■江戸・明治・平成の地図を切り替えられる「古地図で東京めぐり」
「Yahoo!地図情報」は、特集「古地図で東京めぐり」を公開した。同コンテンツは、江戸時代と明治時代の古地図を無料で閲覧できるサービスで、江戸時代は安政3(1856)年、明治時代は明治40(1907)年前後の古地図を収録している。収録範囲は現在の江戸川区、練馬区、大田区、世田谷区、杉並区を除く東京23区。江戸・明治・現代・航空写真の4つの地図は、重ね合わせたままタブで切り替えが可能で、現在の場所に過去どんな施設があったのかが一目でわかるようになっている。
縮尺は1/3,000、1/8,000、1/21,000、1/75,000の4種類が用意されている。地図はマウスのドラッグによるスクロールが可能で使いやすい。画面の回転も可能なので、施設名が上下左右とさまざまな方向に書いてある江戸時代の古地図を見るときにも便利だ。また、検索機能も充実している。現在の建物の名前や地名などで検索すると、江戸・明治・現代の3つの地図のリンクが表示されて、各時代の地図をすぐに表示できる。
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「古地図で東京めぐり」トップページ (C)中川惠司/エーピーピーカンパニー
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江戸時代の地図 (C)中川惠司/エーピーピーカンパニー
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このほか、「古地図を楽しむポイント教えます」と「東京歴史めぐり散歩に出かけよう」という関連コンテンツも掲載されている。「古地図を楽しむポイント教えます」では、「『鬼平』『剣客』の舞台」と題して池波正太郎の作品に縁のあるスポットを紹介したり、「有名人のお宅訪問」というタイトルで夏目漱石や森鴎外、東郷平八朗の邸宅があった場所を紹介したりと、いろいろな特集記事を掲載している。
「東京歴史めぐり散歩に出かけよう」では、「お江戸日本橋コース」や「谷中・上野コース」「吉原・浅草コース」など、昔の情緒を味わえる散歩のモデルコースを紹介している。コースを記した地図も掲載してあり、印刷すればそのまま手に持って散歩に出かけられる。古地図マニアにはたまらないこのコンテンツ、公開は3月15日までの期間限定なので、興味のある人はぜひお見逃しなく!
■URL
Yahoo!地図情報「古地図で東京めぐり」
http://map.yahoo.co.jp/kochizu/
■ウォークスルーも可能な「バーチャル京都3Dマップ」
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「バーチャル京都3Dマップ」
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ウォークスルー画面
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立命館大学は、京都の街を3D地図で再現した「バーチャル京都3Dマップ」を公開した。同コンテンツは、同大学文学部の地理学教室のグループが作成したもので、Google Earthのようにマウスのドラッグで画面上を飛ぶように移動できる。地図は山岳地の凹凸が再現されているほか、建築物の簡易3D画像も収録している。また、京都府庁や京都市役所、京都ホテルオークラ、JR京都駅、京都タワーなどの大型施設、銀閣寺観音堂や平安神宮、二条城、三十三間堂、東本願寺などの歴史的施設については、リアルな3D画像が表示される。
さらに、上部タブから「ウォークスルー」をクリックすると視点が切り替わって映像が精細になる。店舗の看板なども再現されて、まるで本当に街中を歩いているかのような映像が味わえる。このウォークスルーのデータが収録されているのは四条通の南座付近だけで、初期位置には「阪急・河原町駅前」が表示される。「地点の変更」リストには「南座前」「四条河原町交差点」「新京極」の3地点が用意されており、クリックした場所にすばやく飛べるようになっている。
ちなみに南座に行くと扉が開いており、内部を歩いて回れるようになっている。また、「現代/昭和初期 切り替え」ボタンを押すと、明治初期の町並みが再現される。この映像は町屋敷とビルが同居する味わい深い光景だ。路面電車も再現されていて、タイムスリップしたような感覚を堪能できる。
ウォークスルーの映像の完成度はかなり高く、見応えたっぷりだ。特に明治時代の映像を収録している点は、歴史を大切にする京都ならではのコンテンツと言える。まだ地図上の一部しかデータが提供されていないのは残念だが、今後はほかの地域についてもウォークスルーで見られるようになることを期待したい。
■URL
バーチャル京都3Dマップ
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/lt/geo/coe/index.html
■公示地価の変動が一目でわかる「不動産まる見えマップ Ver3.0」
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「不動産まる見えマップ Ver3.0」
