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サーバーは専有、管理はおまかせ〜さくらインターネットの新サービス


 さくらインターネットは10日、1台のサーバーをユーザーが専有して利用できる専用型ホスティングサービスにおいて、運用・保守はさくらインターネットが担当する新サービス「さくらのマネージドサーバ Atomプラン」の提供を開始した。利用料金は、初期費用が2万5000円、月額料金が7800円。

 専用型ホスティングサービスは、ユーザーが1台のサーバーを専有して利用できる点がメリットだが、サーバーの運用・保守もユーザー自身が行う形が一般的なため、知識やノウハウのあるユーザーでなければ利用しにくいという問題がある。

 一方、共用型ホスティングサービスでは、サーバーの運用・保守はホスティング業者の側が行う形になるため、利用者側でそれらの作業を行う必要はない。ただし、複数のユーザーでサーバーを利用する共有型ホスティングの場合、同じサーバーにアクセス数の多いユーザーがいると影響を受けたりするなど、パフォーマンス面でのデメリットがある。

 今回、さくらインターネットが提供する「さくらのマネージドサーバ」は、1台のマシンを1ユーザーで専有しつつ、運用・保守はさくらインターネット側が行う、専用型と共用型のメリットを併せ持つ形のサービスだ。

 新サービス提供の狙いや、今後のサービス展開予定について、さくらインターネットの田中邦裕社長に話を伺った。

共用型ホスティングの手軽さを専用型でも

さくらインターネットの田中邦裕社長(右)、企画部商品企画チームの天内雅晴氏(中央)、開発部開発第二チームマネージャーの後藤正浩氏(左)

――「マネージドサーバ」という新しい形態のサービスを提供する狙いは?

田中氏:さくらインターネットの専用型ホスティングサービスでは、現在一番安いプランとして「エントリー」という月額7800円のプランを提供していますが、今回の「さくらのマネージドサーバ」は同じ月額7800円で、しかも運用・保守はさくらインターネット側が担当する形になります。HDD容量は180GBのRAID1、メモリも2GBで、エントリープランよりも高スペックなため、個人的にもかなりお買い得なサービスなのではと思っています。ただし、マネージドサーバの方は初期費用が2万5000円かかること(エントリープランは初期費用無料)と、マネージドサーバではroot権限は持てないという違いがありますが。

「マネージドサーバ」と共用型ホスティングプランの比較

――root権限は持てなくても、コンテンツやサービスを提供する上では問題ありませんか。

田中氏:「root権限が持てない」というよりも、root権限を使わなくていいお客様に、つまり自分たちで運用や保守まではやりたくないという方に使っていただきたいということで、今回、マネージドサーバを新サービスとして提供することにしました。共用型ホスティングの手軽さ、設定はコントロールパネルからすべてできるといった部分を、専用型でも使えるサービスになります。

 サーバーの設定からすべて自分たちの好きなように変えたい、といったユーザーには向いていませんが、スクリプト言語やデータベースなど必要なものはほとんど使えるようになっていますので、コンテンツやサービスを展開する上では問題ないと思います。また、ネットワークやCPU、メモリの状態などを確認できるモニタリングツールも新たに追加しました。アクセス解析ツールなどと併用すれば、何が原因で重くなっているのかを調べて、コンテンツを軽量化するといった対策も取れるようになっています。

ロードアベレージやトラフィック状況などが確認できるモニタリングツール

――想定するユーザー層が違うと?

田中氏:従来の専用型ホスティングのユーザーが、マネージドサーバを利用するというのはあまり考えていなくて、共用型ホスティングのユーザーが次のステップとして利用することを想定しています。共用型ホスティングよりもさらにハイスペックなサーバーが欲しいけれど、自分たちで運用まではやりたくない、そういう方を取り込めるサービスになるのではないかと期待しています。形としては専用型ですが、むしろ共用型の高スループット版というイメージです。

 さくらの共用型ホスティングですと、CGIなどで負荷が高くなると503エラーが出るといった制限がありますが、マネージドサーバであればそうした制限もありません。ディスク容量も180GBありますし、コンテンツについてはプロフェッショナル級だけれども、サーバーの運用・管理のノウハウは持っていないという方に使っていただければと思います。

――共用型ホスティングでは、最も安い月額125円のプランが一番ユーザーが多いのではないかと思うのですが、さらにハイスペックなサーバーを必要としているユーザーは多いのでしょうか。

田中氏:さくらインターネットというとやはり月額125円のイメージがあるかと思いますが、現在では月額500円の「スタンダード」のユーザーの方が多くなっています。「スタンダード」ですと、月額500円でディスク容量も3GBまで使えますし、ほとんどの機能も使えます。

 ただ、さらにハイスペックな共用ホスティングが使いたいというユーザーだと、従来のサービスラインナップでは容量40GBの「ビジネスプロ」が一番上で、そこからはもう専用型しかありませんでした。ただ、共用型から専用型になれば管理のスキルも必要になってきますので、上位プランへの移行のように簡単にはいきません。専用型に移るよりも、他社のハイスペックな共用型に移られたユーザーも多いと思います。今回のマネージドサーバは、そうしたユーザーをカバーできるサービスになると思います。

今後はより高スペックなサービス、低価格ホスティング、クラウドサービスを

――さらに高スペックなサービスについては検討しているのでしょうか。

田中氏:今回のサービスでは、CPUに1.6GHzのAtom 330を採用したサーバーを使っています。私自身も家でAtomを使っていて、かなりパフォーマンスがいいということは確認しているのですが、もっとハイパフォーマンスなマシンが使いたいという要望もありますので、マネージドサーバについては、今回のサービスよりも価格は上がりますが、Core 2 DuoやXeonを使った上位版のサービスも検討しています。

マネージドサーバで使用されるAtom 330搭載のサーバー。さくらインターネットのオリジナル設計で、2.5インチHDDを2台使用したRAID1構成 1Uの前後に計4台収容でき、同じくさくらインターネットがオリジナルで設計したラックに収容される

――以前伺った際には、さらに安い専用型ホスティングの提供も検討しているということでしたが。

田中氏:共用型ホスティングの延長としてのマネージドサーバという方向とは別に、とにかく安く専用型ホスティングを提供しようということも考えています。ターゲットプライスとしては4800円ぐらいですが、そうしたサービスも検討しています。

 逆に、値段は高くなりますが、ハイスペックで大量のアクセスにも耐えられるサービスも考えています。極端に言えば、コントロールパネルのようなサービスは無いけれども、その代わりにとにかくディスク容量があってパフォーマンスも高いといったようなサービスも必要ではないかと考えています。あとはクラウド的なサービスについても、まずは実験的な形で始められればと思います。ですので、とにかく安いサービス、ハイスペックなサービス、クラウドサービス、といったあたりを、2010年の上半期ぐらいには発表していければと思います。

――クラウド的なサービスというのは具体的にはどのようなサービスでしょうか。

田中氏:まずは実験的なサービスとして、既存のユーザーに対して仮想的なストレージを提供できないかと考えています。必要なときに大容量のストレージが借りられるというサービスはユーザーにとっても便利ですし、将来的にはサーバーのディスクイメージそのものも巨大なストレージに保存しておけば、すぐにマシンを交換できるといった使い方もできると思います。クラウド的なサービスは、こうした既存のサービスとうまく組み合わせる形で展開していきたいと思っています。

――ありがとうございました。


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(三柳 英樹)

2009/12/10 13:05

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