【新技術/P2P】
分散P2Pの弱点を克服したファイル交換ソフト「Locutus 0.2」発表
~Ian Clark氏が設立したCematicsがプロトタイプを公開
■URL
http://locut.us/
Freenet開発者のIan Clark氏が設立したCematics社が、P2Pアプリケーション「Locutus」のバージョン0.2プロトタイプを公開した。.NETアプリケーションとして開発されたプロトタイプは、昨年公開されたものよりも大幅に完成度が増しており、分散P2Pの弱点を克服し、ファイル交換のセキュリティーを向上させる意欲的なものとなった。
これまでP2Pアプリケーションには二つのタイプがあった。Napsterは音楽ファイルを検索するために中央サーバーを使って効率化した。これに対してGnutellaは完全に分散されたピュアP2P環境を実現した。検索速度やスケーラビリティーに関しては、ピュアP2PよりもNapster型のほうが勝っているといわれている。
Locutusは完全な分散P2Pでありながら、非常に短い時間で何千ものコンピューターを検索することができる。これによりP2Pアプリケーションで必要とされる帯域幅を大幅に減らすことが可能だ。こうした技術はファイル交換ソフトに限らず、将来さまざまな用途が期待されるP2Pアプリケーションへの応用が期待される。
さらにLocutusでは、共有するファイルをファイル名やファイルサイズだけでなく、サーチエンジンのようにファイルの中身によって検索できるようにした。また、ファイル交換のセキュリティーを向上させ、知らない内に自分が知らないファイルが共有されることがないようにした。
Cematics社は、Locutusのプロトタイプと今年1月に公開予定の「Locutus Lite」を無償で提供する。またセキュリティーを軍用レベルまでに向上させる「Locutus Enterprise」は今年3月に発売される予定だ。Locutusのビジネスモデルに関しては明らかになっていないが、Locutusがオープンソースアプリケーションになることはないという。
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(2003/1/15)
[Reported by 青木 大我 (taiga@scientist.com) ]
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