ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年9月8日


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次世代携帯電話の行方
Pure JavaとMS Javaへの東芝の取組み
余談3題:ネット接続技術/バーチャル証券取引ルール/Be-OSの行方



[次世代携帯電話][モバイル](レベルA'
次世代携帯電話IMT-2000)の行方


 日経新聞19面には、郵政省通総研と日立、NTT、三菱電機、YRP移動通信基盤技術研究所、シャープの5社が共同で、マルチメディア情報のやりとりに対応できる高速・大容量の移動通信用伝送装置を開発したという記事が掲載されている。既に7月30日のNEWS Watchでも紹介している通り、7月29日の郵政省のリリースにおいて、PHSの無線周波数帯よりやや高い2GHz帯を使って2Mbpsと4Mbpsの2種類の伝送速度変調方式を持つマルチメディア・マルチモードTDMA(MM-TDMA)無線方式の開発が成功している事も明らかになっている。同紙面のニュース解説でも、次世代移動通信規格「IMT-2000/FPLMTS」での2001年初頭のサービス開始に向け、このMM-TDMA方式がPHSの延長として採用される可能性を示している。
 しかし、9月5日(金)の日刊工業新聞1面トップや日経新聞11面には、NTT DoCoMo日産自動車及びその系列のツーカーグループ3社、9月6日(土)の日経新聞9面や日刊工業新聞5面には、NTT DoCoMo日本テレコムが、それぞれ次世代携帯電話に関する開発で協力していく事が発表され(DoCoMoの9月5日のリリース参照)ており、上記とは異なる方式の携帯電話が98年度から実験などが行われようとしている。このワイドバンドCDMA(W-CDMA)通信方式(データ伝送速度は移動中で384kbps、静止中は2Mbpsが可能:7月30日のNEWS Watch参照)と、アメリカのクオルコムなどが中心の「CDG(CDMA Development Group)」が推進している、もうひとつのW-CDMA方式:「cdmaOne」(データ伝送速度は移動中で384kbps、静止中は2Mbpsが可能)方式を、日本にて推進するDDI(第二電電)IDO(日本移動通信)の存在(7月15日のNEWS Watch参照)もあり、上記3方式の鍔迫り合い(開発競争)が今後、激しさをましてきそうだ。
 と言うのは、日本では電波産業会(ARIB)が98年半ばまでに、国際電気通信連合(ITU)に対して「IMT-2000/FPLMTS」の規格提案をすることなっており、その世界標準化に向けて欧米と調整に入る(7月1日のNEWS Watch参照)ということもあって、国内の各方式の調整も早急に要求されるであろうと考えられるからだ。
 ヨーロッパのエリクソンやノキア、シーメンスなどが推す、欧州で主流のGSM方式を継承する次世代携帯電話規格「UMTS」もITUに提案される事も考えると、それら海外勢に対抗する意味では、素早い国内の方式調整が望まれそうだ。



[JAVA](レベルB
Pure JavaとMS Javaの間での東芝の取組み


 日経新聞11面には、東芝が9月末をめどに、Javaシステム構築技術に関する社内ガイドラインをまとめるという記事が掲載されている。米JavaSoftが提唱している「100% Pure Java」と、「J/Direct」(6月20日のINTERNET Watch記事参照)などを使った米MSが新たに提唱しているWindows独自のJavaがすでに存在しており、システムエンジニア(SE)が混乱する恐れがあるために、それぞれの違いを解説するようだ。
 東芝は、Windows PCの展開のほかにも、SOHOや企業内ネット用にNC機器展開も模索中(5月13日のNEWS Watch参照)で、システムの要求する条件によって、PCとNCを使い分けようとしており、JavaもPC用とNC用で、ソフト開発におけるJavaの使い分けなければならず、この様なガイドラインが必要となってしまうのだろう。
 折しも日刊工業新聞10面には、東芝もシャープなどと同様に、WindowsCE機を市場投入するという解説記事も掲載(9月8日のPC Watch-Web参照)されており、PC展開もデスクトップ、ノート、モバイル(リブレット)などに加えて、PDA(ジェニオ)やWindowsCE機、NCまでも加えた個人向け総合情報システムを支えて行こうとする東芝の姿勢を、Javaへの対応共々、見せているようだ。




余談その1:インターネット接続技術
 日経新聞19面には、世界のどこからでもインターネットやCATV網、防災行政無線網など、通信方式の異なるネットワーク間でもデータをやり取りできるようにする技術の開発に郵政省が来年度から取り組むという記事が掲載された。研究は郵政省傘下の通信・放送機構(TAO)が5年計画で取り組み、この成果も国際電気通信連合(ITU)に提案するらしい。
 まさに”インター”ネット技術を駆使することとなるだろうが、通信インフラの資源活用となるか、無理やり回線を遠回りさせる事になるか、5年後の状況は予測も出来ない。

余談その2:バーチャル証券取引ルール
 日経新聞3面には、世界各国の証券市場の監督当局や証券取引所で構成する証券監督者国際機構(IOSCO)は、インターネットを通じた証券取引の活発化を鑑みて、国際統一ルール作りに乗り出すという記事が掲載された。98年秋をメドに投資家保護策などを検討し、そのガイドラインを作成するようだ。
 IOSCOは86年に発足した国際機関で、70カ国120機関で構成されており、今回はインターネットを使った国際的な証券取引における不正行為などを監視して行こうとしているようだが、現実での摘発の難しさを考えてみても、”仮想現実”取引まで加わった場合の複雑さは倍以上どころでは無さそうある。

余談その3:Be-OSの行方
 日経産業新聞11面には、米ソフトベンチャーのBe社のガセー 会長が5日の日経新聞記者との会見で、Be-OSをネットワーク家電分野のマルチメディアOSとして位置付けるとしたインタビュー記事が掲載された。
 一部では次期Mac-OSとして期待されていたBe-OSも、AppleのNeXT社買収によって夢断たれ、その後はインテルCPU上で動作させようとしたりと、その用途を広げようとしている。しかし、MSとAppleが提携した今、ますますPC-OSとしての方向性を変換せざるを得なくなったというのが、本当のところだろうか。



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