■高精細の古地図を閲覧できる徳島大学付属図書館のアーカイブ
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徳島大学付属図書館 貴重資料 高精細デジタルアーカイブ
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古地図を公開しているサイトはインターネット上に数多くあるが、粗い画像しか掲載していない場合が多く、地図上の細かい部分は判別できない場合がほとんどだ。ところが、徳島大学付属図書館が提供している「高精細デジタルアーカイブ」では、かなり高精細な古地図画像を閲覧できる。
用意されている画像は、各エリアの地理を国や郡単位で描いた「国絵図・郡絵図」、徳島および洲本の城下の街の様子を描いた「城下絵図」、村の様子を描いた「村地図」、吉野川下流域を描いた「河川絵図」、伊能忠敬によって作成された「伊能図」、海外から入手した地図をもとに作成された「世界図」の計6種類。各カテゴリーをクリックするとアーカイブの表が出てくるので、この中から興味のある古地図を選んでみよう。資料名をクリックするとタイトルや作成者名、技法、保存状態、解説などの詳しいデータが表示されて、サムネイルをクリックすると地図が表示される。
注目すべき点は、ほとんどの地図で部分拡大できるエリアが用意されている点だ。全体を見渡しただけではわからない細かい部分の絵が、部分拡大をすることで詳しく閲覧できる。ただしJPEG画像で提供している古地図については、部分拡大できるエリアは一部分しかなく、その点は少しもの足りない。
一方で、高速画像ビューアツール「ZOOMA」を使った画像も提供している。トップページから「高精細画像(ZOOMA)」というリンクをクリックすると、ZOOMAで見られる地図のリストが並んでいる。提供されているのは、四国や淡路島の沿海地図「大日本沿海図稿 南海」や、「阿波国絵図」、徳島の城下町の様子を描いた「御城下絵図」、洲本の様子を描いた「洲本御山下画図」、西南日本の沿海地図「官板実測日本地図(山陰・山陽・南海・西海)」など計10点。
地図は、スライダーやマウスホイールで拡大・縮小が可能で、右クリックしながらドラッグするとページのスクロールが可能だ。古地図は文字が細かいものが多いが、このサイトの場合は画像が高精細なのでとても読みやすい。これだけの高精細な古地図画像をインターネット上で見られるサイトは珍しく、古地図フリークとしては見逃せないサイトと言えるだろう。
■URL
徳島大学付属図書館 貴重資料 高精細デジタルアーカイブ
http://www.lib.tokushima-u.ac.jp/~archive/
■アニメ「世界名作劇場」を地理の切り口で考察
「母をたずねて三千里」や「ペリーヌ物語」など、数々の名作アニメを生み出してきた「世界名作劇場」。その舞台となったのは、ヨーロッパやアメリカ、オーストラリアなど、世界のさまざまな国や地域だ。子供の頃は漫然とテレビを眺めていた人も、大人になってあらためて振り返ってみて、「マルコはどのようなルートで旅したのだろう」とか、「トム・ソーヤーが遊んだミズーリ州ってどんなところ?」といったふうに、いろいろと疑問を持っている人も少なくないのではないだろうか。
「世界名作劇場地理的大解剖」は、そんな疑問に答えてくれるサイトだ。世界名作劇場の各作品について、地図を示しながら詳しく解説している。まずはトップページ下部の世界地図を見てみよう。地図上には世界名作劇場の作品のタイトルが並んでいる。こうして見てみると、やはりヨーロッパを舞台にした作品が群を抜いて多いことに気付かされる。
ヨーロッパは拡大図が用意されていて、この中には母をたずねて三千里のほかに「トラップ一家物語」「小公女セーラ」、そして世界名作劇場ではないが「アルプスの少女ハイジ」など、おなじみの作品タイトルが数多く並んでいる。「フランダースの犬」など、まだ解説ページが作られていないページもあるが、今後の充実に期待しよう。
解説ページは、放映期間や放映リストなどの基本データに加えて、作品を地理的に考察するためのさまざまな資料が掲載されている。例えば、母をたずねて三千里の場合は、大西洋を渡る海路と、南米のアルゼンチンを旅した陸路の2種類の地図を用意して、その軌跡を図示している。地図の下には内容をまとめた表があり、何話から何話まではどの街にいて、その時の登場人物や事件などが一覧できるようになっている。また、移動する際の交通手段や、移動距離までも掲載されている。
特に距離については、キロメートル表示だけでなく、タイトルにあやかって里(マイル)に換算した数字を載せているのも芸が細かい。ちなみにこの計算によると、総移動距離は3,000里どころではなく、合計約9,500里であることがわかった。ほかにも地名の詳細や当時のアルゼンチンの状況、言語についてなど、さまざまな角度から作品を考察していて、じつに充実した内容となっている。
このほかの作品についても、読み応えたっぷりの解説が用意されている。往年のファンはもちろん、最近の子供たちにもぜひオススメしたいサイトだ。
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世界名作劇場地理的大解剖
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「母をたずねて三千里」解説ページ
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■URL
世界名作劇場地理的大解剖
http://www.alpha-net.ne.jp/users2/norioh/meigekichiri.htm
■複数の行き先を同時検索できる「地図ポン」
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地図ポン
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検索結果
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地図サイトを使っていてよく不満に思うのが、行き先が1カ所しか設定できない点だ。目的地が複数カ所ある場合は、プリントアウトした上でペンで印を付けたりしなくてはならず、面倒くさいことこの上ない。
そんな悩みを持つ人にオススメなサイトが「地図ポン」だ。このサイトでは、Google Maps上に5つまで行き先を設定して、それらを同時に表示できる。
トップページにアクセスすると5つの入力欄が用意されているので、ここで行き先を入力する。入力形式は住所でもよいし、有名なスポットなら施設名を直接書いてもOKだ。「富士山」や「河口湖」など山名や湖名も直接入力できる。また、各欄にスポット名と住所を混ぜて入力することも可能だ。
例えば「東京ドーム」「東京タワー」の2つで検索すると、その2カ所が表示された地図が表示される。便利なのは、設定された複数のスポットがすべて収まる範囲で、適度な縮尺が自動的に選択される点だ。この場合は、北は文京区の春日、南は港区の芝公園くらいの範囲で表示される。調整不要で適切な縮尺が示されるので、ユーザーは何も考えずに、検索してそのまますぐにプリントアウトできる。
なお、このサイトは「ホットペッパー.jp」や「ぐるなび」などのグルメ情報サイトの情報も参照でき、設定した行き先の周囲のグルメ情報が自動的にアイコンで示される。アイコンをクリックすると詳細情報がポップアップで表示される。地図の左の「行き先リスト」上で、「付近のグルメ情報を非表示」のチェックを入れれば、非表示にすることも可能だ。このメニュー上では、行き先にメモ書きを入れたり、行き先を削除したりすることもできる。また、「次の行き先を入力してください」という入力欄に新たな行き先を入れることで、目的地も簡単に追加できる。
このように複数の目的地を同時に表示できる地図ポンは、今までありそうでなかった新しいタイプの地図サイトだ。営業マンが訪問先の周辺のグルメ情報を探したり、趣味の街歩きで行き先を複数設定したりと、さまざまな使い方ができるだろう。
■URL
地図ポン
http://plus.vc/map/
(2008/01/31)
碓氷 貫(うすい とおる)
地図に関することならインターネットの地図サイトから紙メディア、カーナビ、ハンディGPS、地球儀まで、どんなジャンルにも首を突っ込む無類の地図好きライター。地図とコンパスとGPSを片手に街や山を徘徊する日々を送る一方で、地図関連の最新情報の収集にも余念がない。
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