏は語る。

 「ごく一部のユーザーの中には、いわゆる釣り記事で中身はリンク1個だけのまとめを作ってアクセスを稼いだり、ボットを使って1日に1000本以上のまとめを作るなど、内容よりも小手先でアクセスを稼ぐ人がいる。実際にテクニック勝ちしているシーンもあるが、今後はよりアクセスの『質』を加味できる評価にしていく。」

NHN Japan執行役員の島村武志氏

「量」ではなく「質」を問う段階に

 優秀なまとめ作成者を支援する「まとめ奨励金制度」も刷新する。同制度は、作成したまとめの月間ポイント数が6カ月連続で1万を超えたユーザーを「レギュラー」と定義し、分配額を1ポイント=0.7円とする。また、過去にまとめ作成経験がなく、まとめの月間ポイントが1万を超えたユーザーを「ルーキー」と定義し、1ポイント=0.4円としている。一般のユーザーは1ポイント=0.2円となっている。

 2月1日以降、まとめ奨励金制度の「トピックピッカー奨励制度」ではルーキーとレギュラーを統合して再編。その上で、審査対象月以降における、新規作成まとめのみの月間ポイント数で自己ベストを更新した場合は1ポイント=1.0円、新規作成まとめのみの月間ポイント数が1万ポイントを超えた場合は0.5円、それに満たなかった場合は0.2円となる。

 トピックピッカー奨励制度の奨励者になるには、当月に新規作成したまとめの月間ポイントが2カ月連続で1万ポイントを超えると、翌月に審査対象となる。その後、NHN Japanの審査を経て、決定候補者には「仮内定」を通知。その月に新規作成したまとめの月間ポイントが1万を超えれば、翌月から奨励者となる。

 インセンティブ制度と奨励金制度を改変する目的について島村氏は、NAVERまとめが良質と考えるまとめや活動を支援するためと説明。具体的にはニュース系まとめの作成スピードや、専門系まとめにおける専門性など、「誰にでもできるわけではないコンテンツ」を支援したいという。「NAVERまとめがやっと『質』を問える段階に来た」。

奨励者になるまでの流れ

(増田 覚)