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二次創作認める「同人マーク」デザイン募集、赤松健さんの作品に掲載へ

 特定非営利活動法人コモンスフィアは17日、同人活動に一定範囲の二次創作を認める著作権の意思表示ツール「同人マーク(仮)」のデザイン案の募集を開始した。採用されたデザインは、同人マークの原案者である赤松健氏が「週刊少年マガジン」で晩夏に新連載する漫画作品から順次掲載される予定。

 同人マークは作家が自分の作品に付けるもの。内容の詳細は検討中だが、コミックマーケット(コミケ)などの同人誌即売会で第三者による二次創作同人誌の配布を認めたり、二次創作のみを許容し、作品の全部または一部をコピーして配布することを認めない意思などを表示できるようにする予定。

 デザイン案は、同人マークに込められたコンセプトを、視覚的・デザイン的に表現したものを募集する。デザイン案は黒1色のみで、サイズを小さくしても表示・判別できることや、国際的な利用を想定して日本語などの文字を使わないことが条件。デザインの著作権はコモンスフィアに無償で譲渡することとなる。

 デザイン案の募集期間は7月28日まで。採用者には8月1日までに連絡し、8月上旬にコモンスフィアのウェブサイトで発表する。デザイン選考委員会のメンバーは赤松氏のほか、講談社・週刊少年マガジン編集長の菅原喜一郎氏、コモンスフィア理事のドミニク・チェン氏、東京大学名誉教授の中山信弘氏、弁護士の福井健策氏が務める。

 現在、日本のTPP(環太平洋連携協定)参加により、被害者の告訴なく著作権侵害を起訴・処罰できるようにする「非親告罪化」が懸念され、一部ではコミケで二次創作やパロディー作品が取り締まりの対象になる可能性があるとも言われている。これに対して、作家が作品に同人マークを表示すれば二次創作を保護することにつながる。

 著作権の意思表示ツールとしては、「クリエイティブ・コモンズ(CC)」が広く使われている。しかし、赤松氏は「原作絵のデッドコピー(そっくり模倣すること)は不可にして、キャラクターと設定だけを使った二次創作活動はある程度認められるマークが欲しかった」として、同人マークの原案となる独自の意思表示ツールを考案していた。

(増田 覚)