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【連載】

ホームページ安全講座


第10回(最終回)ホームページを持つということ

 私がインターネットの世界に足を踏み入れてから、丸4年が経ちます。その間に、いくつものページが生まれるのを、そして終わっていくのを見てきました。

 もちろん、個人が趣味で作成しているページであれば、ホームページをやめる権利も製作者にあると思います。疲れたからやめる、つまらなくなったからやめる。そういうのもアリだと思います。ホームページなんて、ノイローゼになってまで続けるほどのものではないでしょう。
 閉鎖の理由はやむを得ない事情の場合もありましたが、製作者が傷ついたり、嫌がらせに疲れ果てたりして閉鎖されるページもありました。そのうちの何割かは、トラブルを避けるためのごくわずかな知識を知っていれば防げるようなことが原因でした。

 数年前と比べると、インターネット人口は急激に増加しています。人が増えるにつれ、2年前には想像もできなかったようなさまざまなトラブルが起こっています。これから先も、ますます人が増えてゆくでしょう。それによって、今まで以上に個人ページが「単なる個人ページです」では済まない影響力を持つでしょうし、それに伴ったトラブルも増大すると思います。たとえば、タレントさんのファンサイトの運営の仕方にオフィシャルサイトが介入してくることも珍しいことではなくなっています。
 また、ホームページに画像を無断でおいていた人が著作権者に訴えられ、賠償金を支払ったというようなことや、市販CDから無断で作成したMP3ファイルをホームページに載せていた人が摘発されたりもしています。
 掲示板あらしやネットストーカーももう人ごとではありません。それに対抗するためには、色々なことを知っておくことが大切ではないでしょうか。たとえば、「名誉毀損で訴えてやる」と言われてしまったとして、実際に名誉毀損がどんなものか、民事訴訟の手順はどんなものか、どういう場合に名誉毀損になるかなどを知っていれば、いざという時にも落ち着いて対応できます。また、知識があれば、あらかじめ余計なトラブルを避けたホームページが作れるのではないでしょうか。
 著作権関係も、ホームページを持つ以上、避けて通れない道です。幸いWeb上では著作権問題を扱ったページがたくさんありますので、それらを見て勉強することも大切だと思います。

 雑誌や本では「手軽にホームページ作成」「あなたも情報発信」という形で気楽なホームページ作成をうたっていますし、ホームページの作成方法を解説したWebページも数え切れないほど存在します。ただそれに比べると、インターネットの危険や、トラブルを避けるためのノウハウなどをきちんと解説しているページは非常に数が少ないように思います。そのため、実際にホームページを作成して、数々のトラブルに悩まされてきた体験から、初心者の方が傷つかないためにも、「知っておいた方がいいのでは?」ということをまとめたのがこの「ホームページ安全講座」です。

 インターネットには楽しい素敵なことだけではなく、悪意で人を陥れる人いれば、暗黒面もあります。しかし、それほど怖がる必要はありません。要は、どういうことが危険か、どういうことがトラブルになるかを理解しておけばいいのではないでしょうか。無防備でいるのはダメですが、むやみに恐れる必要はないと思います。自分の身を守るのは自分だけです。正しい知識を持ち、自分でちゃんと考えることが大切なのではないでしょうか。


●表現の痛みと覚悟

 これまでインターネットのマイナス面について色々と書いてきましたが、私もホームページを持って3年、嫌なことや恐い目にも色々あってきましたが、嬉しいこともたくさんありましたし、なによりホームページを持つことでたくさんの人と知り合うことができました。現在、かけがえのない友人の中に、ホームページが縁で知り合った方がたくさんいます。「ホームページを持つ」というような、個人が手軽に情報発信をする手段があるということは、素晴らしいことだと思います。「作る」ことに興味があるなら、誰かに伝えたいことがあるなら、ぜひホームページを持ってみてください。ホームページを作るのは簡単です。ただ続けていくには、ある程度の強さが必要となるのではないかと思います。たとえば、あまり反応がなくても続けていくことや、トラブルを乗り切るだけの力が。

 また、「おもしろいです」、「素敵です」とちやほやされるだけじゃなくて、「つまらないです」、「その考えは間違っている」とガツンと殴られるようなこともあるかもしれません。でもその痛みも含めて、「表現」なんじゃないかと私は思っています。それがたとえ耳に痛いことであっても、「表現の自由」がある代わりに、その表現の結果を受けとめるべきでしょう。
 世の中にはいろいろな価値観の人がいます。そのために意見が真っ向からぶつかることもありますが、だからこそ人との交流はおもしろいのではないでしょうか。ただし、「言葉」は使い方によっては「凶器」にもなりかねません。相手のことも思いやる気持ちで言葉を選んで使ってほしいと思います。ホームページを持つことは、楽しいことだけではなく、傷つくこともあるかもしれません。その「覚悟」だけは持っていてほしいと思います。

それでは、ネットライフを楽しんでください。

 今まで連載をご購読いただき、ありがとうございました。連載はこれで終了ですが、私の「ホームページ安全講座」の方ではコラムを不定期に連載していますので、ご興味がありましたら遊びにきてください。

 ご意見、ご感想などがありましたら、メールをいただけると嬉しいです。

(99年10月20日)

[Reported by 麻弥]


バックナンバー

第1回:インターネットは夢のメディアか?(8月11日)

第2回:情報の扱い方(8月18日)

第3回:インターネットの危険性(8月25日)

第4回:自由と責任(9月1日)

第5回:引用とリンクのしかた(9月8日)

第6回:IPアドレスとリモートホストについて(9月22日)

第7回:掲示板の安全について(9月29日)

第8回:掲示板の運営方法(10月6日)

第9回:気をつけたい著作権(10月6日)


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ウォッチ編集部INTERNET Watch担当internet-watch-info@impress.co.jp