■「だいち」の衛星写真が2万5,000分の1地形図に
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那須岳
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立川
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ユニヴィジョンは、人工衛星から撮影された画像を縮尺2万5,000分の1の大きさに編集した地形写真「PMAP」を発売した。この写真は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の陸域観測技術衛星「だいち」の観測画像を基に作成されている。JAXAはだいちの一般利用の促進を図っているが、PMAPはその一環でもある。
PMAPの特徴は、国土地理院が発行する2万5,000分の1地形図の範囲に準拠して作られている点だ。サイズも地形図と同じ大きさになっており、地形図と地形写真を見比べることで、実際の地形や道路、建物の様子を楽しめる。色調や明るさなども臨場感が湧き上がるように調整されており、草木や水、雪の状態などがよくわかるようになっている。
実際に見てみると、かなり鮮明な写真だ。これならポスターとして壁に貼っても見応え十分である。サンプルとして見たのは栃木県の那須岳と東京都の立川市の地形写真だが、那須岳の方は白茶けた山肌の様子がよくわかる。山の稜線や谷の様子もくっきりと映っており、緑のエリアもさまざまな濃さの違いがわかりやすく、ゴルフ場のコースの形なども確認できる。
立川市の方は家屋やビルが密集した写真で、屋根の色などの細かい部分もリアルに映っている。幹線道路や鉄道の線路も見やすく、街がどのように広がっているかを把握するには、地形図を見るよりもこの写真を見た方が早いかもしれない。ちなみに那須岳と立川市の両方とも、撮影年月日は2007年5月3日となっている。
価格は1部が1,730円。10月に発売の第1弾ラインナップは、槍ヶ岳や穂高、上高地、八ヶ岳などの山岳地帯を中心に16地域。その後は日本百名山や、東京、大阪、名古屋など全国の主要都市を順次発売する予定だという。
ユニヴィジョンでは、PMAPの活用の仕方として、グループ山行の記念品や環境情報の調査資料、都市計画の資料として使うことなどを挙げている。現在、大きな書店では国土地理院の2万5,000分の1地形図のコーナーが設けられているが、いずれはPMAPのコーナー設置も当たり前になるかもしれない。
■URL
商品概要
http://www.uvinc.jp/pmap/
JAXAのニュースリリース
http://www.jaxa.jp/press/2007/10/20071002_daichi_j.html
■360度の全周囲画像サービス「LOCATION VIEW」
アイディーユーとアジア航測は、全周囲画像を見られる地図サービス「LOCATION VIEW」を一般公開した。同サービスは、地図上で任意の位置を指定すると、その地点の周囲の状況を360度のパノラマ映像で表示するコンテンツ。この映像は、鉄道の駅から1km圏内の地域で車両が進入可能な道路をすべて走行して撮りためたもので、第1弾として10月9日に東京23区の映像を公開、さらに16日に大阪市、23日には名古屋市も公開した。このほか、横浜市と川崎市は撮影を完了しており、順次公開予定だ。1年後には全国の政令指定都市の公開を目指す。
現在のところ無料で利用可能で、トップページから「ゲストログイン」ボタンをクリックすることでアクセスできる。地図画面は、上部にパノラマ映像、下部に地図が表示される「LV+MAP」、昼画面と夜画面など2種類の時間帯の映像を見比べられる「LV+LV(Time View)」、正面映像と横を見た映像の2種類が見られる「LV+LV(Side View)」、地図を表示しないでパノラマ映像のみを大きなサイズで表示する「LV(Wide)」と、計4種類の画面モードが用意されている。パノラマ映像を見るには、下部の地図上で見たい位置をダブルクリックすれば、その地点の映像に切り替わる。
右上には自動車を円で囲んだ操作パネルがあり、ここをマウスで操作することで、360度のあらゆる方向の映像が見られる。「FRONT」と「BACK」ボタンを押すと、前後に進んだ場合の動画が見られる。画面の拡大や仰角の調節も可能だ。
ルート検索機能も搭載している。右下のタブから「Route」を選んで出発地と目的地を地図上で指定すると、ルートが地図上に表示される。そのまま再生ボタンを押すと、そのルートの走行動画が見られる。さらに地図上にはおすすめスポットが登録されていて、レストランやブティックなどのURL情報が埋め込まれている。パノラマ映像だけでなく、タウン情報が収録された地図コンテンツとしても利用可能だ。
地図上で「撮影済道路 ON」というボタンをクリックすると、映像が収録されている道路が緑色の線で示されるが、これを見ると東京都内の道路を本当にくまなく撮影したのがわかる。誰もが利用できる全周囲画像配信サービスとして注目のサイトと言えるだろう。
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LOCATION VIEW
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ルート検索
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■URL
LOCATION VIEW
http://www.locaview.com/
■海岸線の自然環境がわかる「脆弱沿岸海域図」
タンカーの座礁などによる油流出事故が世界各地で起きているが、これらの事故が自然環境に与える影響は計り知れない。特に日本は島国で海に囲まれているだけに、海岸線への影響については十分な危機管理が求められている。そのために環境省では、Webサイト上で「脆弱沿岸海域図」という調査資料を公開している。このサイトでは海岸線の脆弱性(Environmental Sensitivity Index)を考える基準として、残留性や漂着のし易さ、除去のし易さ、生物に対する影響、海岸線を利用する人間の生活や産業に与える影響など、さまざまな角度からのデータが調べられる。
使い方は、トップページから「各都道府県の選択画面へ」をクリックして、見たい地域と都道府県を選択する。用意されているのは、地形や生態区分、生物対照群など5種類の尺度からそれぞれの脆弱度を計算した「評価図」と、環境省の調査によるデータを基礎資料として、海岸周辺に存在する藻場や干潟、希少生物の分布状況、自然公園などの場所の設定状況などをまとめた「情報図」の2種類だ。
各都道府県について評価図の中からいずれかをクリックすると、地図上に情報が表示される。この評価図は、国土地理院が発行する数値地図200000(地図画像)を複製したもので、評点が色別に示されている。また、評点や生態区分のテキスト情報も収録されており、これを見ると具体的な数値が表にまとめられている。
これらの情報は、基本的には油流出事故の際に自治体がオイルフェンスを敷設したり、防災計画を策定する際の基本情報として活用することを前提に作られているが、このように広く公開されていれば、例えば流出した油を清掃除去するボランティア団体など、民間の組織が活用することもできるだろう。
さらに、油流出事故対策のほかにも、純粋にその海岸線の状況がわかる資料として使うこともできる。例えば「レジャーに関する情報図」を見ると、海岸線に点在するレジャースポットが示されており、各スポットをクリックするとテキスト資料が表示されて詳細情報を確認できる。また、「生態対象群に関する情報図」などを見れば、希少生物が棲息しているスポットがわかる。環境を調べる資料としても使えるこのコンテンツを使って、海岸線の状況をウォッチしてみてはいかがだろうか?
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地形と生態系に関する評価図
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レジャーに関する情報図
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■URL
脆弱沿岸海域図
http://www.env.go.jp/earth/esi/esi_title.html
(2007/10/25)
碓氷 貫(うすい とおる)
地図に関することならインターネットの地図サイトから紙メディア、カーナビ、ハンディGPS、地球儀まで、どんなジャンルにも首を突っ込む無類の地図好きライター。地図とコンパスとGPSを片手に街や山を徘徊する日々を送る一方で、地図関連の最新情報の収集にも余念がない。
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