特別企画

サーバーって難しそう? いえ、実はカンタンです!
NOWing SERVERで今スグ始める中小企業の業務改善

(1)まずはファイル共有から。ビジネスならバックアップも必須

保存場所はバラバラ、やり取り方法もマチマチ・・・・・・

プレゼンシートや顧客情報、製品情報など大事なビジネスデータが個々人のデータとして分散しており、企業の資産として活かされていないことも多い

 「昨日の会議の議事録をメールで送ります」
 「プレゼン用に新製品のデータを一通りUSBメモリにコピーしておいて」
 「現地視察で撮影した写真をオンラインストレージに置いておきますね」

 何気ない仕事の会話のように聞こえますが、すべてが社内の、社員同士のやり取りだとしたら、わざわざメールなどを使うことに少し違和感を感じませんか?

 メールやUSBメモリ、各種クラウドサービスと、身の回りに一般化してきたさまざまなサービスやデバイスを活用することは、たしかに導入の敷居も低く、ビジネスにコスト的なメリットをもたらす効果が期待できます。

 しかし、本当にビジネスに求められる要件を満たしているかを真剣に検討しないまま安易にサービスやデバイスを利用すると、結果的に、業務効率が悪くなったり、さまざまなリスクを抱え込むことにもなりかねません。

 たとえば、メールでやり取りした議事録は、どれが原本で、誰が最終的に管理しているのかがわかりにくくなる可能性があります。USBメモリでやり取りしたデータは、誰でもアクセス可能で便利ですが、万が一の紛失のことを考えると安易に使うのは危険とも言えます。

 オンラインストレージは便利ですが、コンシューマー向けのサービスをビジネスに活用するリスクを本当に考慮しているでしょうか?

 そもそも、社員それぞれが別々の方法を使って情報を共有すると、あちこちにデータが散在するようになるうえ、データがいつ無くなるか、誰にアクセスされるかわからない状態になり、結果的に誰もデータを管理できなくなる可能性が高くなります。

 また、クラウドサービスのデータ保存性を過信するあまりに、パソコンそのもののバックアップがおろそかにされる傾向も高くなりつつあります。確かにメールやオンラインストレージのデータは保護されるかもしれませんが、パソコン内のフォルダーに保存したデータや、ソフトウェアが内部的に持っているデータや設定などを保護するためには、まったく別の仕組みが必要となります。

 どのようなサービスを利用し、どこまでデータが保護されているのかを社員はもちろんのこと、経営者すら理解せずに、日常業務を行なっているとなれば、むしろ危機的な状況とさえ言えます。特に、専任のIT管理者が存在しない中小規模の企業では、このような傾向が高いと言えるでしょう。

大事なビジネスデータが分散した状況をどう改善するか

 では、中小の現場に広がってしまったこのような状況をどのように改善すべきなのでしょうか?

 そこで注目されているのが、社内へのサーバーの設置です。サーバーと聞くと、クラウド時代に逆行するうえ、それこそ管理者不在の環境では使えないように思えるかもしれません。しかし最近では、OSにWindows Server 2012 Essentialsを搭載し、25名以下の環境でよく使う機能を備えた、ITの専門知識不要でカンタンに扱えるようなローカルサーバーが手に入るようになってきました。

 データ保存、共有、バックアップ、リモートアクセスなど、多機能なサーバーを利用して、データの保存場所ややり取りの方法を統一することで、いろいろなところに散在したデータだけでなく、社内の業務プロセスまでもを統一し、安全かつ効率的なビジネス環境を構築すべきでしょう。

安心して使えるサーバーを選ぶ

 とは言え、これまでサーバーを導入したことがない企業では、どのようなサーバーを選び、どのように設定し、運用すればいいのかに不安を感じることでしょう。

 そこで、ここではTEKWINDの「NOWing SERVER for SMB Generation 2(以下NOWing SERVER)」を利用して、実際にどのようにファイル共有やバックアップなどの環境を整備すればいいのかを具体的に見ていくことにしましょう。

TEKWINDのNOWing SERVER for SMB Generation 2。コンパクトで高性能、スモールオフィス環境での設置を考慮して静音性も高めたWindows Server 2012 Essentials搭載サーバーだ
正面
側面
背面

 NOWing SERVERは、前述したWindows Server 2012 EssentialsをOSとして採用したコンパクトなキューブ型サーバーです。デスクの下や棚の一段分のスペースにスッキリと収まる小さなサイズでありながら、最新のインテル Xeonプロセッサ(Xeon E3-1225v2、3.2GHz、4コア4スレッド)や2GBのメモリを搭載し、非常に高い処理能力を持っています。

 データ共有やバックアップなどの目的でローカルに設置する機器としては、NASも存在しますが、一般的なNASに比べてはるかに高性能なプロセッサーを搭載している点が大きな違いとして挙げられます。

