■地球温暖化による海面上昇を地図でシミュレーション
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「+7m」の場合の日本
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「+14m」の場合の関東地方
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先日、ドイツで行なわれたサミットで最大の話題となったのは地球温暖化対策だった。温暖化が地球にもたらす影響にはさまざまなものがあるが、最も深刻な問題の1つは、世界各地の氷や雪が溶けることによる海面上昇だ。国連の研究によると、海面が1メートル上昇すると1億4,500万人が洪水の被害を受けて、損害額は9,500億ドル近くになるという。特に日本は海に囲まれた島国なので、海面上昇による影響は大きい。
このような温暖化の問題を考えるきっかけとなるサイトが、「Flood Maps」だ。「flood」とは洪水のこと。このサイトは、温暖化がもたらす海面上昇によって、世界各地がどれくらい水没するかをシミュレーションできる地図サイトだ。
トップページにアクセスすると、Google Maps APIを使った地図が表示される。試しに日本のエリアを見てみよう。よく見ると、日本列島の沿岸部の辺りに、グレーで塗りつぶされている部分があるのがわかる。このグレーの部分が、海面上昇で水没する地域だ。地図の左上にある「Sea level rise」の欄に、海面上昇の値が示されている。デフォルトは「+7m」、つまり7メートル上昇した場合の状況が表示されている。ゼロから「+14m」まで値が変えられるので、上昇値を変えることでグレーのエリアがどれくらい変化するのかを見てみよう。このグレーの表示は、縮尺に関係なく地図と重ね合わされるので、各地域の拡大図を見ながら水没するエリアをチェックできる。たとえば東京近郊で見てみると、「+2m」くらいまではまだ水没する地域はまばらだが、これを「+5m」にすると、湾岸地域はもちろん、東京都の江戸川区から葛飾区、足立区までがほぼ全滅になる。5メートル上昇しただけでこんなにも陸地の形が変わってしまうのか、と驚かされる結果だ。
また、内陸部でも海抜が低い地域はグレーに表示されるので、内陸部にも意外と低地が多いことに気付かされるだろう。道路地図を見ているだけではあまり意識しないが、このように「水没」という形で視覚的に表現されると、地表の凹凸がよくわかる。ちなみにこの地図はGoogle Mapsを使っているので衛星写真も見られるのだが、衛星写真上でも水没地域を表示可能だ。衛星写真で見ると、陸地の面積が少なくなる感覚がよりリアルに伝わってくる。
なお、地図の下部には現在表示している地図のURLが表示されていて、ほかのWebサイトに貼り付けられるようになっている。もしこのサイトを見て温暖化への危機感を感じたなら、自分のWebサイトやブログなどに貼り付けてみてはいかがだろうか。同サイトの存在を広く知らしめることで、もしかしたら温暖化防止への一助となるかもしれない。
■URL
Flood Maps
http://flood.firetree.net/
■鉄道用「Google Earth」、JR東日本が業務に導入
東日本旅客鉄道(JR東日本)は、ジェイアール東日本コンサルタンツが提供する3D衛星画像配信サービス「グーグルアース レイルウェイ(Google Earth &Railway)」を導入すると発表した。同サービスは「Google Earth」に鉄道情報を重ね合わせた業務用システムで、都市計画やマーケティング、観光事業などさまざまな業務に利用できる。さらに都市部で高層ビルの建設を計画したり、防災計画に役立てたりと、鉄道以外の分野にも応用していく予定だ。
JR東日本はこれまでにも、線路や駅の平面図を地図化した地理情報システム「鉄道GIS」を構築して保守管理に役立ててきた。今回導入するグーグルアース レイルウェイは、Google Earthに地上解像度1メートルの高解像度衛星写真や3次元地形データ、地図情報を搭載し、さらにデジタルの線路平面図や線路沿線設備の情報などを重ね合わせたもの。一般向けのGoogle Earthと同じように、拡大や縮小、回転、鳥瞰表示などが自由に行なえる。現在はJR東日本エリアを中心とした全国主要都市だけをカバーしているが、今後は全国的に整備していく予定としている。
現在のところ、一般の人はグーグルアース レイルウェイを見ることはできないが、JR東日本が公開した利用イメージを見てみると、海沿いの3D地形図に鉄道の線路平面図を重ね合わせたり、気象レーダーの観測情報を重ね合わせて雲の画像を地図上に表示したりと、普通のGoogle Earthとはひと味違った機能が数多く搭載されているようだ。
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グーグルアース レイルウェイ
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マーケティング分析例
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都市計画での利用イメージ(JR東日本本社ビル付近)
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防災計画での利用イメージ。沿線の3D地形モデルを表示している
