■世界の雨量分布図速報を準リアルタイムで配信
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世界の雨分布速報
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「Google Earth」上で表示
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宇宙航空研究開発機構(JAXA)の地球観測研究センター(EORC)は、世界の雨量分布図の準リアルタイム配信を開始した。これは、熱帯降雨観測衛星「TRMM」に搭載のTM1センサーや、米国の地球観測衛星「Aqua」に搭載のAMSR-Eセンサー、米国の軍事気象衛星「DMSP」に搭載のSSM/Iセンサーなどの観測データを使って作成する高分解能の分布図だ。観測後約4時間が経過したデータをもとに作成して1時間ごとに更新する。
「世界の雨分布速報」のトップページにアクセスすると、最新の世界の雨量分布図が表示される。地図をクリックすると、別ウィンドウが立ち上がって拡大図が表示されるが、国ごとの降雨状況をチェックできるような細かい縮尺は用意されていない。あくまでも、どの地域で降雨があるのかを大まかに知るためのものだと考えた方がいいだろう。地図のすぐ下に降雨強度の色分けが表示されており、降雨強度の強い地域が色でわかるようになっている。
過去の分布図もストックされているので、ページ上部で日にちと時間を指定すれば、その日時の降雨状況を調べることも可能だ。また、地図左上に用意された「Latest 10 hours」というボタンをクリックすると、過去10時間分の画像が一覧表示されて、雨量の推移が見比べられる。さらに「24h Movie」というボタンをクリックすると、過去24時間の雨分布のアニメーション画像も見られる。マイクロ波放射計の観測範囲を重ねた図が見られる「MWR Coverage」というボタンも用意されている。
「Google Earth」というボタンをクリックすれば、雨量データをGoogle Earth上で見ることも可能だ。雨量分布の状況だけでなく、雲のデータも重ねられるので、天気の状況がよくわかる。Google Earth上で見た方が、本サイト上で見る地図よりも拡大できるので、細かい地域の降雨状況を確認しやすい。
この分布図における降雨強度の算出については、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業チーム型研究(CREST)である「水の循環系モデリングと利用システム」の研究課題「衛星による高精度高分解能全球降水マップの作成」というプロジェクトの研究成果が利用されている。準リアルタイムとはいえ世界規模の降雨分布図の速報は珍しく、研究やビジネスの参考資料としてさまざまな有効利用が考えられるだろう。
■URL
世界の雨分布速報
http://sharaku.eorc.jaxa.jp/GSMaP/index_j.htm
ニュースリリース
http://www.jaxa.jp/press/2007/11/20071114_trmm_j.html
■NHKの「地球データマップ」で使われた統計地図を多数公開
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データマップ集
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地図画面
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NHK教育の「地球データマップ」(毎週木曜午前11時30分~11時50分)という番組をご存じだろうか? さまざまな統計地図で世界の現状を解説する番組で、同番組の公式サイトでは番組で使った統計地図を公開している。サイトにアクセスしたら「データマップ集」をクリックしてみよう。ここでは全20回の番組の各回ごとに分けてデータが用意されていて、計100種類以上ものデータのリストが見られる。
たとえば『自分・世界・地球』という回では、「一人あたり国民総所得(GNI)マップ 国民の経済的豊かさの地図」「平均寿命マップ」「戦争の発生地マップ」「南北の富の配分」などが用意されている。また、「植物の活動アニメ 人工衛星から観測した葉緑素(クロロフィル)濃度」を示した動画や「世界の人口グラフ」など、統計地図以外のデータも数多く収録されている。
