東京都武蔵野市にあるNTT武蔵野開発研究センタは16日、NTTが研究開発を行なっている技術を公開するイベント「NTT R&Dフォーラム」を開催した。同イベントは、NTTサイバーコミュニケーション総合研究所とNTT情報流通基盤総合研究所の共同開催によるもので、NTTが今後推進していく“レゾナントコミュニケーション”をテーマにした展示や講演が行なわれている。
レゾナントコミュニケーションとは、NTTが5年後を見据えたビジョンとして2003年11月に発表した事業構想「“光”新世代ビジョン」で示されたもの。人や企業などがブロードバンドで双方向に結ばれることで、互いに共鳴(resonant)しながら進歩する次世代のコミュニケーション環境として、NTTグループではこのネットワークの実現と、その上で展開するサービスやビジネスに取り組んでいくとしている。
16日にはNTT持株会社の代表取締役社長である和田紀夫氏により、「新しいネットワーク社会の実現に向けて」と題した基調講演が行なわれた。講演では、少子高齢化や環境エネルギー問題といった日本の社会的課題、ITの活用を通して経済や社会を活性化していこうという国のe-Japan戦略、NTTグループがそうした課題や戦略にどのように貢献していくかという点から、レゾナントコミュニケーション実現の重要性が語られた。
講演の中で具体例として挙げられたのは、光ファイバを使った高精細な動画による双方向通信の活用だ。専門家による介護や教育を遠隔地から行なったり、離れた場所で勤務するテレワークなどが活発になることで、高齢化社会への対応や雇用機会の創出など、社会的課題に対しての貢献が可能になるとしている。一方で、急増するトラフィックを効率的に制御する技術や、ウイルスや認証などのセキュリティ技術が、こうした高速ネットワークの普及に向けての課題として挙げられた。
展示会場では、こうしたレゾナントコミュニケーション環境を実現するものとして、多くの技術やサービスが紹介されている。特に目立つのは講演でも触れられた、動画を利用したコミュニケーションを実現するサービスだ。最大8MbpsのMPEG-2による通信を低遅延(0.2秒)で実現する「RISCA」、FOMAとPCを映像でつなぐメッセンジャーサービス、多地点間での会議を実現するコラボレーションシステムなど、高速ネットワークを利用してより高度なコミュニケーションを実現しようという展示が多く見られた。
その他にも、量子コンピュータのような最先端の研究、管路工事や配線に関する技術、光ルーティングなどの次世代ネットワーク機器、日本語自然文による検索や画像の効率的な検索技術など、NTTが行なっている多様な研究開発の成果が一同に展示されている。イベントは明日17日も行なわれ、展示のほかアプリケーション技術やネットワーク技術に関するワークショップが予定されている。
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最大8MbpsのMPEG-2でリアルタイム通信を行なう「RISCA」
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関連情報
■URL
NTT R&Dフォーラム
http://www.nttrdforum.jp/info/
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( 三柳英樹 )
2004/02/16 18:59
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