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フィルタリングの利用率が減少、スマホの楽しさやLINEの義務感に負ける
(2013/9/11 11:00)
フィルタリングソフト/サービスを開発・提供するデジタルアーツ株式会社は10日、未成年者の携帯電話・スマートフォンの利用実態についてアンケート調査した結果を発表した。スマートフォンの所有率が上がる一方で、フィルタリングの利用率が減少している傾向が出ている。
調査は8月5日・6日、何らかの携帯電話またはスマートフォンを持つ10~18歳の618人(小・中・高校生の男女それぞれ103人ずつ)と、その保護者618人を対象にインターネットで実施したもの。これによると、スマートフォンの使用率は子供・保護者ともに増加傾向にあり、子供で50.0%、保護者で49.5%だった。
デジタルアーツが2011年11月に行った前回の調査では子供のスマートフォン使用率が14.4%だったため、2年経たずに約3.5倍に増加したことになる。特に高校生の女子では74.8%に達しており、前回調査の20.9%からは約3.6倍。高校生の男子でも69.9%に上り、同じく32.0%から約2.2倍に増加した。
また、現在は未使用だが使用意向があるとした人も、子供では40.1%おり、保護者の28.5%を上回っている。
スマートフォン利用者におけるアプリの使用状況は、これまでの調査と大きな変化は見られなかったが、ソーシャル系アプリは子供の方が積極的に利用しているという。ソーシャル系アプリの利用率は、保護者が28.5%だったのに対し、子供は45.1%。特に高校生の女子に限って言えば67.1%に上った。
子供におけるフィルタリングの現在利用率は32.8%で、前回調査の37.2%から減少した。年代別に見ると、利用率が高いのは中学生で、男子が45.6%、女子が41.7%。このほか、小学生は男子が30.1%、女子が32.0%、高校生の男子が31.1%とあまり変わらない。これに対して高校生の女子では16.5%と格段に低く、前回調査の26.2%から9.7ポイント減少している。
なお、スマートフォンの有無で分けると、スマートフォン所有者では31.4%、非所有者では34.3%となっており、所有者の方が若干低かった。
デジタルアーツの道具登志夫代表取締役社長によると、今回の実態調査では、スマートフォンを使っていて不安だという声も少しではあるが出てきたという。しかし、それと逆行するかのように、フィルタリングの利用が増えるどころか減る傾向にある。原因を探ると、スマートフォン利用の面白さ・楽しさ、あるいはLINEのようなコミュニケーションツールを使っていないといじめられるといった“子供の義務感”に、フィルタリングが負けているからだという。
スマートフォンを自由に利用できなくなることからフィルタリングを外しているわけだが、この状況に対して道具社長は、スマートフォンを使うことで子供たちが得られる面白さ・楽しさを実現しつつ、子供たちが越えてはならない一線は確実に守るというフィルタリングの姿を模索しているとコメント。ネットを介した子供の事件・事故が減少するよう、ソフトやサービスを提供していくとした。
ネットの知り合いとの関係性“リアル化”を望む子供が増加、特に高校生女子
調査では、友達とのコミュニケーション手段や、ネット上の友達と知り合った経緯などについても聞いている。
まず、子供におけるリアルな友達との連絡手段としては、メールが最多で67.8%だが、前回調査の78.2%からは減少した。次いで電話が52.9%、LINEが43.4%、Twitterが13.6%、Facebookが6.8%、Skypeが5.8%などと続く。この中でLINEは、前回調査の22.5%から大幅に増加した。年代別で見ると、小学生は電話、中学生はメール、高校生はLINEをよく使っているという。また、高校生の女子ではLINEが68.9%に上るほか、Twitterも42.7%と多い。
なお、保護者における利用率は、メールが80.1%、電話が61.0%、LINEが30.6%、Facebookが10.0%、Twitterga6.0%、Skypeが3.9%など。
ネット上で知り合った人とコミュニケーションしている子供(337人)のうち、知り合った経緯がLINEだったとした子供は43.9%だった。そのほかは、Twitterが37.4%、Facebookが19.9%、オンラインでつながっているゲームが14.5%、アメーバピグ/アメブロが13.1%など。年代別で見ると、中学生はLINE、高校生はTwitterで知り合う傾向があるという。
こうしたネット上で知り合った人との関係性についての意向を聞いた設問では、「会うつもりはなく、これからもネット上だけで良い」とした子供が52.2%と過半数を占めた。一方で、「会ってみたい」という“リアル化”を望む子供も39.8%(「もう少し仲良くなれば、いずれ会ってみても良い」の23.7%、「十分仲良くなったので、できれば会ってみたい」の4.7%などの合計)おり、前回調査の32.4%と比較して増えているという。男子よりも女子の方がリアル化を望む傾向にあり、特に高校生の女子では65.8%に上るとしている。