 このため、複数ユーザーが同時に大容量データにアクセスするような環境でも、十分なアクセス速度を実現できるうえ、ファイル共有やバックアップ、リモートアクセスなど、1台のサーバーにたくさんの役割を持たせたとしても、余裕で処理することができるのが特徴です。

 また、NOWing SERVERで採用されているWindows Server 2012 Essentialsでは、CAL(クライアントアクセスライセンス)を別途購入することなく、25台までのパソコンを接続することができます。価格的にリーズナブルなだけでなく、同価格帯のミドルレンジのNAS製品では処理しきれないような25台のパソコンからのアクセスやバックアップも楽に処理できるのも魅力です。

 耐久性にも配慮されており、サーバーならではの耐久性を重視したエンタープライズ向けマザーボードやHDD(Western Digital WD RED)を採用したほか、2ポートの1000BASE-Tポートも搭載。24時間365日の稼働を前提としたサーバーならではの高い耐久性や機能を備えると同時に、驚くほど動作音が静かで業務の邪魔にならないこともポイントです。

 法人向けのためサポート体制も手厚くなっています。2年間の製品保証に加え、万が一のトラブルの際には、完動品を先に送付し、社内で交換してから既存品を修理に送ることができる先出しセンドバックにも対応しているので、安心して利用できます。

 なお、NOWing SERVERの設置費用は有料、ユーザー登録や共有フォルダー作成などの初期設定は無料で依頼できます。

 ファイルサーバーは、低価格のPCサーバーとOSを組み合わせることでも構築できますが、TEKWINDのNOWing SERVERは、SMBと呼ばれる中小規模のビジネスに特化させたハードウェアやサービスをトータルソリューションとして提供している点が特徴となります。何から手を付けて良いかわからない、どんな機器やソフトウェアを使えばいいのか迷っているというユーザーには最適な製品のひとつと言えるでしょう。

ファイル共有をカンタンに実現

 それでは、実際の使い方を見ていきましょう。まずは、ファイル共有です。

 サーバーを利用すると、ネットワーク上で接続した各社員のパソコンから、共有フォルダーにアクセスできるようになります。この共有フォルダーに、たとえば議事録などの共通のデータを保存したり、取引先の住所録といったデータを保存しておけば、誰かにメールやUSBメモリでデータを渡してもらうように頼む必要がなくなります。

 複数人で1つのファイルを編集することもできるので、特定のプロジェクトの資料などを共同で編集することもできるのも大きなメリットです。

 また、データを会社の権限で管理できるのも魅力です。たとえば、クラウド上のオンラインストレージなどに保存したデータは、社員が自分のアカウントで管理している場合が多く、その社員が辞めてしまったときに会社としてデータを再入手することが難しくなりますが、社内のサーバーにすべてのデータを集約しておけば、そういった問題に後で頭を悩ませることもなくなります。

 NOWing SERVERで、ファイルを共有できるようにするには、以下のような4つのステップで設定します。

1)初期設定

 NOWing SERVERの設置と初期設定を実行。丁寧なマニュアルが付属しているため、ユーザー自らが設置と初期設定をすることも簡単にできるが、オプションで、設置や初期設定、ユーザー登録、共有フォルダーの作成などを依頼することもできる。各種管理作業にはダッシュボードを利用する。

2)ユーザーを作成

 NOWing SERVERにディスプレイとキーボード、マウスを接続して、初期設定を実行。ダッシュボードの「ユーザー」で社員が利用するユーザーアカウントを登録する。

3)社員のパソコンにコネクタをインストール

 パソコンでブラウザを起動し、「http://サーバー名/connect」にアクセス。画面の指示に従って、コネクタソフトウェアをダウンロードしてインストール。インストール時にユーザー名などの情報入力を求められるので、1で設定したアカウントを指定する。

4)共有フォルダーにアクセス

 接続完了後、社員のパソコン上で、サーバーを利用するためのソフト「スタートパッド」が自動的に起動するので、「共有フォルダー」をクリックして、共有フォルダーにアクセス。

一部ユーザーだけが使える共有フォルダーを作成する

 NOWing SERVERでは、標準で「会社」という共有フォルダーが作成済みとなっているので、自社で取り扱っている商品の情報、社内の手続きに必要な文書のテンプレート、過去の案件のデータなど、ここに社員全員で共有したいデータを保存するといいでしょう。

 もしも、経営者と経理担当の一部のユーザーだけが使える共有フォルダーを作りたい場合は、新しい共有フォルダーを作成して、そこに対して設定したユーザーだけがアクセスできるように制限します。

1)共有フォルダーを作成

 ダッシュボードの「記憶域」で、「フォルダーの追加」をクリック。フォルダー名を設定する。

2)アクセスレベルを設定

 登録したユーザーの一覧が表示されるので、それぞれのユーザーにアクセスを許可するかどうかを設定。たとえば、経営上の重要なデータを保存したい場合は、経営者と経理担当者だけに「読み取り/書き込み」を設定し、他のユーザーは「アクセスなし」を選択する。

