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携帯ゲーム機のような見た目のNGN対応回線品質測定器
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アナログ停波後の周波数帯域を利用したマルチメディアサービス
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CO2排出量が都内最多の地域、東大工学部のグリーンプロジェクト
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IPv4アドレス枯渇で「Google マップ」が“虫食い”に!?
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タカラ、IPv6対応の“糸電話”を開発

「IPv6 Business Summit 2004」展示会レポート

 16日に東京都新宿区の京王プラザホテルで開催された「IPv6 Business Summit 2004」の展示会では、主にネット家電関連を中心に数多くの展示が見られた。今回はその中から主要なものをいくつかピックアップして紹介したい。


ネット家電接続の標準となるか? NTT Comの「m2m-x」

m2m-xの概要説明
 まず紹介するのは、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)が展示していた、ネット家電を主なターゲットとしたP2P接続の管理方式「m2m-x」。これは13日に同社が実証実験の開始を発表した「ネット家電接続サービス」の中核をなすプロトコルで、基本的にはSIPプロトコルをベースに暗号鍵の交換機能などセキュリティ面を強化したものだという。SIPサーバーの代わりとなる「m2m-xマネジメントサーバ」では、通信相手の認証はもちろんのこと、あらかじめ許可した通信相手以外に自分の存在を隠蔽する機能や、セキュリティポリシーに従った動的なアクセス管理が可能になっている。

 また、同方式ではNATやファイアウォール越えといった問題もクリアされているほか、端末間の通信内容はサーバーを経由することがない上、転送されるパケットはIPsecで暗号化されるため、通信内容が他人に漏れる心配もない。なお、同社の説明員によれば、暗号化方式はIPsecで標準的に使われる3DESやAESではなく「処理負荷の軽い独自の暗号化方式を採用している」ということだが、詳細については明らかにされなかった。

 m2m-xを利用したサービスについては、今回の展示会でもソニーブロードバンドソリューション、三洋電機(詳しくは後述)、リコー、東芝などが実際にデモを行なっており、ひょっとしたらこのままネット家電を外部からコントロールするための標準プロトコル的な地位を獲得するかもしれない。


m2m-xを利用したリコーのモバイルプリントシステム 同じくm2m-xを利用した、東芝のホームセキュリティシステム

PS2を利用したビデオチャットシステム

USBカメラを接続したPS2
 続いて紹介するのは、ソニーブロードバンドソリューションが展示していた、PlayStation2とUSBカメラを組み合わせたテレビ電話システム。端末間の接続には前述のm2m-xを利用している。

 今回展示されたシステムはまだ開発中のものということで、通話には市販のUSBカメラとヘッドセットを使用していたが、現在「EyeToy:Play」用のUSBカメラに対応するための開発作業も進めているという。同作業が完了すれば、EyeToyカメラを接続して同ソフトを起動するだけでビデオチャットが利用可能になる予定だ。ただ残念ながら、現在のPS2 BB UnitがWake On LANに対応していない関係上、通話のためにはあらかじめ双方が同ソフトを起動している必要があるのが難点。

 今のところ同ソフトの製品化については「全く未定」だが、今後、ビデオメッセージをインターネット経由で相手に送信する機能の追加なども考えているとしている。早期の製品化に期待したいところだ。


ビデオチャットソフトの動作画面 ソフトの概要

タカラの「IP糸テレフォン」はネットワーク環境が整い次第発売

 もうひとつ注目なのは、タカラの「IP糸テレフォン」。これは「糸電話の発想で作られたIP電話」で、ユーザーは2台1セットで電話機を購入し、各電話機のEthernet端子にインターネットにつながったLANケーブルを挿すだけで通話が可能になるという代物。ただし、通話できる相手先は常にセットになったもう1台のみで、後から別のIP糸テレフォンを追加購入しても、前に購入した電話機との間で通話を行なうことはできない。

 玩具メーカーの製品らしく、電話機にはシリアルポートが1ポート用意されており、同ポートにオプションの人形を接続することで、電話機のボタンからリモートコントロールで人形に歌わせたりすることが可能。すでに開発はほぼ完了しているとのことで、価格も「2台セットで1万円を切る値段にしたい」と非常に意欲的な姿勢を見せているのだが、問題は発売時期。同社の担当者は、「主要プロバイダのIPv6対応サービスが出揃えば年内にも発売したいのだが……」と語っており、後はいつ大手プロバイダが正式にIPv6対応サービスを発表するかにかかっているようだ。


IP糸テレフォンの実物とオプションの人形 IP糸テレフォンの解説図

デジカメの画像は伝送可能だが、録画した動画は伝送できないHDDレコーダ

 最後に紹介するのは、三洋電機が参考出品したIPv6対応HDDレコーダ。今回はこのHDDレコーダに同社のデジカメを接続し、IP電話で通話中の相手に対してデジカメの映像をリアルタイムに送ってテレビ電話を実現したり、デジカメに記録された静止画を送ったりする機能を実装し、実際にNTT大手町データセンターとの間で映像をやり取りしたりするデモを行なっていた。

 ちなみにHDDレコーダにデジカメを接続して動画や静止画が送れるのであれば、素朴な疑問として出てくるのが「HDDレコーダに録画した動画を相手に送る機能はないのか?」という疑問。ただ残念なことに、録画した動画をインターネット上に送るとなるとどうしても著作権の問題が付きまとうため、今回はそのような機能は実装していないという。技術的にはもちろんそのような機能の実装は可能だということなので、著作権問題をクリアした上で早期にそのような機能が実装されることを望みたい。


三洋電機のIPv6対応HDDレコーダ。右に見えるデジカメはアナログ接続されている 今回のデモシステムの概要

関連情報

URL
  IPv6 Business Summit 2004
  http://www.v6bizsummit.jp/

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( 松林庵洋風 )
2004/02/17 13:53

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