幕張メッセで開催されている「CEATEC JAPAN 2004」で6日、NTT東日本コンシューマ事業推進本部ブロードバンドサービス部映像コミュニケーションサービス部門長の大村佳久氏が、過去のNTTグループにおけるテレビ電話の失敗の歴史を振り返りつつ、同社が投入した「フレッツフォン」サービスを中心とする映像コミュニケーションサービスの今後の戦略について語った。
● テレビ電話サービスは、FOMAといかにしてつなぐかを考えるべき
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NTT東日本コンシューマ事業推進本部ブロードバンドサービス部映像コミュニケーションサービス部門長の大村佳久氏
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大村氏は、まず最近の通信業界全体の動向を振り返りながら「今問題なのは、固定電話の加入者が減少して携帯電話が伸びていることではなく、インターネットユーザー全体の加入者数とブロードバンド回線の加入者数に大きな差があることだ」と述べた上で、「その差を埋めているものこそが携帯電話であり、従って映像コミュニケーションサービスを考える際もFOMAや写メールとの連携を考えないと、とてもサービスとしては立ち上がらない」と語った。特に600万人以上のユーザーがいるFOMAにおいては、テレビ電話機能付きの携帯電話が普及していることから、「その人たちといかにつなぐかを考えなければいけない」との方針を示した。
また、NTTグループとしてFTTHを推進する立場からは、以前からFTTHサービスに対し「光を引いて何に使うの?」という意見が根強いことについて、「確かに今は主に大きなデータをダウンロードするような使い方が一般的」として、まだFTTHが一般ユーザーにとってはオーバースペックなサービスであることを認めた。その上で、ADSLになくてFTTHにある「上りの広帯域」という特徴を活かすためには、テレビ電話のような映像コミュニケーションサービスは格好のキラーアプリだとして、FTTHとセットでテレビ電話サービスを売り込んでいきたいという姿勢を明確にした。
● 失敗の経験から、どんな端末とでも話せるテレビ電話端末の提供へ
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これまでのNTTグループにおけるテレビ電話の失敗の歴史
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ここで話題は変わり、NTTグループがテレビ電話サービスに関して長年に渡り挑戦と失敗の歴史を繰り返している点について、なぜこれまでのテレビ電話サービスが普及しなかったのかが語られた。大村氏は、「これまでは同じものが2台ないと使えないために2台セットでの購入が必須だった上、1台の値段が高いためにセットで20万円近くの出費を強いられ、とても家庭では手が出なかった」「伝送速度が遅く、紙芝居程度の映像しか送れなかった」「サービス体系が従量課金だったため、安心して長時間話すことができなかった」という3点を挙げた。
これに対し、現在はFTTHサービスの普及により伝送速度の問題は解決し、課金もインターネットに関しては定額制が定着しており、安心して話せる環境が整った。あとは、「どんなテレビ電話端末とでも話せる端末が必要だ」ということで、それが同社がフレッツフォン用に提供する端末「フレッツフォン VP1000」の開発のきっかけになったという。
ただ、どんな端末とでも確実にテレビ電話ができるようにするためには、テレビ電話サービスに必要なさまざまなプロトコルが、ある程度標準化されてこなければいけない。確かにIP電話ではSIP、テレビ会議システムではH.323など、個別のプロトコルは標準化が進みつつあるものの、例えば映像の圧縮方式や帯域幅を端末や回線の能力に合わせて自動で調整するような部分(これを大村氏は「能力交換」と呼んだ)などは、まだ標準化が十分に行なわれていないと指摘。そのため、「これらの部分をデファクトスタンダード化してみなさんにご提供したい」と大村氏は語り、それに必要な技術情報についてはすべて無料で技術開示を行なう方針を明らかにした。
大村氏はこれ以外にも、NTTグループのぷららが提供する映像配信サービス「4th Media」など、いろいろなタイプの映像サービスを行ない、電話・インターネット・映像配信の3つのサービスをFTTH上であわせて提供する「トリプルプレイ」に力を入れることで、IP電話サービスの普及や固定電話の基本料値下げなどによる減収をカバーする新たな収入源を確保したいとの方針を語った。また、それに向けて、システムインテグレーターや開発者に対しさまざまな支援策を行なう考えのあることも示した。
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端末のデファクトスタンダード化に対する考え方
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今後のテレビ電話の市場予測
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関連情報
■URL
CEATEC JAPAN 2004
http://www.ceatec.com/
関連記事:NTT東西、IPテレビ電話端末「フレッツフォン VP1000」を9月1日に発売[Broadband Watch]
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/6467.html
関連記事:NTTグループ3社、FOMAと連携可能な法人向けIPテレビ電話サービス[Broadband Watch]
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/event/6944.html
■関連記事
・ フレッツ向けの多チャンネル放送とVODサービス「4th MEDIA」(2004/07/08)
( 松林庵洋風 )
2004/10/07 16:00
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