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【連載】

ホームページ安全講座


第7回:掲示板の安全について

 最近では、手軽に設置できるレンタルの掲示板も多くなってきています。しかし、誰もが何のトラブルもなく運営することは簡単ではないでしょう。

 管理人の意図しない書込みをされたり、参加者同士がケンカをしてしまったりというトラブルのほかに、「掲示板荒らし」などに付け込まれるという危険があります。揉めごとを防ぐには、掲示板に注意書きをつけて参加者に守ってもらうようにする必要があります。それでも、意図的に「いやがらせ」をする「掲示板荒らし」の被害に合う可能性はあります。
「掲示板荒らし」の被害を少なくする掲示板にするには、以下のようなことが必要です。


(1)HTMLタグは使用できないようにする。
HTMLタグやJavaを使用できるようにすると、下手すれば「ページを開いただけでパソコンがトラブルを起こす」ようにすることが可能です。HTMLタグは一切使えないようにするか、もしくは<FONT>タグなど、危険のない一部のタグのみ使用できるようにするなどした方がよいです。

(2)画像はリンクできないようにする。
画像を掲示板にリンクできるようにしていると、数MBの大きなサイズの画像や、アダルト画像などを埋め込みされる危険があります。また、危険なプログラムを読み出しするような設定にされる危険もあります。

(3)リモートホストのアクセス制限をする。
リモートホストというのは、どこのプロバイダからアクセスしている…というような情報です。リモートホスト単位でのアクセス制限を可能にしておけば、問題のある人のリモートホストからの発言を制限することができます。

(4)IPアドレスのログをとる。
IPアドレスというのは、そのアクセスした人を特定するためのものです。これがわかっていれば、あまりに悪質な場合はプロバイダなどに問い合せをして、やめさせることもできます。ただし、相手が匿名サーバーを使っていたり、偽造している場合は追及することが難しくなります。

できれば、ここまではすべて制限をしておいた方がいいでしょう。全部はダメでも、(1)と(2)だけは絶対に制限をしておくことをおすすめします。それができないと、万が一「荒らし」にあったときの被害が甚大となってしまいます。

さらに以下の機能があると、いざという時に役にたちます。

(5)同一発言を連続書込みできないようにする。
典型的な荒らしは、同一発言をかなりの数書込みすることです。これらができないように、同じ内容の発言をアップできないようにしておくとよいです。

(6)書込み禁止キーワードの設定
たとえば、「死ね」というような、荒らしがよく使う言葉を含む発言を書込み禁止にしておくと、それらの言葉は書込みされません。

(7)1回の発言の書込み容量に上限を作る。
何百行もの発言を書込みをする嫌がらせには効果があります。

(8)管理人が発言を読んでから書込みを公開する機能を利用する
公開前に管理人が発言をチェックできる機能です。掲示板のリアルタイム性は損なわれますが、安全性は格段に向上します。メリットとデメリットを考えて使うといいでしょう。最近のレンタル掲示板でもこの機能を選択できるものが増えています。

 掲示板荒らし対策のしっかりしたレンタル掲示板をいくつか紹介します。

■アミューザーネット
http://hyper4.amuser-net.ne.jp/~renta/renta.cgi 
料金は無料。各種対策がしっかりしています。'99年9月現在、新規レンタルは休止中。

■Tea Cup
http://www.tcup6.com/menu.html
レベル1掲示板(有料)は荒らし対策がしっかりしています。

■インサイドウェブ
http://www.inside.ne.jp/
料金は無料。プロキシ経由のアクセス制限可能。

■ad-sys Free BBSサービス
http://www.ad-office.ne.jp/free-bbs/
料金は無料。アクセス制限可能など。

■ユープラス
http://uplus.net/
料金は無料。アクセス制限可能。

■J-POP Navi
http://www.usen-net.com/bbs/
料金は無料。アクセス制限可能。

 このほかにも、特定のリモートホストからページへのアクセス制限を行なってくれるページ「IPドメインSHUTTER II」があります。嫌がらせに困っていて、相手のIPやリモートホストがわかっている場合は、とりあえずここを利用してみてはいかがでしょうか。

