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特別企画

「Baidu Type」で携帯電話での文字入力の便利さ、面白さをPCにも


 バイドゥが16日に公開した日本語入力ソフト「Baidu Type」は、バイドゥの持つWeb検索の技術を変換エンジンや辞書に取り入れるとともに、ウィンドウの見た目を変えられる「スキン」機能を搭載するなど、新たな試みも行っているソフトだ。

 バイドゥが日本語入力ソフトを手掛ける狙いはどこにあるのか。「Baidu Type」を企画した、バイドゥプロダクト事業部の稲垣あゆみ氏に話を伺った。

開発のきっかけは携帯電話、文字入力の「面白さ」にWeb技術を融合

バイドゥの稲垣あゆみ氏

 稲垣氏はBaidu Typeを企画した理由を、「私たちが普段使っている携帯電話での文字入力の便利さ、面白さ、ユニークさを、PC上でも実現できないだろうか」と感じたことにあると説明する。予測変換など省入力のための技術や、顔文字、絵文字といった日本特有の文化を取り込みながら進化を続ける携帯電話の文字入力環境に比べて、PCでの文字入力環境が魅力的に感じられないと思ったことが、きっかけになっているという。

 2009年初頭に、バイドゥの技術を活かした他のプロダクトとしては何があるかという話の中で、日本語入力ソフトという候補があり、これに稲垣氏の思いが結び付き、夏には開発プロジェクトがスタート。日本と中国の開発者により開発を進め、12月にはベータ版の公開にこぎつけた。

 技術的には、既存の伝統的な辞書に加えて、Webのリソースを辞書に取り込んでいる点が特徴。芸能人の名前や流行語、新語などをWebからいち早く辞書に取り入れるとともに、変換候補の表示順を決める際にも利用しているという。

 また、Baidu Typeではこうした基本機能に加えて、「楽しさ」「自分らしさ」「シンプルさ」という3つのコンセプトを柱として開発されている。

 日本語入力ソフトとしては珍しい「スキン機能」を搭載したのも、「楽しさ」「自分らしさ」を追求したことが理由。リリース当初の5色のスキンに加えて、22日には「X'masスキン」を追加。今後もさらにスキンを追加していく予定だ。

キー入力の回数を減らす「アドバンス」設定を搭載

デフォルトのキー設定は、一般的な日本語入力ソフトと同様
キー入力の回数を減らすことを重視した「アドバンス」設定

 「シンプルさ」については、デザイン面でのシンプルさではなく、ユーザーのインプットスタイルとしてのシンプルさを意味しているという。この考え方が現れているのが、入力スタイルとして用意されている「アドバンス」モードだ。

 一般的な日本語入力ソフトでは、1)文字を入力、2)スペースキーで変換、3)エンターキーで確定――というスタイルになる。Baidu Typeの標準設定もこのスタイルだ。

 これに対して、Baidu Typeのアドバンスモードでは、文字を入力している時点で既に変換候補が表示されており、スペースキーを押せば第1候補で確定する。また、第5候補までについても、数字キーですぐに確定できる。キー入力を減らすための、新たな試みだ。「いかにユーザーが無駄なく自分の欲しいものにたどりつけるか、バイドゥの検索サービスでもこれは基本理念だが、IMEでもこれを追求していきたい」。

 ただし、従来の入力スタイルに比べると、「慣れてくればこちらの方が入力は速いのですが、やはりラディカルな提案なので、デフォルトのスタイルとして提案するにはまだ無理があると思ってます。今はオプションとして提供しながら、ユーザーの声をもとに、より良いものにしていけばと考えている」という。また、このスタイルは「第1候補がユーザーが望んでいるものでなければ意味がない」ため、さらに変換精度を上げていくことが重要だとした。

インライン変換も「ユーザーの要望が多ければ」対応を検討

変換候補は横一列に表示されるスタイル

 Baidu Typeをインストールしてみて、他の日本語入力ソフトと一番違いを感じるのは、カーソル位置に文字が表示される「インライン変換」ではなく、専用のウィンドウに入力文字列や変換候補が表示される点だろう。変換候補を「横に表示する」という携帯電話での変換スタイルを意識したことや、スキン機能を提供していくために、このようなスタイルになったという。

