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クラウド会計のfreee、「スモールビジネスラボ」開設

サービスだけでなく、情報でもスモールビジネスを支援

 クラウド会計ソフトを提供するfreee株式会社は3月27日、スモールビジネスに関する調査や研究、提言等を実施していく「スモールビジネスラボ」を発足した。

サービスだけでなく、情報でスモールビジネスを支援

freee株式会社 代表取締役 佐々木大輔氏

 「スモールビジネスラボ」では、スモールビジネスの新しい働き方についての調査・研究を行ない、個人事業主や中小企業に向けて発信していくことを目的に発足。活動を通して、スモールビジネスを支援する機関や企業の知見を深め、スモールビジネスを取り巻く環境をより良くし、活性化していくことを目指す。

 「スモールビジネスラボ」スタートイベントで挨拶に立ったfreee株式会社 代表取締役 佐々木大輔氏は、freeeは初年度で6万事業所の登録があったが、スモールビジネスを支援するにはソフトウェアを提供するだけではなく、情報提供も必要だと設立の理由を述べた。

 佐々木社長は、たとえば、中小企業ではオンラインバンキングの利用率が低い理由は、手数料が高いからだと指摘。ネット専業銀行では手数料が安いところがあるのだが、オンラインバンキングの手数料が比較できるサイトがなかったため、freee株式会社で「世界一ラクにできる銀行比較サイト」を開設したと述べた。またfreeeでは、個人事業主や中小企業に役立つノウハウやサービス情報などを発信する「経営ハッカー」というサイトも運営していると紹介。

 「スモールビジネスラボ」はこうしたこれまでfreeeで行ってきたスモールビジネス支援の延長線上の活動とも言えるが、佐々木社長は、「スモールビジネスラボ」では、freee 1社だけでなく、スモールビジネス向けのサービスを提供する他企業や団体などと広く連携して情報提供を行っていくとした。

クラウド会計ソフトを核とした、freeeのスモールビジネス支援サイト
「スモールビジネスラボ」概要

個人事業主のクラウドシフトによる経済効果は5.9兆円

野村総合研究所 コンサルタント 木村康宏氏

 「スモールビジネスラボ」スタートイベントには、野村総合研究所 上級コンサルタント 石綿昌平氏と同コンサルタント 木村康宏氏が出席。野村総研による個人事業主のリサーチ結果を発表した。

 調査はNRIアンケートサービス「True Navi」モニターパネルを対象に、2014年2月14日~16日の3日間にわたって行われた。モニターは個人事業主1.0、個人事業主2.0、給与所得者それぞれ500人にWebアンケート調査を実施した。

 「個人事業主2.0」とはクラウドサービスを利用している個人事業主および5人以下の小規模企業を指し、クラウドサービスを利用していない個人事業主および給与所得者との比較調査を行った。

 調査によると、個人事業主2.0は現状への満足度が高く、将来も好きなことをやれるという自信を持っている人が多いという。また、従来スタイルの個人事業主1.0に比べ個人事業主2.0では、より上昇志向が比較的高く、社会的に認められたい、そのためにスキルやブランドを磨きたいという志向が強いという。

 野村総研 木村氏は、「個人事業主2.0では1.0に比べ取引先が多く、取引先以外のつながりが多いことが、営業面を中心にセーフティネットになる」、「専門領域を複数身につけていることが多く、また将来の資格習得意欲も高い」と指摘。IT投資にも積極的で、個人事業主1.0の年間投資額が15.9万円であるのに対して個人事業主2.0では年間41.5万円となっていると説明した。

 また、Webやクラウドを使いこなす個人事業主2.0の平均年商は1554万円で、個人事業主1.0の1178万円と比較して売上が高く、増収傾向も強いという。この理由として、木村氏は、生産性の高さや成長産業のシフトが進んでいることが背景にあると分析。

 今後日本で、米国並みのクラウドシフトが起こった場合、個人事業主1.0が個人事業主2.0へとシフトすることで、個人事業主2.0は157万人増え、現在の72万人から229万人となるとして、2.0と1.0の年商差分から、合計5.9兆円の経済効果が生まれると試算した。

取引先の多さ、つながりの多さが営業面を中心にセーフティネットになる
個人事業主2.0はIT投資に積極的
個人事業主1.0からWeb・クラウドを使いこなす個人事業主2.0へのシフトによる経済効果は5.7兆円

(工藤 ひろえ)