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2014年のサイバー犯罪検挙件数は7905件、手口はより巧妙化、攻撃の試みも活発に
(2015/4/22 06:00)
警察庁は、2014年のサイバー犯罪やサイバー攻撃に関する状況を公表した。
2014年におけるサイバー犯罪の検挙件数は7905件で、前年に比べて208件(2.6%)減少。一方で、都道府県警察の相談窓口で受理したサイバー犯罪などに関する相談件数は11万8100件で、前年に比べて3万3237件(39.2%)増加した。
警察が把握した標的型メール攻撃は1723件で、前年比約3.5倍と大幅に増加。警察庁が観測したインターネット上の不審なアクセスも1日・1IPアドレスあたり491.6件と、前年より58.5%増加しており、各種攻撃の試みが活発化している。
インターネットバンキングにかかわる不正送金事犯では、発生件数が1876件、被害額が約29億1000万円と過去最悪の被害となった。また、2014年にはMITB(Man In The Browser)攻撃と呼ばれる、PCに感染したウイルスがインターネットバンキングへのログインを検知し、自動的に不正送金する手口による被害が確認された。
情報窃取を目的とするサイバー攻撃では、英文による「ばらまき型」の標的型メール攻撃が2014年下半期に増加。一方で、日本の制度を踏まえたものや、特定の分野の研究会などを装ったものなど、より巧妙な手口が確認された。標的型メール攻撃以外にも、攻撃対象のユーザーがアクセスするサイトを狙った「水飲み場型攻撃」や、ソフトウェアの更新を装って不正プログラムに感染させる攻撃も発生しており、サイバー攻撃の手口の巧妙化・多様化が進んでいると指摘している。
サイバー空間においては、犯罪を企図する者の匿名性を高めるさまざまなサービスや、いわゆる闇サイトをはじめとする犯罪にかかわるウェブサイトなど、犯罪を助長し、容易にする基盤が着々と構築されていると指摘。具体的な事例として、2014年には不正アクセス行為などに悪用されると知りながらサービスを提供していた悪質な中継サーバー運営者の一斉摘発を実施したほか、高校生が海外業者の提供するサービスを悪用してオンラインゲーム会社にDDoS攻撃を仕掛けた事件などを挙げている。
また、3Dプリンターやビットコインといった新たな技術・サービスが出現する一方で、3Dプリンターで実弾の発射が可能な銃を製造した事例や、覚せい剤取締法違反(営利目的輸入)で検挙された男がビットコインを利用して覚醒剤を購入した旨を供述した例などを挙げ、それらが犯罪のツールとして利用される可能性が拡大したと指摘。サイバー空間の安全・安心を確保するためには、インターネット上で使用される技術について情報を収集するとともに、現実空間を対象としている新たな技術についても、インターネット上の情報と組み合わせることで犯罪につながり得ることから、動向を注視していく必要があるとしている。