【著作権】
独最高裁「検索エンジンのニュースソース表示は合法」著作権及ばずと判示
■URL
http://juris.bundesgerichtshof.de/cgi-bin/rechtsprechung/document.py?Gericht=bgh&Sort=3&Datum=2003&Art=pm&client=10&anz=96&pos=0&nr=26553&id=1058802039.92 (独文)
独最高裁は17日、検索エンジンサイトを運営する独Paperboyに対して、検索結果にニュースソースのURLを表示する行為が合法であると判示し、上告人(原告)の訴えを退けていたことが明らかになった。
この裁判は、独大手メディアのHandelsblattおよびDMが、Paperboyに対して、同社がインターネット上のサービスとして、検索結果の一部に、当日のニュースを含むコンテンツへのリンクを表示し、コンテンツをデータベースに保存する行為が著作権法および競争法違反であるとして訴えていたもの。これに対して、地裁では原告の訴えが認められ違法とされたが、控訴審裁判所では、表示方法などを修正することで合法であると判示されていた。今回は上告が基本的に棄却されたことになる。
今回の判決では、独最高裁は、被上告人(Paperboy)の行為は上告人(メディア側)の行為を全く侵害していないと結論付けた。ハイパーリンクだけでは、実質的な(著作権などの)実施行為を行なったとは言えず、著作権を侵害しているとは言えないと判示された。また、データベースの構築自体についても合法とされた。ディープリンクの形式でハイパーリンクを張ること自体の判断は、争点ではなかったことから判示されなかった。しかし、解釈次第でディープリンク自体が独では合法と認められる可能性は残された。
独最高裁は、そもそもネット上の著作権者は、著作物をネット上に載せることによって検索エンジンが検索可能であるかどうかとは関係なく誰かに利用可能にする行為を行なっていると見なされると判断。従って、ネット上への掲載行為自体が著作権の一部開放を意味するとも判示している。また、ハイパーリンクはリンクを容易にする技術ではあるが、著作権の権利開放とは関係がなく、ハイパーリンクが張られていること自体は選択事項に過ぎず、本質には関係ないと判示された。
この判決は、独におけるリンクのあり方を示すものとして注目される。特に、検索エンジンの行為がある程度合法と認められた点は大きく、独ネット社会全体としては歓迎する見方が多いようだ。
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(2003/7/23)
[Reported by Gana Hiyoshi]
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