 これで、新製品に関する機密情報、経理や人事の情報など、社内でも限られた人だけが情報を参照できる保存先ができました。

 このように、サーバーを利用すれば、データを一カ所に集約できるだけでなく、それぞれのデータをしっかりとセキュリティで保護することができます。メールやUSBメモリでデータを扱っていると、重要な情報が社内外を問わず、誰にでも参照できる状態になっている可能性があります。

 取引先からのコンプライアンスに対する要求も高くなっている状況を考えると、サーバーを導入することで、社内でどのようにデータを扱うかという方針をしっかりと見直すべきでしょう。

バックアップ環境を整える

 続いて、バックアップ機能について見ていきましょう。NOWing SERVERを導入すると、各社員が使っているクライアントパソコンのデータを自動的にサーバーにバックアップできるようになります。

 クライアントパソコンのバックアップを利用するのに特別な設定は必要ありません。ファイル共有を使えるようにしたときに説明したコネクタソフトウェアをパソコンにインストールすると、同時にバックアップの設定が有効になり、夜間など指定した時間に自動的にバックアップが実行されるようになります。

 このバックアップは、データだけでなく、パソコンのハードディスクの情報をまるごと保存するのが特徴です。このため、ドキュメントフォルダーなどに保存しているデータはもちろんのこと、Windowsの設定、パソコンにインストールされている業務アプリケーションの設定やデータなど、あらゆる情報がバックアップされます。

 冒頭でも触れたように、最近ではクラウド上のメールサービスを使うことが一般的になり、パソコンのバックアップに対する意識が低くなりつつあります。確かに、クラウドサービスを利用すれば、パソコンが故障したときなどでも、他のパソコンや新しいパソコンからすぐにクラウド上のメールデータにアクセスすることができるでしょう。

 しかし、パソコンのデータは、クラウドサービスに保存されているものだけではありません。ローカルのハードディスクに保存されている文書などのファイル、変換しやすいように日本語入力環境に登録した辞書、パソコンの壁紙、アプリケーションごとの細かな設定などもあることを忘れてはいけません。

 NOWing SERVERのバックアップ機能を使えば、これらの情報もまるごと、すべてバックアップできます。このため、たとえ、パソコンのハードディスクが故障して起動しなくなってしまったとしても、OSやソフトウェアなども含め、最後にバックアップした状態に手軽に戻すことができます。万が一に備えて、しっかりとしたバックアップ環境を整えておくことが重要と言えるでしょう。

 もちろん、クライアントパソコンだけでなく、以下のように設定することで、サーバー本体のデータをバックアップすることもできます。

1)HDDの追加

 NOWing SERVERのフロントベイ、もしくはUSBポートにバックアップに利用するハードディスクを接続する。

2)バックアップを構成

 ダッシュボードの「記憶域」で追加したハードディスクを確認後、「ハードドライブをサーバーバックアップに追加」をクリック。

3)スケジュールを設定

 バックアップ先として追加したハードディスクを選択後(選択したハードディスクのデータは削除されるので注意)、バックアップのスケジュールを設定。標準では、12:00と23:00の1日2回バックアップが実行される。

4)バックアップする項目を選択

 バックアップするフォルダーを選択。データだけでなく、サーバーのOSや設定もバックアップすることができるので、万が一、サーバーが故障した場合の復旧も簡単。

 これで、自動的にサーバーのバックアップが実行されるようになります。クライアントパソコンともども、最初に設定してしまえば、後は自動的にバックアップが実行されるので、管理者がいない環境でも、あらゆるデータを保護できることでしょう。

クラウド時代にこそ欲しいローカルサーバー

 以上、TEKWINDのNOWing SERVERを使って、ファイル共有とバックアップ環境を整える方法を紹介しました。「サーバー」と言っても、パソコンのように簡単に扱えることに驚いた人も少なくないのではないでしょうか?

 コストを削減する目的でクラウドサービスを日常の業務に取り入れている企業も少なくないと思われますが、中小規模の環境では、むしろローカルサーバーを設置して、そこにデータを集約させるメリットは確実にあります。サーバーの導入を前提として、現在の業務形態やデータの扱い方を見直すことを強くオススメしたいところです。

 もちろん、NOWing SERVERの実力はこれだけに留まりません。ローカルに設置したサーバーでも、リモートアクセス環境を整えることで、クラウドサービスと同様に、どこからでも社内のデータにアクセスできるようにすることができます。その方法については、次回、さらに詳しく見ていくことにしましょう。

(4月22日公開の第2回につづく)

清水 理史

製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 8.1/7 XPパソコンからの乗り換え&データ移行」ほか多数の著書がある。