ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年9月2日


HEADLINE 2 articles

日本国内の通信業者のそれぞれの方策
下水道網を利用した光ファイバー網
余談3題:音声コーデック/リバースVTR/xDSLセミナー



[TELECOM][業務提携](レベルA'9月2日のINTERNET Watch-Web記事にも関連掲載あり
日本国内の通信業者のそれぞれの方策


 今日は通信業者の提携や新事業の記事が多く、最近の日本国内の激動する業界状況を映しているようだ。
 まず朝日新聞3面には、KDDと地域系新電電の東京通信ネットワーク(TTNet)が、ネットワークの相互利用や技術協力などで業務提携を結ぶことで合意し、3日に調印するという記事が掲載されている。KDDの9月2日のリリースでも、電話や専用回線、フレームリレー、マルチメディア等の両社のネットワークを相互接続し、TTNetは1999年からは現在建設中のKDDのJIH(Japan Information Highway)ネットワークを使って関東以外の通信料金を低減するともしている。KDDは先月4日、DDI日本高速通信(テレウェイ:TWJ)との業務提携を結んでおり(KDDの8月4日5日のニュースリリース参照及び8月5日のINTERNET Watchにも関連記載あり)、来月から割り引き通信サービスを始めるが、TTNetとは来年年度からのサービス提携となりそうだ。
 TTNetは来年1月には、一般公衆電話でNTTよりも割安なサービスを提供する8月12日のINTERNET Watch Web記事にも関連掲載あり)予定となっており、このサービスとKDDの海外通信、及びJIH等によるインターネットなどを含めたデータ通信サービスが融合すれば、国内外ともに強力な通信インフラを持った通信業者連隊が生まれそうだ。
 そんな中、日経新聞13面&日経産業新聞9面及び、日刊工業新聞9面には、上記テレウェイの特別第2種子会社であるテレウェイサービスが1日から、国内・国際一体型電話再販サービス「TWSネットマネージャー」の提供を始めたという記事も掲載されている。国内電話の大口割引をテレウェイとNTTから、国際電話の大口割引をKDD、国際デジタル通信(IDC)日本国際通信(ITJ)の3社から調達し、国内・国際の両通話とも請求・支払いが一本化できるサービスとなり、15~20%の通話割引が可能になるようだ。
 はたまた、日経新聞13面と日刊工業新聞9面には、国際コールバック業者のITT国際電電が1日、全国で格安料金の国内通話サービスに参入したという記事も掲載されている。テレウェイなどの専用線を借りるほか、OCN回線を利用して全国網を構築して、NTTの遠距離通話料金に比べて40~86%安い料金で通話できるらしい。

 こんな四面楚歌な状態のNTTだが、日経新聞13面&日経産業新聞9面及び日刊工業新聞9面には、NTTが10月から、インドネシアにおいてマルチメディア実験を開始して光ファイバー網を使ったアプリケーションなどの双方向サービスを提供したり、昨日のINTERNET Watch-Webにも掲載されているような、NTT国際通信9月から営業を開始する件などもあり、国際進出を着々と進めているのが現状だ。
 まだまだ日本国内だけの通信業者の競争が始まったばかりと言え、これからは海外の通信業者を取り込んだカオスのような激しい市場へと変貌していく序章、とも言えそうだ。



[通信インフラ](レベルB
下水道網を利用した光ファイバー網


 日経新聞11面と日刊工業新聞30面には、東京都が1日、通信業者に全国で初めて下水道網を開放すると正式発表したという記事が掲載されている。第一号としてKDDに貸与すること決め、その他の新電電やCATV業者にも利用を働きかけるようだ。同じく日経新聞の33面(首都圏経済)にも、昨年12月に改正下水道法が施行されたことによる措置で、都は約1万5千kmに及ぶ23区の全ての下水管などを貸与するということらしい。
 東京都の下水道局でも、昨年度から「マルチメディアと下水道」として、光ファイバーを使った各事業所間ネットワークのソフトプラン (Sewer Optical Fiber Teleway Network PLAN)を実行したり、平成9年度まで光ファイバーATMネットワークを構築する実験を続けており、今回の条例改正による措置にもスムースに対応することが出来たと考えられる。たまたまNEWS Watchでは取り上げられなかった話題ではあるのだが、マンホールを利用した無線通信アンテナの開発なども行っていると、新聞紙面には載っていたと記憶しており、PHS網と下水道光ファイバー網とを繋ぐ技術としても注目される。
 一部の新聞紙面では、都が今後の下水道からの収益減少を補てんするために、この様な開放政策をとったとしているが、理由はどうあれネットワークインフラとして新たな通信網が増えるのは、インターネット・ユーザーにとっても有り難いことだろう。7月3日のNEWS Watchでも取り上げた、建設省の「情報通信ネットワークビジョン」でも、全国の下水道を、2001年までに約1万km、2010年までに約10万kmを光ファイバー網で整備する目標としており、その先駆けとしても注目されそうだ。




余談その1:
 日刊工業新聞6面には、NECがインターネット通信向けの任意の圧縮率を取れる音声コーデックを開発したという記事が掲載された。4~16kbitの範囲で圧縮率を可変でき、音質も改善しているので、8kbpsの伝送速度で従来方式の32kbpsと同等の音質が得られるという。
 8月20日のNEWS Watchで取り上げた、NTTが16kbps~32kbpsと伝送速度の遅いPHSや携帯電話などの、無線通信に適したデジタル音楽信号の符号化技術を開発したこととも相まって、インターネットのみならずモバイル通信などへの応用が期待される。

余談その2
 日刊工業新聞1面トップには、日本ビクターが、ビデオのVTRテープに往復記録が出来る技術を世界で初めて開発したという記事が掲載された。テープ上に往路と復路の記録トラックを櫛形に重ねて配置することで実現させているようで、エンドレス再生・録画が可能になるとしているようだ。
 24時間再生するような環境VTRや、セキュリティのための連続録画への需要が高まりに対応し、省力化にも良い技術なのだが、なぜ今までリバース機器が開発されなかったのかは、疑問として残ってしまう...

余談その3:
 日経産業新聞2面には、米国大使館商務部が10月23日と24日に、池袋のサンシャイン・シティ:US Trade CenterにてxDSLの技術セミナーを開催するという記事が掲載された。参加料は2日間1人につき3万円ということらしい。7月には、同じような主旨で衛星関連のセミナー(7月29日の私のウォッチャー's レポートを参照)が開催されており、その時は入場無料だったことを考えると、さすがは商務省、(取れるときには取る)商売上手といったところだろうか。(^_^;)



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