検索エンジン技術や検索エンジンを利用したマーケティング手法などに関するイベント「Search Engine Strategies Conference & Expo 2005 Japan」が、東京・有明の東京ファッションタウンで21日まで開催されている。初日の20日は、ヤフーのリスティング事業部検索企画室長を務める井上俊一氏による基調講演が行なわれた。
● 検索はヤフーに欠かすことのできないキーサービス
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ヤフーのリスティング事業部検索企画室長を務める井上俊一氏
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井上氏は、ヤフーは「ユーザーの生活をより豊かに、便利に、価値あるものへと推進する『ライフエンジン』を目指している」と述べ、検索を含めたYahoo! JAPANの提供するサービスの方向性を説明。ヤフーの定義するライフエンジンとは、ユーザーが目的のものをすぐに得られ、あらゆる情報や人々とつながり、さらなるユーザーの欲求にも応えられる拡張性を持ったものであるとした。
次に、生活に関する情報源としてユーザーがどの程度インターネットを利用しているかというアンケート調査の結果を示した。アンケートでは、「ニュース」「ショッピング」「銀行」など生活に関連する89項目について、1)何らかの行動を起こしたか、2)その行動でYahoo! JAPANのサービスを利用したか、という2点について調査を実施。このアンケートを分析すると、多くのユーザーが行動を起こしており、かつYahoo! JAPANの利用率が高い項目は「検索」であるという結果になったという。このことから、「検索は、ライフエンジンというヤフーのテーマにとって欠かすことのできないキーサービスである」と位置付けた。
また、ヤフーは「個々のユーザーにとっての『マイメディア』になることを目指している」として、ユーザーの趣味や趣向に合わせたサービスを提供していく上でも検索は重要な役割を担っているとした。
井上氏はその根拠として、Yahoo! JAPANにおける検索状況を分析したグラフを紹介し、検索はユーザーの多様な欲求に基づいていることを示した。Yahoo! JAPANの検索クエリーを回数の多い順に並べ、各クエリーが検索された回数を積み上げていくと、上位3,633位(検索回数1,000回)までのクエリーで検索全体の約18%を占める。
しかし、このグラフはクエリーの数を増やしていってもゆるやかにしか上昇せず、上位685,112位(検索回数10回)までのクエリーでも全体の約58%に止まっている。また、検索回数1回のクエリーがクエリー全体の約63%を占めている。このことからも、検索は多種多様なユーザーの興味に基づいて行なわれており、「マイメディア」という観点からも検索は重要なサービスであるとした。
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ユーザーの行動率(縦軸)と、その行動におけるYahoo! JAPANの利用率(横軸)では、どちらも「検索」の割合が高い
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検索回数の多いクエリー上位68万語を合計しても、検索全体の60%に満たない
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● 検索結果をユーザーがフィードバックできるサービスを提供
井上氏は、今後のヤフーの検索の役割について、現在提供している「Webサーチ」に加えて、特定の分野における検索を提供する「Verticalサーチ」、個々のユーザーに合わせた検索を行なう「Personalサーチ」、情報や知識を複数のユーザーで共有する「Sharedサーチ」を提供していくという方向性を示した。
このうち、Verticalサーチについては、すでにベータ版を公開している「Yahoo!商品検索」や「Yahoo!知恵袋」などがこれにあたるサービスになるという。
Yahoo!商品検索はショッピングサイトを横断的に検索できる検索サービスで、「お買い物の入り口としてNo.1になる、ECサイトをすべて網羅する」ことを目標として、20日には検索した商品に関連するキーワードの表示機能や、価格指定絞込み機能、カテゴリ指定絞込み機能などの機能拡張を行なったことを公表した。
また、ユーザー同士がQ&A形式で情報交換を行なうYahoo!知恵袋についても、2004年4月のベータ版公開以来順調に推移しており、すでに質問総数は約377万件、回答総数は約1,429万件、解決済みの質問総数は約173万件に達したという。
Personalサーチについては、米Yahoo!でベータ版を提供している「My Yahoo! Search」がその方向性にあるサービスだとして、「ユーザーが検索結果に対してフィードバックが行なえるサービス」になるとした。個々のユーザーが検索結果に対する評価をフィードバックすることで、検索結果のフィードバックの内容が反映される形のサービスになり、これをさらに進める形で、自分だけでなく友人や同僚のフィードバックも検索結果に反映されるようになることで、Sharedサーチが実現されるとした。
Yahoo! JAPANで現在提供しているサービスは約80種あり、そのうちログインが必要とされるサービスが55種ある。3月現在のログインユーザー数は1,310万IDに達しており、井上氏は「Yahoo! JAPANはPersonalサーチやSharedサーチの提供において、日本で最も高いポテンシャルを持っている」として、現在米国Yahoo!でベータ版として提供しているサービスなども含め、検索技術をベースにした新サービスを提供していきたいと語った。
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Yahoo!が提供する検索の役割と方向性
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検索結果に対してユーザーがフィードバックを行なえる「Personalサーチ」のイメージ
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関連情報
■URL
Search Engine Strategies Conference & Expo 2005 Japan
http://www.idg.co.jp/expo/ses/
Yahoo! JAPAN
http://www.yahoo.co.jp/
Yahoo!商品検索
http://psearch.yahoo.co.jp/
Yahoo!知恵袋
http://knowledge.yahoo.co.jp/
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( 三柳英樹 )
2005/04/20 19:55
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