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“知財ブラック企業”を通報してくれた人に最高300万円の報奨金、BSAが3月15日まで受付
(2015/2/16 16:28)
ソフトウェア著作権保護団体のBSA(The Software Alliance)は、ソフトウェアの組織内違法コピーを一掃することを目的とした報奨金制度「知財ブラック企業は通報だ!」を2月16日から3月15日までの4週間実施する。組織内で行われている違法コピーについて有力情報を通報してくれた人に対して、最高300万円の報奨金を提供する。「知財ブラック企業の認知・理解促進に加え、職場での違法コピー撲滅を目指す」としている。
アドビシステムズやマイクロソフトなど16社のソフトウェアについての組織内違法コピーに関する通報が対象。通報をきっかけに、違法コピーを行っていた組織からソフトウェア会社へ和解金が支払われた場合に通報者への報奨金が発生する。支払われる可能性のある報奨金額は和解金額によって段階的に異なり、和解金が1500万円未満の場合で報奨金が75万円未満~和解金が6000万円以上の場合で報奨金300万円以下となっている。なお、適用条件の詳細は「知財ブラック企業は通報だ!」のキャンペーンサイトで説明している。
BSAでは2013年以降、組織内違法コピーの通報制度を2回実施。2013年に282件、2014年に166件の通報があり、このうち2013年の通報者で5人、2014年では1人に対して、当時の報奨金の最高額である100万円が渡されたという。
BSAでは今年、報奨金の最高額を300万円に引き上げた。また、不正が常態化している企業は“ブラック企業”と企業風土が似通っているとし、「第三者の知財を侵害する企業=知財ブラック企業」として記号化。その実態の訴求と、職場での違法コピーの撲滅を目指す。すでに昨年11月より、知財ブラック企業を描いた連載漫画「知財×ブラック」も公開している。
BSAが毎年発表している統計によると、日本国内における違法コピー率は2003年の29%から2013年は19%へと縮小。世界でも違法コピー率が低い地域の1つだという。ただし、それでも5本に1本が違法コピーであり、また、もともとのソフトウェア市場規模が大きいことから違法コピーの総額も1400億円規模と大きい点を指摘。いまだ国内に多くの組織内違法コピーが存在するという。
さらに、BSAへの通報により発覚し、和解に至った事例の中には、組織内違法コピーを行っていた企業が4億4000万円の損害賠償金を支払った事例もあるとし、違法コピーの代償が企業経営を圧迫することもあると指摘。企業に対しては、経営層・従業員の意識改革をはじめ、ソフトウェアの管理台帳によりラインセンス管理を行うことや、第三者による監査など定期的な検証など、違法コピー予防のためのポイントを提示している。
なお、監査部門などが社内で違法コピーを発見した場合には「適法な手段により是正されること」が必要だとしているが、すぐにアンインストールしてしまうと犯罪の証拠隠滅にあたることから、まずはソフトウェアベンダーへ報告することが必要だという。