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不動産会社の日本住宅流通株式会社は、不動産情報を地図から探せるコンテンツ「不動産まる見えマップ Ver3.0」を公開した。同コンテンツは、同社が扱っている不動産情報をGoogle Maps APIを使って地図上に表示するサービスだ。会員登録などの必要がなく、誰でも自由に閲覧できる。
表示されている情報は1月下旬現在、京阪神地域と東北の一部のみ。物件を表わすアイコンは、建売・マンション・土地・賃貸物件の4種類に色分けされており、どこにどんな物件があるのかが一目でわかる。アイコンをクリックすると物件名と価格が表示されて、リンクをクリックすると詳細画面が別ウィンドウで表示される。上部メニューの検索窓を使えば住所や駅名からも検索可能になっており、最寄りの駅などで検索すれば、見たいエリアの情報をすぐに確認できる。縮尺は3段階から選択可能だ。また、右側には物件名と価格のリストが表示されており、クリックした物件の情報が地図上でポップアップ表示されるようになっている。
これに加えて、同コンテンツには全国の地価公示・都道府県地価調査のデータも収録されている。データは国土交通省のWebサイト内にある国土数値情報ダウンロードサービスを基にしている。地図上では風船のような形をしたアイコンで表示されており、アイコンをクリックすると住所と価格がポップアップ表示される。アイコンは2種類に色分けされており、前年よりも上昇または横ばいの土地は水色、前年よりも下落している場合は赤色で表示される。
さらにリンクをクリックすると、その土地の住所や駅からの距離、建ぺい率などの基本データに加えて、直近5年分の価格推移を示した棒グラフや、過去10年間の価格推移票なども掲載されている。家やマンションを探している人はもちろん、ビジネスマンが出店計画を練ったり、地域の状況を分析したりするための資料としても役立つだろう。
■URL
日本住宅流通株式会社
http://www.jyutaku.co.jp/
■「地球地図」で全世界の地理データをダウンロード
「地球地図」というプロジェクトをご存じだろうか? この活動は、地球の現状を知ることにより、未来の地球を広い視野から考えるための世界的プロジェクトだ。具体的には世界各国の国家地図作成機関が自国の公認データを持ち寄り、さまざまな地理データを作成している。日本では、国土地理院がこの活動を担当している。作成されたデータはISCGM(地球地図国際運営委員会)によって、インターネットを通じて全世界に公開されている。利用にあたっては非営利目的ならば無料で使用可能だ。2005年12月現在での陸地カバー率は14%で、今年中に全陸地をカバーすることを目標にしている。
この地球地図について詳しく解説しているWebサイトが、「みんなの地球地図プロジェクト」だ。同サイトでは地球地図がどんなものかということをわかりやすく解説するとともに、ISCGMのサイトから地球地図をダウンロードする方法を説明している。ISCGMのサイトは英語で書かれているが、同サイトが日本語で登録の仕方などを丁寧に紹介しているので、英語が苦手な人でも心配ないだろう。なお、地球地図データのオリジナル版を閲覧するためには、「GMView」というビューアソフトをインストールする必要があるが、そのやり方もしっかり解説されている。
また、オリジナル版とは別に、「みんなの地球地図プロジェクト」の方には簡易版の地図も収録されており、こちらは非営利目的であれば利用申請手続きが不要だ。フォーマットはベクトルデータがSHAPE形式とEPS形式、ラスターデータはTIFF形式と使いやすいフォーマットで提供されているので、さまざまなソフトで利用可能だ。ただし、オリジナル版のカバー範囲は公開国すべてだが、簡易版については日本のみの提供となっている。
提供される地球地図は解像度1kmのデジタル地図になっており、縮尺に換算すると約1/1,000,000にあたる。地理データの種類は「人口集中域」や「水系」「交通網」「土地利用」「植生」など計8種類だ。オリジナル地図を見るのには少々手間がかかるが、各国の地理状況を知るための重要な資料として要注目だ。
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「みんなの地球地図プロジェクト」トップページ
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簡易地図
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■URL
みんなの地球地図プロジェクト
http://www.globalmap.org/
(2007/02/08)
碓氷 貫(うすい とおる)
地図に関することならインターネットの地図サイトから紙メディア、カーナビ、ハンディGPS、地球儀まで、どんなジャンルにも首を突っ込む無類の地図好きライター。地図とコンパスとGPSを片手に街や山を徘徊する日々を送る一方で、地図関連の最新情報の収集にも余念がない。
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