CEATEC JAPAN 2004の会場では、人体を導体とした“人体通信”のデモが行なわれている。直感的な操作ができる点などで利点があるといわれており、会場でも注目を集めている。
● 松下電工、「タッチ通信システム」をデモンストレーション
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「タッチ通信システム」のデモ。左にあるのが寺岡精工製計量器
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松下電工のブースでは、9月に発表された「タッチ通信システム」を展示。同システムを利用する寺岡精工製の計量器を使ってデモンストレーションを行なっている。
タッチ通信システムは、専用チップを搭載したリストバンドを手首に装着することで、人体を伝送路としてデータ通信するシステムだ。機器側にもデータ送受信用の小型基板を設置し、人体と機器もしくは人体と人体の間で最大3.7kbpsの通信が可能となっている。搬送周波数は553KHzで、通信方式はASK変調の半2重通信。動作電圧は2.5~3.6V、通信電流は平均500μA以下で、電流に関しては体脂肪計と同等のレベルだという。
デモンストレーションでは、小型基板を設置したトレイにハンバーグやコロッケなどの惣菜を置き、タッチ通信システム対応の計量器で品名などを人体通信しながら認識させていた。例えば、専用リストバンドを付けた手でハンバーグの前のパネルを触れ、その後に計量器に触れると自動的に品名や価格などが表示される仕組みだ。
会場スタッフは、「直感的に触れれば入力できるため、入社したばかりの社員でも簡単に操作できる」と利点をコメント。また、“触れる”という動作を用いて、手をつないで相性を占う「カップル占い」などのアミューズメント施設などにも応用できるとしている。
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専用リストバンドを手首に付けて操作する
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体に付ける端末のタイプは、リストバンド型と指輪型の3種類。指輪型は開発中のものだ
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● NTT、10Mbpsの双方向通信が可能な「ふれあい通信」
NTTのブースでも人体を導体にした「ふれあい通信」をデモンストレーション。専用の端末を利用して動画の転送やIDの認証などを行なっている。
ふれあい通信は、人体上の微弱電界を光学式電界センサーで検出することによって、最大10Mbpsの双方向通信が可能な人体通信システム。デモでは、サーバーPCを接続した銅版を敷いた台を用意。銅版の上に人が乗りって通信用の専用端末を持つことで、サーバーPCで再生される動画が銅版から人体を伝わって端末でストリーミング再生される。
ふれあい通信の特徴は、接触面にゴムなどの不導体を用いてもデータの伝送が可能な点だ。例えば、接触面となる銅版にゴム底の靴などで接しても伝送可能だ。会場スタッフは、「銅版にある程度の電圧をかけることで、不導体があったとしても誘導電荷によりデータを人体に伝送させられる」という。
開発元のマイクロシステムインテグレーション研究所では、ふれあい通信について「まだまだ開発途上だ」と前置きした上で、「技術的には携帯電話などの小型端末にも搭載可能だ」としている。
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デモでは、サーバーPCを接続した銅版を敷いた台を用意
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銅版の上に人が乗って通信用の専用端末を持つことで、サーバーPCで再生される動画が銅版から人体を伝わって端末でストリーミング再生される
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関連情報
■URL
CEATEC JAPAN 2004
http://www.ceatec.com/
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・ 松下電工、「人体通信」を実用化~手と手をつないでデータ通信可能に(2004/09/13)
( 鷹木 創 )
2004/10/07 21:01
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