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山の地図・経路探索サイト「ヤマタイム」、山と溪谷社の登山ガイドブックの情報をインポート可能に

 株式会社山と溪谷社は、同社が発行する登山ガイドブック「ヤマケイアルペンガイド」に掲載しているモデル登山コースの情報および登山口のアクセス情報について、ウェブサイト「Yamakei Online」での無料公開を開始した。同サイトで提供している山岳エリア専門の地図・登山経路探索サービス「ヤマタイム」とも連携する。

登山ガイドブック「ヤマケイアルペンガイド」シリーズのラインナップは、「北海道の山」「東北の山」「尾瀬」「奥多摩・奥秩父」「丹沢」「八ヶ岳」「槍・穂高連峰」「剱・立山連峰」「白馬・後立山連峰」「南アルプス」「中央アルプス」「中国・四国の山」「九州の山」「谷川岳・越後・上信越の山」の全14冊

 公開したモデルコースの情報は、ヤマケイアルペンガイド全14冊に掲載の基本コースすべてと、北アルプス/八ヶ岳/奥多摩・奥秩父/高尾/丹沢エリアのサブコースの計540コース。入山口・下山口・経由地、標準到着時間、技術度・体力度・コースグレード(初級~上級)、高低図などが掲載されており、エリアや日数・技術度・体力度・グレードなどから検索できる。今後、他のエリアのサブコースも追加し、最終的に750コースを無料で参照できるようにする予定だ。

「Yamakei Online」のモデルコース情報ページ
モデルコースの検索画面
モデルコース情報ページ

 これらのモデルコースの情報は、ヤマタイムに取り込んで活用可能だ。ヤマタイムは、登山道の道路ネットワークデータを保有する国内唯一のサービスだとしており、地図上にモデルコースのルートが表示され、危険箇所や水場、山小屋などの情報などを参照できるようになるほか、区間ごとの標準コースタイムや行程表が自動的に表示される。さらに、ユーザーが自身の歩行速度や体力を考慮し、コースタイム全体を1.5倍にしたり、途中で宿泊を入れるなどのカスタマイズも可能。

 ヤマタイムではこれまで、ユーザー自身が登山コースを作成したり、他のユーザーが作成したコースを参照することができたが、今回、ヤマケイアルペンガイドのモデルコースをベースにカスタマイズして活用できるようになった。作成したコースの地図・行程表を印刷することも可能だ。

「ヤマタイム」の地図・行程表

 一方、登山口情報としては、現地の様子やトイレの有無のほか、ローカル鉄道・バス、タクシー、駐車場などのアクセス情報を提供。これらは、一般的な乗換案内・経路検索サービスでは検索できないことが多く、現地でも場所が分かりにくい場合もあることから、ユーザーからの要望が多かったものだという。Yamakei Onlineでは時刻表データまでは保有していないが、駅からの所要時間や料金、バス会社の連絡先やウェブサイトへのリンク、駐車場の台数や駐車料金などの情報を掲載。現在、328カ所の登山口情報を公開しており、全554カ所まで拡大する予定。ヤマタイムの地図上にも、登山口の位置にアイコンが表示され、登山口情報の詳細ページにリンクされている。

登山口情報

 ヤマケイアルペンガイドは、リニューアルを重ねながら40年以上発行されているシリーズで、「登山口から山頂まで、ただ登るための情報だけでなく、その山の歴史や地形、動植物など、幅広い話題を盛り込みながら、分かりやすくコースを紹介している」という。Yamakei Onlineでは、同書の本文と写真を除く、地図、コース情報、登山口へのアクセス情報が無料で利用できるようになったかたちだ。

 山と溪谷社ではYamakei Onlineのサービスについて、紙のガイドブックを補完する機能を提供することが目的であり、同書を完全に代替するものではないとしているが、「もう登山ガイドブックには戻れない便利さ」があるとアピールしている。

(永沢 茂)