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Googleなど大手7社、政策提言団体「アジアインターネット日本連盟」設立

 グーグル株式会社、ヤフー株式会社、eBay、Facebook、アマゾンジャパン株式会社、グリー株式会社、株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)の7社は25日、インターネット政策に関する提言などを目的とした企業団体「アジアインターネット日本連盟(AICJ)」を設立した。

(左から)グリーの相川真太郎氏、Facebookの東海由紀子氏、ヤフーの別所直哉氏、グーグルの藤井宏一郎氏、eBayの安念宣子氏、アマゾンジャパンの渡辺弘美氏、DeNAの大井潤氏
グーグルの藤井宏一郎氏

 AICJは、アジア太平洋地域において政策提言を行うインターネット企業団体「Asia Internet Coalition(AIC)」の日本支部として設立。AICにはGoogle、Yahoo!、eBay、Facebookが参加しており、AICJには各社の日本法人などに加え、アマゾンジャパン、グリー、DeNAが参加した。

 AICJ幹事会長社であるグーグルの藤井宏一郎氏(執行役員公共政策部長)は、「インターネットにおける自由で構成な情報の流通は、我が国における革新的なビジネスおよびインターネット産業の健全な成長に不可欠。そのような環境の発展を促す提言をしていくために、AICJを設立した」と設立の目的を説明した。

 AICJのビジョンとしては、インターネットによる情報流通およびインターネット産業全般の継続的な発展、ユーザーを大切にするインターネット産業の実現、ユーザーのインターネットサービスやアプリケーションおよびコンテンツへのアクセスの確保を挙げた。AICJメンバーとなるための条件については、インターネットに関連するビジネスを、アジア太平洋地域内の2カ国以上で展開し、AICJの設立趣旨と会則に賛同する企業としている。

 AICJの関心領域としては、「コンテンツの流通と知的財産権保護」「情報の自由流通・表現の自由」「電子商取引」「オンライン消費者保護」「プライバシー」などを挙げ、今後はこれらに関連する政策提言書を作成するとともに、政府、官公庁、学会などとの交流、意見交換の機会の拡大、メンバー企業による研究会の開催などを活動予定としている。

アジア太平洋地域の政策提言を行うネット企業団体AICの日本支部として設立
インターネット企業大手7社が参加
AICJのビジョン
AICJが共有する価値
メンバー条件
AICJの活動内容
AICJの関心領域
今後の活動予定

知的財産とプライバシーに関する2つの提言を発表

ヤフーの別所直哉氏

 AICJ幹事副会長社となるヤフーの別所直哉氏(執行役員社長室長)は、AICJによる最初の政策提言として、「日本の知的財産・コンテンツ振興戦略に関する提言」「インターネットビジネスにおけるプライバシー保護に関する提言」の2つの提言を説明した。

 知的財産・コンテンツ振興戦略については、ネット利用環境の高度化を受けた新サービス創出や、コンテンツのデジタル化促進、海外流通の促進による経済貢献に対する期待に応えるため、先進的な知的財産制度やコンテンツ流通促進制作の実現に向け、政府による強いリーダーシップを期待すると説明。具体的な提言としては、先進的サービスを許容する方向での著作権制度の見直しや、コンテンツ流通促進に資するビジネス慣行の確立、政府による国際的な枠組み形成への支援の3点を挙げた。

 プライバシー保護に関する提言としては、ルール策定にあたっては事業者を含めた様々な利害関係者により検討を進めていく、マルチステークホルダープロセスによるルール策定が、最も社会と調和した適切なプライバシー保護を実現する方策と考えられると説明。その上で、企業側には、よりわかりやすく透明性の高いプライバシーポリシーの制定・掲載、プライバシー配慮の観点から必要と思われる対応の検討、オプトアウト手段の提供の検討などを求めている。

知的財産・コンテンツ振興戦略に関する提言
プライバシー保護に関する提言

 楽天の三木谷浩史会長兼社長が代表を務める新経済連盟との違いについては、新経済連盟はインターネット以外の企業も幅広く参加しているが、AICJはインターネットビジネスにフォーカスした団体として、その分野に集中することで迅速かつタイムリーな提言を行っていきたいと説明した。

 また、AICとの関係については、本部の指示のもとに動くということではなく、価値観を共有する緩やかな連携だと説明。急速に発展する技術革新に対して、社会がその恩恵を受けていくための制度の整備が追い付いていないという状況は、日本だけでなく世界各国にあり、そのための政策を提言していく組織が日本でも必要と考え、AICJを設立したとして、AICJでは日本特有の問題について扱っていきたいとした。

(三柳 英樹)