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また、観光事業への活用の第1弾として、JR東日本横浜支社はグーグルアース レイルウェイの3D映像を掲載した旅行用小冊子「レールウェイ ジオラマップ(小田原~東伊豆の旅)」を制作して、首都圏の主な駅で無料配布した。“地形を感じる列車の旅”をコンセプトに作られたもので、小田原から伊東までのエリアの中から見どころを紹介している。
エリア全景の3D地形図を大きく掲載しており、富士山や芦ノ湖、山中湖、箱根、愛鷹山、駿河湾などの眺望が楽しめる絵図となっている。画像の下には線路の標高の移り変わりをグラフで表示していて、地形の変化もわかりやすい。このほか、小田原と真鶴、湯河原、熱海、伊東の3D地形図の拡大図も掲載されている。小田原フラワーガーデンや万葉公園、姫の沢公園、小室山公園など、各エリアのおすすめスポットも紹介されており、航空写真と現地で撮影した写真の2つを見比べながら楽しめる。
この冊子の画像を見る限り、通常のGoogle Earthと比べて特に変わった部分は見られないが、今後はグーグルアース レイルウェイならではの一般向けコンテンツが登場してくることも期待したい。
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JR東日本横浜支社が無料配布した「レールウェイ ジオラマップ」
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小田原から伊東にかけての3D地形図が大きく掲載されている
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■URL
JR東日本のニュースリリース(PDF)
http://www.jreast.co.jp/press/2007_1/20070603.pdf
■So-net buzzmap、カレーや鉄道をテーマに地図の“主”コンテスト
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「So-net buzzmap」トップページ
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みんなのスポット
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ソネットエンタテインメント(So-net)は、口コミ地図サイト「So-net buzzmap」に、携帯電話からスポット情報を投稿できる機能を追加した。同サイトは飲食店や公園、街中で見つけたものなど、さまざまなスポット情報を投稿できる情報共有サービス。投稿された情報は「みんなのスポット」というコーナーで閲覧可能で、ここではGoogle Maps APIを使用した地図が表示される。各スポット情報にはタグが付けられており、地図上に表示するアイコンをタグで絞り込むことが可能だ。地図の右にタグのリストが掲載されているので、これを利用すれば効率よくスポット情報を探せる。
スポット情報を示した地図上のアイコンをクリックすると、詳細情報が表示される。ここでは各スポットについて書かれたブログ記事をチェックできるほか、この情報を「マイ地図帳」に登録している人のリストも調べられる。マイ地図帳とは、登録すると各ユーザーに与えられるもので、自分のお気に入りのスポットなどを登録してオリジナルの地図帳を作成できる。名前を付けたりスキンを変えたりと、カスタマイズも自由だ。
さらに今回の機能強化によって、So-net buzzmapは携帯電話からも地図情報の投稿や閲覧が可能となった。しかもGPS機能付きの携帯電話なら、同サイト上の「スポット作成」ボタンをクリックするだけで自動的に現在位置を取得して、位置情報を登録できる。これによって、気に入った場所を見つけたらその場ですぐに投稿が可能になった。
また、So-net buzzmapではこの機能強化に加えて、ユーザーが作成したオリジナル地図のコンテスト「So-net buzzmap 主(ぬし)マップコンテスト」を開催した。このコンテストは、特定ジャンルに絞って地図にスポット情報を作成して、完成した地図の人気を競うイベント。審査はユーザーによって行なわれ、各ジャンルで最も支持を得た人が、そのジャンルの“主”となる。
ジャンルは、鉄道に関する知識やエピソードを募集する「鉄道ジャンル」、カレー店の情報を募集する「カレージャンル」、夕焼けの写真がうまく撮影できるスポットを募集する「夕焼けジャンル」、各地のキャラクターに関する情報を募集する「御当地おもしろキャラジャンル」の4種類。いずれも濃いテーマばかりなので、この手の情報に詳しい人は、ぜひ挑戦していただきたい。開催期間は7月31日まで。
■URL
So-net buzzmap
http://buzzmap.so-net.ne.jp/
(2007/06/21)
碓氷 貫(うすい とおる)
地図に関することならインターネットの地図サイトから紙メディア、カーナビ、ハンディGPS、地球儀まで、どんなジャンルにも首を突っ込む無類の地図好きライター。地図とコンパスとGPSを片手に街や山を徘徊する日々を送る一方で、地図関連の最新情報の収集にも余念がない。
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