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【レポート】

北海道江別市のWebONE、エリア限定で月額4,980円のFTTHサービス
低料金光ファイバで“ローカルエリアネットワーク”構築を目指す

■URL
http://www.webone.ne.jp/topics/ftth3.htm

今回のアンバンドルサービスで「アクセス回線重視のローカル系エッジプロバイダーらしい活用案を紹介していきたい」という棟方英代表取締役社長
 北海道江別市でサービスを展開するISP「WebONE」が4日、同市江別・野幌地区と札幌市厚別地区においてエリア限定の低料金FTTHサービスを開始した。もっとも安いコースでISP料金込みの月額4,980円で提供する。

 このサービスは、NTT東日本の「光アクセスラインのアンバンドルメニュー」を利用して提供されるのが特徴だ。アクセス回線部分こそ100MbpsのBフレッツニューファミリータイプと同等だが、NTT収容局以降で地域ISP網に接続されていない。サービスエリア内の収容局から直接WebONEのNOCまで接続しているため、提供できるエリアが限定される代わりに、安価なユーザー料金が実現した。地域IP網のトラフィック状況に左右されず、ユーザーとWebONEネットワーク内で高速接続が維持されるのも強みだという。

 アンバンドルサービスには5つのコースが用意されており、ホームページ容量20MB/メールアドレス1個の「A#コース」が月額4,980円、ホームページ容量100MB/メールアドレス20個/固定IPアドレス1個の「D#コース」が月額6,800円などとなっている。このほかに初期費用として、終端装置4万6,500円(6月30日までキャンペーン価格4万4,800円)と標準工事費用2万3,000円(同1万9,800円)が必要となる。


 地域IP網を利用せずにフレッツのアクセス回線部分のみを活用するサービスは、同社にとって実はこれが2つめ。アクセス回線部分にISDNを利用した定額制サービスとして、2000年12月から「ISDN接続サービス」を提供していた。

 ISDN接続サービスは当初、地域IP網を経由してISPにつながる一般的な「フレッツ・ISDN」と区別して、フレッツ・ISDN「タイプ2」と呼ばれていたもの。フレッツ・ISDNが月額4,500円(当時)だったのに対して、タイプ2は月額2,900円(同)とかなり安価に設定されていた。提供するエリアさえ限定すれば、あとはNTT収容局の加入者モジュールからNOCのRASまでを接続する回線を用意すれば、サービスにこぎつけられる。相互接続時にコストがかさんでしまう機器のコロケーションの必要もないため、ISPにとっても初期コストを比較的安価に抑えることができるというメリットもあった。

 実際のところ、もともと江別市内にダイヤルアップAPを開設していたWebONEでは、すでにNTT収容局とNOCを結ぶ回線としてINS 1500を引いており、タイプ2開始にあたってはこれを何本か増強するだけだったという。確かに、いったん地域IP網に相互接続してしまえば、収容局を限定することなく道内全域を広くカバーできる。しかし、それには相互接続点がある隣りの札幌市内の収容ビルまで回線を調達しなければならず、中継回線の月額使用料だけでも10倍以上。さらにコロケーション費用も発生するため、エンドユーザー料金を下げるにも限界がある。フレッツ・ISDNに対応しても、「うちみたいな地域ISPが後追いでやっても何の競争力も得られない」(WebONE代表取締役社長の棟方英氏)と判断した。

 しかし逆に、サービスエリアを限定できる地域ISPだからこそ、タイプ2を活用することで大手ISPに対抗できる競争力を得ることができた。月額1,600円の差はエンドユーザーにとって大きく、WebONEがタイプ2サービスを開始してから半年ほどで会員は3.5倍に増加。新規会員の9割がタイプ2を利用するほどで、やはり他社のフレッツ・ISDNから乗り換えてきた人も多かったという。


 ところが、タイプ2サービスの開始から半年あまり後、日本のインターネットサービス事情は一変する。「Yahoo! BBショックなどの影響」(棟方氏)もあって、タイプ2の加入者の伸びは鈍化していった。現在は月額2,100円まで値下げされているものの、低料金化と同時に通信速度も軒並み最大8MbpsにアップしたADSLに対して、ISDNは依然として64kbps。コストパフォーマンスで判断すれば、タイプ2サービスも以前ほど魅力的なサービスではなくなっている。

 そんな状況の中で、WebOENにとって「久々に手に入った武器」が、今回提供を開始したFTTHサービスである。「ADSLは距離の問題がある。北海道でやるのであれば、光のほうが向いている」として、すでに2001年ごろからISDNの次のステップとして構想を練っていたものだ。

 ISDNのときと同様、アンバンドルサービスのセールスポイントとしてまず挙げられるのが安価な料金設定だ。江別市では一般的なBフレッツの提供もアナウンスされているが、WebONEのA#コースであれば、ダイヤルアップやPHS接続にも対応し、ホームページやメールまで含んで月額5,000円を切っている。

 同社が意識しているのは、FTTH他社との価格差だけではない。現時点ではADSLとの比較になるとしており、「むしろADSLが使えない地域での利用やISDNの後継手段として、ブロードバンドの選択肢を広げるという役割のほうがは大きいと考えている」という。北海道は光収容率が高い上に収容局からの距離の問題もあるため、江別市内におけるADSLの面積カバー率は半分にも満たないのではないかとしており、FTTHで網羅的なサービスを展開することも「一種の競争力」だとしている。


かつて煉瓦工場が集積していた江別市には、今でも所々に煉瓦造りの建物が残っている。現在は市内のインキュベーションオフィスに入居しているWebONEだが、当初は同社のポスターにも描かれたような古い煉瓦造りのビルの一室からスタートしたという
 このように、Bフレッツの高速なアクセス回線部分だけを切り離すことで低料金サービスを実現すると同時に、ADSLに対しても距離の面でアドバンテージを持つWebONEのFTTHサービスだが、同社がユーザーに提供しようとしている機能は、これらのサービスとはかなり異なる方向性を持つもののようだ。

 実は、今後増速していく予定とはいえ、WebONEからインターネットへ抜けるバックボーンは今のところ3Mbpsである。FTTHの100Mbpsというスペックからユーザーが想像するようなスループットでインターネットまで行けるわけではない。これにはもちろん、コスト面での制約もあるだろう。しかし、インターネット接続だけが目的ではないサービスとして展開しようとしているのも事実だ。「まさに“ローカルエリアネットワーク”としての使い方を強調していくことになる」(棟方氏)。

 WebONEの考えるローカルエリアネットワークとは、その地域全体を包括するようなLANであり、その中で快適に使えるブロードバンドサービスやコンテンツを充実させていこうという考えだ。すでに広帯域ストリームコンテンツのテストも実施しており、今後、地元の大学などと協力しながら地域情報アーカイブの構築を検討しているという。また、地域内で調達できないコンテンツについても、衛星経由やハードディスクの持ち込みにより、バックボーンに負荷をかけずにローカルエリアネットワークに取り込むことも考えられる。さらに、企業向けには、エリア内の拠点間を結ぶVPNやライブ中継サービスも増えるとしている。

「現在のインターネットの状況では、WebONEからインターネットに抜けるバックボーンの帯域とは無関係に、ブロードバンドコンテンツが十分に使えない状況にある。本サービスでは、“地域”に着目することでその点の不具合を緩和するとともに、従来はなかった地域に特化したブロードバンドサービスを展開したいと考えている」(棟方氏)。

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(2003/6/5)

[Reported by nagasawa@impress.co.jp]

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