1997年7月28日
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●InfoWebの海外ローミングサービス
○検索サービス2題:Excite
& goo
○日本語音声電話サービス
余談2題:インターネット電話交換機/PHSデータ通信無料サービス
[海外ローミングサービス](レベルA')
●InfoWebも海外ローミングサービスを開始する
日経新聞13面には、富士通が9月から、海外出張時などに現地から手軽にインターネットに接続できる「ローミングサービス」を開始するという記事が掲載されている。台湾のエイサーなどが出資する米エイムクエストとInfoWebが業務提携し、米国をはじめ中国、韓国などアジア14カ国・地域、欧州13カ国などの世界約40カ国・地域で、127社:約1,200カ所(7月16日現在)のインターネットAPを利用できるサービスとなるようだ。
InfoWebの7月28日のリリースでも、新たなソフトを追加せずにPCの簡単な設定変更(InfoWebのIDにドメイン名の追加と現地AP電話番号の変更)のみで海外から接続が可能になるとしており、ローミングの料金としては20円/分前後を想定している。既に富士通は5月7日より、InfoWeb-APを開放して国内出張先でも市内通話料でインターネット接続出来るローミングサービスを開始(4月18日のNEWS
Watch記事及び4月21日のINTERNET
Watch記事を参照)しており、これで国内外ともに市内通話料金での接続ローミングサービスが出そろうこととなり、InfoWebもビジネスユースなどへの対応の幅が広がったと言える。
今回提携するAimQuest社は、全世界的なローミングサービスを受けられるようにする「グローバル・リーチ・インターネット・コネクション(GRIC)」事業を推進しており、その事業を5月15日のNEWS
Watchで取り上げたときは、日本を含む35カ国のプロバイダー:87社が参加を表明していた。しかし、現在では136メンバーが加入しており、今回26万6千人のユーザー(6月末現在)を抱えるInfoWebがこのサービスに加わることは、GRIC事業にとっても大幅なサービス地域拡充となろう。
しかし、同じく上記NEWS Watchに記載があるように、既に日本ではKCOMやグローバル・オンライン・ジャパンなど数社のプロバイダーがGRIC事業に参加を表明しており、日本国内でのGRICローミングサービスを相互に補完し合うのかどうか、不透明な部分もあるだろう。協力体制がとれれば、”全世界的”サービスへまた一歩近付けるだろう。
[検索サービス](レベルB)(7月25日のINTERNET
Watchダイジェストにも一部掲載あり)
○エキサイトの日本語検索サービス開始/gooの広告料決定
日経産業新聞1面には、米検索サービスのエキサイトが、日本語のホームページ検索サービスを始めたという記事が掲載されている。ローマ字や仮名、漢字で検索ができ、日本発のホームページに限定した検索も可能で、日本市場で先行するヤフーなどに対抗する意向のようだ。
また日経産業新聞2面には、NTTの広告子会社のエヌ・ティ・ティ・アドは、インターネットの日本語検索サービス「goo(グー)」に掲載する広告の料金を正式に決めたという記事も掲載されている。利用者が使用しているPCのOSやブラウザー、使用ドメインによって広告対象を絞り込める「スマート・ターゲット・プラス」(6月11日のNEWS
Watch余談その1を参照)と、これらの条件と検索されるキーワードを組み合わせて対象を絞る「スマート・キーワード広告」などがあり、来年3月末までに1億2,500万円の広告売り上げを目指しているようだ。他にも、利用者の検索したページに広告を載せる「キーワード広告」や 利用者全部に広告を打つ「ラン・オブ・サイト広告」、広告主の指定期間に集中広告する「gooスペシャル」も用意してあるらしい。
上記2件とも、日本での検索サービスがこれからも利用者の増加が見込めると踏んでいることから、サービスなり広告なりを拡充せんと画策している例と考えられる。そういった意味では、まだまだ日本の検索サービスは、過当競争まで行っていないと思われる。アメリカなどでは、検索サービスはある程度落ち着いた(数社に絞られた)感があるので、日本ではどのあたりまでユーザーのパイが広がるか、これからが勝負どころなのだろう。
[サービス][日本語放送](レベルB)
○TBSが、北米地区で日本語音声情報を電話で提供するサービスを開始
日経産業新聞3面には、TBSは米国で日本語通訳サービスなどを手掛けるジャパニーズ・アシスタンス・ネットワーク(JAN、LA)と組み、今秋にも北米地区でインターネット回線を利用した日本語の音声情報を電話で提供するサービスを始めるという記事が掲載されている。インターネット回線利用は配信コストを抑える為で、情報サービス料金は無料にする考えのようだ。旅行者などの利用者は現地の国内通話代金だけで、日本語ラジオ番組の中の日本の最新ニュースなどを聞くことができるようになるらしい。
既にTBSは今年4月21日から、欧州向けに日本語ラジオ番組放送を同様なシステムで試験放送を開始(4月21日のNEWS
Watch記事を参照)しており、有料配信を目指しているわけだが、今回のサービスはJANの旅行カードサービスへのコンテンツ提供料やスポンサー収入でまかなうとしており、無料サービス化となったようだ。旅行者ばかりでなく、日本の生(音声)情報を欲している海外在住者や海外法人なども多いことから、無料のまま展開できればユーザーもより広がる事が期待できるだろう。
(上記NEWS Watchにおいて、「利用料など有料である部分がもう一つ」と書いた事が、ホンのチョットでも無料化への功を奏したのであろうか...(^_^;)
余談その1:
日経産業新聞2面には、通信機器関連ベンチャーのリブアンドラブネットワークが、インターネットを使って電話機同士で格安国際電話ができる低価格交換機を企業向けに売り込むという記事が掲載された。例えば、本社と海外支店間での内線電話や、海外拠点経由で一般電話にもかけることができるようで、日米間で100円/3分以下(ローカル通話を除いて60円/3分想定)で通話できるらしい。
このシステムは、「VARIUSインターネット電話交換機
」と名付けられ、2回線収容でシステム一式200万円、最大構成は8回線で一式500万円となっている。
異業種からインターネット電話事業に乗り出してくる場合、上記のような安価なシステムを自社で使い、それを基にシステムの又売りを行っていくケースがこれから増えると思われる。現に、7月17日ので数々取り上げたインターネット電話サービスを行おうとしている数社のうち、運送会社の尾崎運送(高松市)はリブアンドラブ社と提携して全国代理店募集しており、技術提携を行っている可能性は高いと思われる。従って、上記システムは、直接社内で使用する企業ユーザーばかりではなく、ミニ電話回線会社として新事業進出やベンチャーなりを興そうとする中小異業種各社への広がりも考えられそうだ。
(そういった中での、INTERNET
Watch-Webの特集「インターネットで電話代が安くなる?!」は、非常にタイムリーで、参考になる企画であると言えよう)
余談その2:
日刊工業新聞10面及び日経産業新聞11面には、アステル関西は1カ月間、32kbps-PHSデータサービスユーザーに対して、インターネット接続を無料提供するサービス「インターネットサービスフリーパスプレゼント」を行うという記事が掲載された。7月25日に発表され、7月28日~9月28日が対象で、毎週毎週10名に抽選でサービスされるようだが、PIAFS対応でもなかなか利用率が上がっていないということなのだろうか...
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