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捕まったという人を知らない……高校時代から「Cabos」使用、22歳の男性送検

 熊本県警のサイバー犯罪対策室などは7日、ファイル共有ソフト「Cabos」を使って音楽ファイルを公開していた福岡県の22歳の男性を送検した。一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)が同日、発表した。

 この男性は、J-POPなどの音楽ファイルを権利者に無断でインターネット上に公開し、不特定多数のユーザーに対して送信できるようにして著作権(公衆送信権)を侵害していたという。警察から違法アップロードではないかとの照会があったことを受けたJASRACが鑑定し、同社の管理楽曲であることを確認した上で9月18日に告訴状を提出していたもの。

 警察の調べによると、この男性は自身の携帯音楽プレーヤーに取り込んで再生する楽曲を入手するためにCabosを使っていたという。しかしそれと引き替えに、自身のPC内のアップロード用フォルダーに保存されている約1200件の音楽ファイルを公開するかたちとなった。

 JASRACによると、ファイル共有ソフトを悪用した音楽の著作権侵害の摘発ケースとしては、例えば好きな楽曲を広めたいなど、積極的な理由から違法アップロードしていたという供述はよく聞くが、今回のようにダウンロードが主目的であり、アップロードについてはいわば消極的な理由から行っていたというような供述はあまりないケースだとしている。

 さらにその後の取り調べによりこの男性は、友人などから知識を得て高校在学中からCabosを利用していたことも判明。あわせて、音楽ファイルを権利者に無断でインターネット上に公開することが違法であると認識しながら、周囲で摘発されたという話を聞かないために、利用しても大丈夫だろうと思って利用していたことも明らかになったという。

 これらの点はあくまでも摘発後に分かったことだが、音楽著作権侵害で摘発された若者から実際にこのような供述が出てきたということで、著作権の啓発活動も行っているJASRACにとって、今回のケースは看過できない部分があるとしている。

(永沢 茂)