ニュース

実名グルメサイト「Retty」のMAUが1000万人を突破、飲食店DBのオープン化や2020年に向けた取り組みなど

 実名グルメサイト「Retty」の月間アクティブユーザー数(MAU)が1000万人を超えた。Retty株式会社が2日、初の事業戦略発表会を開催し、短期・中長期戦略とあわせて発表した。

Retty初の事業戦略発表会「#Retty2020」

 Rettyは2011年6月に事業を開始し、2013年11月にMAUが100万人を突破。1年後には500万人に達している。そこから1年経たずに1000万人を抱えるグルメサービスに成長した。現在、月に100万人ずつ増加している。

 Rettyでは、口コミが最も重要な資産として、サービスローンチから2年間は、ユーザー数を獲得するよりも口コミを貯めていくサービス設計にしていたという。グルメに対して情熱を持つ人をユーザーとして取り込み、口コミを投稿してもらった上で、その口コミを魅力と思うユーザーが増えていくという好循環を形成した。

 また、MAUが100万人を突破した後は、さまざまな施策やプロダクト、まとめコンテンツをリリースすることで、大々的なプロモーションを行わずにユーザー獲得に成功した。実名や写真を掲載しているため、ユーザー同士のコミュニケーションも活発になっているという。

 東京都における月間口コミ投稿数は、国内最大手のグルメサイト(明言はしなかったが「食べログ」と推測)をRettyが抜き去ったという。そのため、Rettyはすでに主要エリアで一番新しい情報が入ってくる場になっているとしている。

Rettyの月間アクティブユーザー数が1000万人を突破
100万ユーザーを超えたあたりから施策やプロダクトをリリースすることで、ユーザー数の伸びが顕著に
東京都における月間クチコミ投稿数は、最大手グルメサービスを超えているという
早くから展開していたまとめ記事もユーザーのハートに刺さった

飲食データベースのオープン化、飲食店とユーザーを結ぶ新商品など

 発表会では、短期戦略目標として3つの施策を発表した。1つ目は、MAUが1000万ユーザーを超えたタイミングでロゴを刷新した。新しいロゴには、次の世代のサービスとして価値を作っていく「Next」のほか、「Happy」、世界展開を行う上で使いやすい「Global」という意味が込められているという。

 2つ目は、Rettyが持つ飲食店データベースをオープン化する。移り変わりの激しい外食業界では、飲食店の情報を常に最新に保つことが難しい上に、データベースを活用したい企業があってもなかなか整備できない課題があるという。Rettyでは、データベースを一部のベンダーから無料で提供し、ビール会社や、グルメ番組で紹介した飲食店情報のメンテナンスといったテレビ局のニーズなどに向けたサービスにしたいとしている。

 3つ目は、飲食店とRettyユーザーを結ぶためのサービスを正式にスタートする。世の中にある飲食店サービスは、店にマッチした客との繋がりや集客が難しく、PV数を増やして客を大量に集める手法になりがちだとしている。そこで、店のファンと店側が直接コミュニケーションできるサービスを提供することで、ファンのリピートを促すほか、ファンの繋がりを活かして、集客の好循環を生み出せるとしている。サービスローンチ前に一部の店舗でテストしており、Rettyに投稿するユーザーほど店とのコミュニケーションを積極的に行っているという。

MAU1000万ユーザーを境にロゴを変更した
Rettyが持つ飲食店データベースをオープン化する
店とユーザーがコミュニケーションできるサービスの提供
マス的なアプローチではなく、店のファンにピンポイントに刺さるサービスだという

 また発表会では、東京オリンピックが開催される2020年までに向けた中長期戦略として「Retty2020 1億人構想」を発表した。この構想は、2020年までに国内ユーザー数No.1、訪日外国人満足度No.1を目指すほか、海外進出として20カ国での展開を狙う。特に訪日外国人向けの課題として、日本の良いお店に出会う手段がないことを挙げ、ユーザーと同じような好みの人が勧めるようなサービスを提供し、日本文化を味わい尽くして欲しいとしている。

2020年に向けた取り組み「Retty2020 1億人構想」
2020年の東京オリンピックに向けてインバウンド向けサービスを展開
2020年までに20カ国でサービス展開を予定
2020年までにRettyユーザー数1億人を狙う

グルメサービスは「3.0世代」に、ポジティブなレコメンドが躍進の要因

 Rettyは、「Recommend」と「Happy」を掛け合わせた造語で、従来のグルメサービスが提供してきた「レビュー」に代わり、「レコメンド」をベースとしている。レビューとレコメンドの大きな違いは、ネガティブであるかポジティブであるか。レビューとなると良し悪しをユーザーが評価するため、ネガティブな情報が入ってくることになる。一方、レコメンドは言い換えると「オススメ」であり、基本的にはポジティブな情報のみとなる。

 Retty代表取締役社長の武田和也氏は、「人間のコミュニケーションはポジティブな情報、ポジティブな感情で進めていきたいもの」としており、Facebookの投稿などを例に挙げ、「ネットのコミュニケーションの仕方の変化はネット全般に広がり、グルメサービスも例外ではない」と指摘。どのような人がお勧めしているのかが分かった上で、エモーショナルな表現でレコメンドすることで、「レビューとレコメンド、どちらがより最適な店を見つけるのに適した情報か一目瞭然」として、Rettyが実名制でレコメンドを採用した理由を説明した。

 また、グルメサービスの変遷に沿ってRettyの立ち位置を紹介。日本のグルメサービスは、インターネット黎明期までさかのぼるとしており、情報の整理と集約を目的とした第1世代、現在主流のランキングやレビューから店を探すことができる第2世代に続き、Rettyは第3世代に属するという。RettyのCFOの奥田健太氏は、第2世代の課題として「味の好みや雰囲気の好みは千差万別なのに対し、あらゆる人が同じランキングを見ながら店を探している。個人の好みや本当にマッチした店が見つからない」と指摘。Rettyは、自分の好みにあった店を探すことができるサービスだとしている。

Retty代表取締役社長の武田和也氏
RettyCFOの奥田健太氏
グルメサービスは第3世代に突入する
レビューとレコメンドの差は、ネガティブかポジティブか

(山川 晶之)