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狙いは新聞離れの若年層、「NAVERまとめ」で日経の記事が利用可能に

 NHN Japan株式会社は24日、特定のテーマに沿ったリンクや画像、動画などを集約して“まとめ記事”を作成できるサービス「NAVERまとめ」において、まとめ作成者向けに日本経済新聞電子版の記事を検索・追加できるようにした。

 まとめ作成者は、まとめ作成ページの「引用アイテムの追加」から、日経電子版の記事を検索し、元記事へのリンクとともに、引用したいテキストを200文字まで選択・追加できる。記事に含まれる画像も同時に追加可能だ。引用できるのは、日経電子版の会員登録不要で閲覧できる記事のみ。

 日経電子版の記事はこれまでも、NAVERまとめで利用されていた。しかし、日経電子版が「公式に」記事のリンクを提供することで、ユーザーは著作権侵害を心配せずに記事を引用できるようになる。日経電子版としても、まとめ記事上で紹介される機会が増え、ユーザーを自社サイトに誘導できるのがメリットとなる。

 NAVERまとめでは今後、日経電子版以外のニュースコンテンツも随時追加していく。各ニュースサイトは引用可能な文字数を自由に設定できる。NHN Japanは現在、数社に連携のオファーを出しているというが、希望するメディアからの問い合わせも受け付けている。

「日経ブランド」が通じない読者を開拓したい

NHN Japan執行役員の島村武志氏

 NAVERまとめは2012年9月、「ゲッティイメージズ」や「Amazon.co.jp」など5社のサービスと提携し、まとめ作成者向けに公式画像コンテンツの提供を開始。ユーザーが各社の許諾を得ずに画像を使える環境を用意した。

 テキスト情報を含む公式ニュースコンテンツの提供は、初の取り組み。NHN Japanでは複数のメディアに連携を申し出ているというが、その中で「最も前向きだったのが日本経済新聞だった」と、NHN Japan執行役員の島村武志氏は振り返る。

 これに対して、日本経済新聞の担当者は、「これまで接点の少なかった読者層を拡大できる」と見込んでいる。日経新聞の主な読者は30代以上の社会人。一方、“新聞離れ”が指摘される若年層には「日経ブランド」が通用しなくなっていると現状を分析する。

 「NAVERまとめで日経の記事が紹介されることは、新聞を読まない20代や学生の若年層にリーチするチャンス。そのうちの何割かは、電子版を有料登録してくれたり、日経新聞を購読してくれるかもしれない。」

 NAVERまとめの魅力について日経新聞の担当者は、「切り口の多様性」を挙げる。「社内の思考回路では出てこない視点で我々の記事がまとめられていることもある。そうした切り口のまとめ記事を通じて、日経新聞の読者も広がるのではないか」。

(増田 覚)