【ブロードバンド】
みあこネットが実験期間を延長してビジネスモデルを模索公衆無線LANは「来客への“しつらえ”」として必需品に
NPO法人の日本サスティナブル・コミュニティ・センター(SCCJ)は18日、京都を中心に展開している無料の公衆無線LANサービス「みあこネット」の実験期間を1年間延長し、2004年12月末まで継続することを明らかにした。基地局を現在の230局(5月末時点)から350局以上に拡大するとともに、本格展開へ向けたビジネスモデルも検討していく。 みあこネットではすでに3月から、VPNでセキュリティを確保する「みあこII」サービスを開始。6月10日に全基地局のVPN対応が完了したという。これにより登録ユーザーは、Windows XPなどに実装されているPPTP機能で、みあこネットの公衆無線LANサービスをセキュアに利用できるようになった。みあこネットが設置するVPNサーバーとの間にトンネリング接続を確立する仕組みとなっており、アカウント登録者は4,600人(5月末時点)に達している。 このように、みあこネットが自身がVPNサーバーの運営やアカウント発行を行なう従来のモデルに対して、今後は“入口”の増加に注力する方針だという。これは、VPNの入口にあたる無線基地局についてはみあこネットが増やしていく一方で、“出口”にあたるVPNサーバーについては、ISPなどの別の企業による設置を促進。これらの企業が個々に発行するアカウントを使って、それぞれの会員ユーザーがみあこネット経由でインターネットに接続できる環境を整備するというものだ。「b-mobile」を展開する日本通信がすでにこの仕組みを活用しているが、SCCJでは企業や大学などにもVPNサーバーの運用を提案していくという。 みあこネットは現在、京都市内のほかにも鳥取や富山、東京、沖縄など、全国に基地局が拡大しつつある。みあこネット接続料金である月額4,700円を負担する必要はあるものの、専用の無線ルータは無償貸与される。企業や個人がADSLなど既存のブロードバンド回線にこれを追加するだけで、その一部の帯域を公衆無線LANサービスとしてに開放できるということで、趣旨に賛同するメンバーが増えている模様だ。 ただし、集客効果などをうたう他の無料スポットのビジネスモデルと異なるのは、「基地局オーナーにとって何のメリットもない。リターンはないと思って下さい」(SCCJ代表理事/みあこネット事業統括責任者の高木治夫氏)と説明している点だ。みあこネットではこれを「客間の亭主モデル」と呼んでおり、客間や生け花、お茶など、来客に対する“しつらえ”が各家庭にあるように、企業やその地域を訪れる人のためのしつらえとして、無料で使える無線LAN環境が必需品になると強調している。
◎関連記事 (2003/6/18) [Reported by nagasawa@impress.co.jp] |
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