 嫌がらせの書込みや、いわゆる荒らしなどは、人が嫌がったりするのを見るのが嬉しいわけですから、対応としては、「問題発言を削除して無視する」のが一番だと思います。また、その削除した発言のログは、いざというときの証拠になりますのでIPアドレス付きのものを保管しておいた方がいいです。間違っても「荒らし対策ページ」を作ったり、掲示板に「荒らしをしないでください」などと書込まないようにしましょう。
 そして、相手のやる気がなくなるまで削除を続けていくしかないでしょう。相手のIPアドレスがわかっていれば、そのプロバイダーに事情を説明して、会員に注意を促してもらうこともできます。ただし、プロバイダーによっては、必ずしもきちんと対応してくれるとは言えないようです。

 IPアドレスからプロバイダーを調べるのには、「IP・ドメインSEARCH III」が非常に便利です。ここで調べた名前から、gooなどの検索サイトを利用して、そのプロバイダーのページを調べて、管理人のところにメールをし、問題行動を起こしている方に注意してもらいます。
 ここでひとつ注意してほしいのは、問題となる会員のメールアドレスや連絡先などを要求しないことです。かなりひどい嫌がらせで、これらのことをどうしても知りたい場合は警察に通報し、警察を通じて聞くようにしましょう。
 リモートホストで、例えば「INS8.kyoto-ap4.○○○.ne.jp」というように、最後に「.jp」がつくと、これは日本のサーバーからのアクセスであるとわかります(この場合はプロバイダー○○○の京都アクセスポイントを利用しています)。「.jp」がついていないものでも、日本に設置されているサーバーであることもありますが、基本的に「jp」がついていないものは日本ではないと思っていてもいいかもしれません。
 日本のサーバーからの書込みでない発言は、「荒らし」である可能性が高いので注意しておいた方がよいです。リモートホスト名から国名を知るのは、「主な国と地域のカントリーコード」を参考にしてください。

 IPアドレスから相手を特定する時に、相手が海外の匿名サーバーを利用していると、追及が難しくなります。英語力に自信があるのであれば、匿名サーバーにメールで問い合せをすると大抵は教えてくれます。それを順にたどっていけば、必ず元のIPにたどり着きます。ただし、問い合せをする場合は即座にしないと、アクセスログが消えてしまう可能性があります。
 これらも下手に掲示板で「荒らしの人の身元を今調べています。」などと書かないようにしましょう。表では削除だけして何事もなかったように振る舞い、裏で調べて追いつめるのが「荒らし」対策の鉄則です。

 どうやっても無理な場合は、いっそのこと掲示板を会員制にして、メールで問い合せた人のみにURLを教えることも考えましょう。自分の精神を消耗してまで、無理に公開し続ける必要はないと思うのです。もしくはパスワード制にするのもいいでしょう。書込みのページと、ログを表示するページを分離できるなら、書込みをする場合のみ、問い合せをするようにするという方法もあります。

 自動で参加希望した人のメールアドレスにIDとPASSWORDをメールで送付するという「メール認証システム」ができる掲示板にすれば、安全性も確保できますし、危険も減ります。

■K.Y.PROJECT
http://kyprj.yokobori.net/

フリーソフトウェアの「KY-VIEW」のところにメール認証のできる掲示板のCGIがあります。
 もし、掲示板荒らしというよりはストーカーに近いような被害にあってる場合は、警視庁のハイテク犯罪対策センターに相談してみるといいかもしれません。

 「荒らし」のように明らかな匿名の嫌がらせは削除して無視すればいいのですが、もしきちんと名前を名乗って、自分への文句などを書く場合は、少し相手の主張にも耳を貸す必要があるかもしれません。相手の主張を聞いた上で、自分の考えをきちんと主張しましょう。一般的に、きちんと名乗っている相手の意見を聞かず、頭から無視する態度は、やはり大人げないとみなされることが多いようです。
 次回は、「掲示板の運営方法」についてお送りします。

(99年9月29日)

[Reported by 麻弥]


バックナンバー

第1回:インターネットは夢のメディアか?(8月11日)

第2回:情報の扱い方(8月18日)

第3回:インターネットの危険性(8月25日)

第4回:自由と責任(9月1日)

第5回:引用とリンクのしかた(9月8日)

第6回:IPアドレスとリモートホストについて(9月22日)

第7回:掲示板の安全について(9月29日)

第8回:掲示板の運営方法(10月6日)

第9回:気をつけたい著作権(10月13日)


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