ほかには、「21世紀末の気温上昇予測マップ」や「人工衛星からみた夜の地球」などがある『温暖化する地球』、「各漁場の漁獲量変化マップ」や「植物プランクトン分布」などが見られる『魚が消えていく』、「1970年代以降に新出現した感染症」や「HIV感染率(15~49歳)2003年末」が見られる『しのびよる感染症』、「各国の軍事費+戦争の発生地マップ」などが見られる『平和への地図』など、実にさまざまなテーマの地図が用意されている。単にデータを示した地図だけでなく、戦争の発生地マップに1人あたりの国民総所得を重ねた地図など、データを組み合わせることで新たな事実がわかるような地図もある。
左メニューの各回のタイトルをクリックすると、番組内容のダイジェストが見られる。解説文に加えて参考図書が掲載されていたり、「やってみよう」というコーナーではインターネット上で統計地図を探すことも提案しているので、子供の教材としては最適だ。これらの解説を読むことで、統計地図の見方も詳しくわかる。
各地図はJPEGのほかにPDFも用意されており、印刷して使うのにも便利だ。ただし、各マップごとにモノクロや文字なしの地図も用意されていて、その中にはリンク切れになっているものも少なくない。データの量はかなり豊富なので、細かい部分の改善を期待したい。
■URL
「地球データマップ」公式サイト
http://www.nhk.or.jp/datamap/
■データクラフトが「古地図印刷サービス」開始
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古地図印刷サービス
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データクラフトは、同社の地図通販サイト「MAPSHOP」にて、「古地図印刷サービス」の提供を開始した。同サービスは「紙久図や 京極堂」の古地図や鳥瞰図のデータを印刷物にして販売するサービスで、インターネット上から地図のサイズを指定して注文できる。
提供する古地図は「本所絵図」「番町絵図」「萬世御江戸絵図」「平安城洛外之図」「京都大火略図」「萬寿大阪細見図」といった江戸や京などの地図に加えて、縮尺の大きい「大日本全図」や「北海道全図」「大日本管轄分地図 北海道庁管内全図」など。幅広い地域や年代の地図が揃っている。
上空から斜めに見下ろす風景を描いた「鳥瞰図」の方は、「金剛山 鳥瞰図」や「高野聖山鳥瞰図」「叡山頂上一目八方鳥瞰図」など山の風景だけでなく、「西宮市鳥瞰図」「京都交通名所図絵 洛南」「高岡市を中心とせる名所鳥瞰図」「東岩瀬町鳥瞰図」など、街の全景を描いた図もある。中には関東大震災の被災状況を描いた「関東震災全地域鳥瞰絵図」といった珍しい作品もあるので要チェックだ。
同サイトではこれらの古地図や鳥瞰図をサムネイル表示して、クリックすると図の詳細を閲覧できるようになっている。横長の地図はスクロールで全体が見られるようになっているので見やすい。けっして大きな画像が見られるわけではないが、どんな絵が描いてあるのかはだいたいわかるので、これらを1枚ずつ見ていくだけでも楽しめるだろう。
印刷に使用する用紙は、繊維を3次元構造に重ね合わせて結合して多孔質のシートにした不織布で、通常の紙よりも柔らかく破れにくいという。インクは耐候性に優れた水性顔料を使用している。
サイズと価格は、古地図がA2相当(天地420mm以内×左右594mm)で4,200円、A1相当(天地594mm以内×左右841mm)で6,300円、A0相当(天地841mm以内×左右1,189mm)で8,400円。鳥瞰図の方はA2大(天地297mm×左右1,260mm以内)で5,250円、A1大(天地420mm×左右1,782mm以内)で7,350円。2008年1月15日までは消費税サービスのキャンペーンを行なっているので注目だ。古地図好きの人は自分のお気に入りの1枚を部屋に飾って、新年を迎えてはいかがだろうか。
■URL
MAPSHOP「古地図印刷サービス」
http://www.mapshop.co.jp/special/print/kochizu.html
(2007/12/06)
碓氷 貫(うすい とおる)
地図に関することならインターネットの地図サイトから紙メディア、カーナビ、ハンディGPS、地球儀まで、どんなジャンルにも首を突っ込む無類の地図好きライター。地図とコンパスとGPSを片手に街や山を徘徊する日々を送る一方で、地図関連の最新情報の収集にも余念がない。
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