INTERNET Watch Title

Click


【連載】

ホームページ安全講座


第6回:IPアドレスとリモートホストについて

  人のホームページを見ていたり、掲示板やチャットに参加しているだけでも、実はかなりの個人情報を流出している可能性があります。今回は、どんな個人情報が人に知られるかを正確に知ってる初心者の方は少ないと思うので、説明をしたいと思います。
 まず、ホームページにアクセスすると、どんな情報がわかるのかを、「Yamauchi's Your Environment Check! 」で見てください。

 ホームページのオーナーが「アクセス解析」を行なっていれば、ページを訪ねてきた人の「リモートホスト」や「IPアドレス」、ブラウザーのバージョン、OSのバージョンなどはすぐに分かります。掲示板への書込みのログにも、それらの項目が記載されます。それが表示されるかどうかは、その掲示板しだいです。一般的には、リモートホストぐらいは表示されるところが多いようです。

 各項目について説明をしましょう。ダイヤルアップ接続の人であれば、プロバイダーと呼ばれるインターネット接続業者のアクセスポイントにパソコンで電話をかけます。そして、プロバイダーは個々に回線を割り当てて、ユーザーをインターネットへ接続させます。この時に、リモートホストとIPアドレスが個人情報として与えられます。

 このリモートホストは、どのプロバイダーのどのアクセスポイントを使っているかを表します。リモートホスト名で、大体どの地域に住んでいるかわかります。会社からアクセスしていればどの会社にいるか、学校からアクセスしていればどの学校かはこれでわかります。
 IPアドレスは、「123.456.789.00」というような数字の羅列で表されます。これがインターネットにおいて、個人を識別する番号となります。
 IPアドレスから利用しているプロバイダーやドメインの情報を調べるには、IP・ドメインSERCH IIが便利です。

 ちなみにこのIPアドレスは、普通はプロバイダーに接続しなおすごとに違う番号が割り当てられます。ですから、同じIPアドレスであっても、日や時間が違えば同じ人とは限らないわけです。ただし「専用線」の人は、だいたいが同じIPアドレスとなり、IPからかなり詳しい個人情報が判明することもあります。

 さて、これらの情報からどのようなことがわかるかについて見てみましょう。
 リモートホストからは、前述の通り「どのプロバイダーを利用している」「アクセスポイント名からおよその住んでる地域」がわかります。また、会社や学校からアクセスしているのであれば、会社名や学校名がわかります。それ以上の情報は、普通ではわかりません。IPアドレスから、それを使っている個人のメールアドレスがわかることもありません。
 チャットで「お前の住所や電話番号がIPからわかるぞ」いう脅している人がいるかもしれませんが、それは嘘です。直接的にはメールアドレスすら調べることはできません。ただし、使っているニックネーム(ハンドル)がアカウント名と同じであれば、プロバイダーさえわかればメールアドレスは判明しますから、安全のためにはアカウント名や本名そのままのニックネームは使わないことです。

 そのIPアドレスを誰が使っているかは、利用しているプロバイダーのログから確定することができます。もちろん、普通の人が問い合せをしても、プロバイダーはどの個人であるかを部外者にもらすことはまずありません。ただし、警察からの要請があった場合にはプロバイダーも情報を開示しますので、インターネットで犯罪をしておいて「バラされないから大丈夫」などと思わないように。
 逆に、なんらかの犯罪の被害者となって、加害者をIPアドレスから特定する必要がある場合には警察に通報してそちらから調べてもらう必要があります。

 もしメールアドレスが分かったとしても、プロバイダーがその人の住所・氏名・電話番号を問い合せた人に教えることはまずありません。もちろん、優秀なクラッカーがプロバイダーのサーバーに侵入して、情報を引き出すことは不可能ではないですが、どこのサーバーにもそれができるほどの腕前の人はそれほど多くありません。

 それより問題は、自分から不注意に個人情報を流してしまうことです。たとえば、以下のようなことが考えられます。

 ・怪しげな懸賞に詳しいプロフィールを書いて応募する。
 ・掲示板やチャットで、うっかり自分の電話番号や住所、またそれらを推測できる書込  みをする。
 ・たいして親しくもない人に、メールなら大丈夫と思って教えてしまう。

 なお、携帯電話の番号からありとあらゆる個人情報を調べ上げることは不可能ではありませんので気を付けましょう。

 問題は、IPアドレスが分かると、直接相手のパソコンにアクセスできる(良い目的でも悪い目的でも)ということでしょう。それを利用してメッセージのやりとりをするソフトなどもありますし、実際それはスムーズにやりとりできるから便利ではあります。メッセージングソフト「ICQ(Windows版)」は、接続している相手に自分のIPアドレスを教える機能がついています(非表示を選択することもできます)。
 その反面、相手のIPアドレスがわかると、その相手のパソコンにアタックをすることができます。処理できない量のデータを送り付けて、パソコンを強制終了させることなども可能です。
 これらの危険を避けるためには、

 ・IPアドレスはマメにかえる(接続しなおすとIPアドレスはかわります)。
 ・IPアドレスが表示される掲示板やチャットには書込みしない。

 (どうしても必要あって書込みした場合はすぐに接続しなおす)
 ・知らない相手に自分のICQ番号を教えたりしない
 ・怪しいホームページにはアクセスしない

などのことを注意しておいた方がいいでしょう。

 犯罪や嫌がらせなどのようなやましいことさえしていなければ、リモートホストやIPアドレスがわかることはそれほど危険ではありません。それよりも、自分から不用意に個人情報を不特定の相手に流さないように気を付けることが大事です。

(99年9月22日)

[Reported by 麻弥]


バックナンバー

第1回:インターネットは夢のメディアか?(8月11日)

第2回:情報の扱い方(8月18日)

第3回:インターネットの危険性(8月25日)

第4回:自由と責任(9月1日)

第5回:引用とリンクのしかた(9月8日)

第7回:掲示板の安全について(9月29日)

第8回:掲示板の運営方法(10月6日)

第9回:気をつけたい著作権(10月13日)


INTERNET Watchホームページ

 


ウォッチ編集部INTERNET Watch担当internet-watch-info@impress.co.jp