 ユーザーからは様々な意見があり、もちろん「なぜインライン変換ではないのか」といった意見も寄せられているという。これについては、「必ずしも今の形にこだわっているわけではなく、ユーザーの声が圧倒的にインライン変換の方がいいということであれば、インライン変換の機能も提供していくつもり」。ただし、提案しているスタイルをインライン変換でも提供できるかは「トレードオフの部分もある」として、最終的にはユーザーの意見をもとに判断したいと語る。

 開発においては「ユーザーと一緒に作っていく」ということを特に重視している。「日本の若い人のインターネット文化をより多く取り込んで作っていきたい。どういう機能が求められているのか、どういう機能があれば楽しいのかということを、フィードバックを反映させながら創り上げていきたい」。

 既にユーザーからの意見を反映させた点としては、入力内容を暗号化した上でバイドゥに送信して変換精度の向上に利用するという機能について、リリース当初はデフォルトでオンになっていたが、意見を反映する形でこの機能をデフォルトではオフにした。入力内容のうち、電話番号やクレジットカード番号と思われる文字列は送信しないようになっており、送信された文字列は個人が特定されない形で変換精度の向上のみに用いているが、さらにユーザーからの信用を得られるようにしていきたいと語った。

Google日本語入力は「注目が集まって結果的には良かった」

 2009年夏ごろから開発を続けていたBaidu Typeだが、公開直前になってグーグルも「Google日本語入力」を公開した。これについて稲垣氏は、「最初は『先に出されちゃったな』と思いましたが、これが逆だった場合のことを考えると、結果的には今の方が良かったのかなと思っています」という。

 Web検索や日本語処理の技術を他のプロダクトに活用することを考えると、日本語入力ソフトは非常に親和性が高く、「同じタイミングというのは不思議な気もしましたが、これだけネットが普及して、それをベースにした新しい日本語入力ソフトが登場するタイミングだったのかもしれない」として、グーグルが参入したことで日本語入力ソフトに注目が集まったことが、結果的にはBaidu Typeのリリースにもメリットとなったという考えだ。

今後はギャル文字にも対応?

 今後追加していきたい機能としては、「ギャル文字やアスキーアートのような、日本語のネット文化を取り入れていきたい。日本語は表現が多様で、日本語独自の言葉遊びの部分に注力していきたい」という。「これは現実的に可能かはわからないけれども、たとえば語尾に特徴のある芸能人の方と提携して、その語尾を変換でも再現できるようにするとか。ネット上の面白さを、日本語入力でも広げていきたい」。

 また、基本機能についても、「ユーザー辞書の登録とか、キーバインドの変更とか、まだできていない部分がたくさんある。そうした点を随時追加していきながら、新たなスタイルの提案も行っていきたい」という。「いろいろなパターンをユーザーに提案していって、使ってみてどれが一番いいですか、と問いかけながら開発が進めていければいいなと思っています」。

 また、Baidu Typeには、バイドゥのWeb検索や日本語解析の技術が取り入れられているが、逆にBaidu Typeから得られたノウハウも「日本語をより深く理解するという意味では、応用のきく部分もあると思う。Web検索が良くなればBaidu Typeも良くなる、Baidu Typeが良くなればWeb検索も良くなるという関係でありたい」と語る。

 開発チームからは次々に新機能の提案や改善点などが上がっており、アップデートしたい項目はたくさんあるという。ソフトウェア的には、毎日1回は更新チェックを行うようになっているため、毎日アップデートしていくことも可能だが、「さすがに毎日となるとクレームも来るでしょうし」ということで、ユーザーの反応を見ながらアップデートの頻度についても検討していく方針だ。

 ユーザーに対しては、「特にアドバンスのキー設定をぜひ試していただきたい。キー設定、使った感じ、インターフェイスの良し悪しは、開発側だけの判断では限界がある。こうした方が面白いのではないかとか、アイデアがあればぜひ提案してほしい」という。Baidu Typeのサイトにはアンケートが用意されており、「さらに具体的な要望についてはメールや、スタッフブログへのコメントなどの形でもらえれば、検討していきます。日本のユーザーといっしょに面白いものを作っていきたい。ユーザーの声を極力反映していきたい」と呼びかけている。


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(三柳 英樹)

2009/12/22 20:38

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