【実証実験】
国立情報学研究所、グリッド研究開発のプロジェクトを開始■URL
プロジェクトでは、研究用グリッド基盤の確立から、グリッド技術の標準化、産業界へのグリッド環境の普及、グリッド分野における人材育成などを目的とした展開を行なっていく。国立情報科学研究所を中心として、富士通や日立製作所、NECなどの企業関係、分子科学研究所や大阪大学などの学術関係、産業総合研究所やITBL(ネットワークを用いて仮想共同研究環境を実現するプロジェクトで、2001年から活動)などの政府関係が参加する、産学官連携で展開していく。 具体的には、100Tflops(テラフロップス、毎秒1兆回の浮動小数点演算を行なう能力を示す単位)級のグリッドコンピューティング環境の実現を目標に、実現に必要なグリッド基盤ソフトウェア技術や、グリッドに適したネットワークの応用技術についての研究開発を行なっていく。ネットワークには全国の大学等研究機関が利用している学術情報ネットワークの「スーパーSINET」を利用。バックボーンは10Gbpsとなる。 当初はグリッドミドルウェアやグリッドアプリケーションの開発を中心に展開し、その後“たんぱく質の立体構造の計算”や“カーボンナノチューブの物性解析”といったナノ分野で、グリッド環境の適用と実証を行なっていく。プロジェクトで開発したソフトウェアはオープンソースとして公開する予定で、また他の産業界へ向けたアプローチも図る方向だ。 プロジェクトリーダーを務める国立情報学研究所客員教授の三浦謙一氏は、「国内最大のグリッドコンピューティング環境と言われる地球シミュレータは約40Tflopsで、国立大の計算センターの環境では2~5Tflops。このプロジェクトでは5年後の2008年に、100Tflopsの環境実現を目指していく」と述べた。またビジネス分野でのグリッドコンピューティングについて、「現在はseti@home的なグリッドコンピューティングを企業のイントラネット内でやるケースがあるくらいで、セキュリティの問題もあり、まだまだの状況。iDC同士をグリッドコンピューティングで結ぶことはここ1~2年で現実化すると予想され、今後Webサービスとグリッドの連係など、ビジネス分野でのグリッドコンピューティングの応用が進んでいくだろう」と述べた。
◎関連記事 (2003/7/1) [Reported by aoki-m@impress.co.jp] |
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