【セキュリティ】
IPA、上半期および6月度のウイルス被害届出状況を公開■URL 情報処理振興事業協会(IPA)は3日、2003年上半期および6月度のウイルス被害および不正アクセスに関する届出状況を公開した。 6月度のウイルス被害届出数は1,401件で、5月度の1,458件より若干減少した。1位は変わらずKlezで420件、2位はBugbearで294件、3位はFizzerで238件と続いている。これらのウイルスは、いずれも差出人のアドレスを詐称する。このような差出人を詐称するウイルスは、感染者の特定が難しく、特定の感染者が長期に渡って感染し続ける可能性が高いため、届出件数もなかなか減少しない。 上半期の届出数は7,366件となっており、前年度の上半期1万1,567件と比較して約36%も減少した。これは、Klez以外に目立ったウイルスが発生しなかった点や、最も流行したKlezも発見から1年半以上経過しており、ある程度対策ができていることが理由に考えられる。届出数の上位で見ると、1位はKlezで2,630件、2位はSobigで719件、3位はBugbearで664件だった。これら届出数上位のウイルスは、ウイルス自身のメール送信機能に加えて、バックドア機能やP2Pを利用して感染する機能、情報漏えい機能など、複数の機能を持ったウイルスが増加していることから、IPAではより一層の警戒が必要だと警告した。
不正アクセスの6月度届出状況は43件で、5月度の34件より約26%増加した。さらに、43件の届出のうち実害があった件数は18件と2003年で最多。実害の内訳は、侵入被害が12件、アドレス詐称3件、DoS攻撃1件、その他(ブラウザ設定の改ざん)2件だった。被害実例では、「セキュリティ設定を行なわずに無線LANを利用していたら、音楽ファイルなどをPC上に保存されていた」、「SSLの脆弱性を利用して侵入されて、バックドアを仕掛けられた」「Linuxサーバーの脆弱性を利用されて、侵入された」などが紹介されている。 一方、上半期の届出は208件で、前年同期409件と比較して半減している。これは、ポートスキャンの届出が大幅に減少したからだ。この理由としてIPAは、「2002年度はDSLの普及が始まったばかりであり、常時接続に慣れないユーザーが比較的多くポートスキャンを報告してきたためだ」と分析している。 届出のあった208件のうち実害があったのは65件で、被害内容は36件、アドレス詐称7件、メール不正中継4件、DoS攻撃4件、SPAM2件、ワーム感染1件、その他11件だった。特徴的なのは被害原因で、「古いバージョン、パッチ未導入」が一番多く13件、「設定不備」が10件と比較的安易なミスが多い。また、Slammerが利用する1434/udpポートへのアクセスが依然としてあるなど、ウイルスが利用するポートへのポートスキャンが多く観測しており、IPAではこのようなウイルスに脆弱性を攻撃されないためにも、「パッチをあてる」という基本事項をもう一度確認するように注意を促した。 ◎関連記事 (2003/7/3) [Reported by otsu-j@impress.co.jp] |
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