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東京大学大学院情報学環の坂村健教授
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10月26日から東京ビッグサイトで開催されている展示会「WPC EXPO 2005」で、東京大学大学院情報学環教授の坂村健氏が「実用化に進み始めたユビキタス・コンピューティング」と題した基調講演を行なった。
坂村教授は、ユビキタスIDセンターの所長を務め、RFIDチップの開発や、それを用いたユビキタス・コンピューティングの実証実験、プロトコル標準化などに取り組んでいる。講演では、ユビキタス・コンピューティングの目的を「モノ、人、場所の3つのコンテクストを認識して、人間に負担をかけずに細かい最適制御を行なうこと」と定義。あらゆる場面で使えることから、インターネットと同様の汎用性があると強調した。
モノや場所に固有識別番号を付与するucodeは、10進数で38桁あまりの数値で構成される。ucodeの基本コードは128bit長で、必要に応じて128bit単位で拡張可能なため、番号が重複することはない。また、ucodeの数値は「識別コード」であり、バーコードで見られるように「45=トマト」などコード自体が意味を持つ「意味コード」ではないため、サーバーに接続して詳細情報を取得する仕組みだ。
坂村教授が描くユビキタス・コンピューティングとは、あらゆるモノや場所にRFIDタグを付け、チップのリーダ/ライタと、個別のモノの詳細情報を格納したサーバーを組み合わせた統合的なシステムを社会基盤として普及させることだ。現在では、ユビキタスIDを格納したRFID「ucode」の普及を図るため、世界各地で実証実験を行なっている。
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ユビキタス・コンピューティングの目的
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ucodeの基本
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坂村教授は、現実空間にあるモノを識別する技術としてEANコードを引き合いに出した。13桁の数値から成り立つEANコードは、1~2桁が国別コード、3~7桁が会社コード、8~12が品種コード、13桁がチェックデジットとなっており、商品に貼られる意味コードを読み込むだけで商品を識別できるのが特徴だ。
これに対して、識別コードであるucodeは、数値を読み込んでからサーバーに接続して情報を取得しなければ、モノを識別できない。坂村教授は「ネットワークアクセス環境が不可欠なところは欠点」としたが、13桁で構成されるバーコードでは、付与できるコードに限りがあると指摘。例えば100万本ある同じ商品のペットボトルに対して、バーコードでは1本1本を識別できないが、ucodeは「どれだけ付与してもなくならないため、同一商品の1つ1つに付与して、モノを識別できることが特徴」と強調した。
まだ実証実験段階だが、ucodeは食品や医薬品のトレーサビリティシステムとして採用されている。野菜のトレーサビリティでは、数万個の野菜にucodeを貼り付け、これをスーパー店頭の端末などで読み取ることで、生産地や生産者名、出荷日のほか、農薬などの使用履歴をモニター画面に表示する。「この野菜を作るために、誰が、どこで、どれだけの農薬を使って育て、いつ収穫し、どのような経路で流通したかということが、1つのucodeからわかる」という。
ucodeのリーダーとしては、「電話でucodeを伝え、そのモノの安全性を確認することも可能だが、それでは誰も実行しない」と語るように、読み取り装置を実装した携帯電話やPC、腕時計などが考えられる。例えば、弁当を食べる際に、もしその弁当に入っている卵に食中毒の危険性がある場合は、ucodeリーダーを搭載した携帯電話宛に通報する仕組みも想定できる。「“お弁当”を発信元とする電話で、『この卵は今日事故が報告されているので、食べると死にます』と警告することも可能」という。
RFIDとインターネットを利用した電子タグの運用・管理システムでは、米国のスーパーマーケット最大手のウォルマートなどで、在庫管理だけを目的として商品にRFIDチップを貼り付けるケースもある。これに対して坂村教授は、「商品のロスが多い米国ではサプライチェーンマネージメントに特化したRFIDチップのニーズが高い」と前置いた上で、RFIDは流通システムとしてではなく、エンドユーザーにメリットがいきわたるような社会インフラとなるべきとの考えを示した。
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ucodeは識別コード
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バーコードについて
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関連情報
■URL
WPC EXPO 2005
http://expo.nikkeibp.co.jp/wpc/top.html
ユビキタスIDセンター
http://www.uidcenter.org/japanese.html
■関連記事
・ 【WPC EXPO】坂村健教授、「ユビキタスIDとAuto-IDは方向性が違う」(2003/09/17)
・ 野菜だけでなく、畑や肥料も無線ICタグで管理~ユビキタスIDの実証実験(2004/01/08)
( 増田 覚 )
2005/10/26 20:15
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