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総務省総合通信基盤局高度通信網振興課の玉田康人氏
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光通信の専門技術展「第6回ファイバーオプティクス EXPO」で19日、総務省総合通信基盤局高度通信網振興課の玉田康人氏が、「次世代ブロードバンド構想2010」に関する講演を行なった。
次世代ブロードバンド構想2010は、総務省の「全国均衡のあるブロードバンド基盤の整備に関する研究会」が2005年7月にまとめたもので、2010年までに全国民がブロードバンドサービスを利用できる環境を整えることなどを提言している。
玉田氏は、「2001年に策定された『e-Japan構想』では、2005年までに日本がIT分野で世界に追いつくことを目標としていた。『次世代ブロードバンド構想2010』は、2010年には日本がフロントランナーとして世界を先導することを目標としている」と語り、構想の概要を説明。フロントランナーに求められる具体的な条件として、「デジタルディバイドの解消」「情報発信に強いより高度なブロードバンドの普及」「利用の高度化」「安全・安心なインフラ」の4つを挙げた。
特にデジタルディバイドの解消については、2008年までにブロードバンドが全く使えない市町村をゼロにし、2010年までに全国民がなんらかのブロードバンドサービスを利用できる環境にするという整備目標を掲げている。2005年3月の段階で、ブロードバンドサービスが全く利用できない市町村は207団体あるが、これを2008年までにゼロにすること。また、ブロードバンドが利用できない世帯は全国に約345万世帯あるが、これを2010年までにゼロにするという目標だ。
さらに、2010年には次世代双方向ブロードバンドを90%以上の世帯で利用可能とすることも目標としている。次世代双方向ブロードバンドについては、上り・下りとも30Mbps級以上の帯域が利用できることとしており、実質的にはFTTHの世帯カバー率を90%以上にしようという計画だ。
2005年3月時点では、ADSLの世帯カバー率は93%、FTTHの世帯カバー率は72%に達している。しかし、このカバーエリアは都市部に集中しており、残ったエリアはサービスとして採算が取れないという問題がある。これについては、中継区間に無線を利用するサービスや、衛星を利用したサービスなどでカバーしていくことを想定しているという。また、総務省では、サービス提供が困難な地域・自治体に対する交付金を新たに設けるとともに、事業者への税制面での優遇、低利融資などの拡充などを図り、整備を進めていくとした。
また、この構想は政府のIT戦略本部がこれまで進めてきた「e-Japan構想」を受け継いで新たに策定される「IT新改革戦略」にも取り入れられ、政府目標として整備にあたっていくことになるとの見通しも示された。
質疑応答では「構想は期待の持てる内容だが、カバーエリア100%というのは本当に達成可能なのか」という質問が寄せられた。これに対して玉田氏は、「例えば携帯電話のカバーエリアも100%にかなり近い所まで来ているが、本当に100%を達成しようと思うと最後の数%が非常に困難となる。一方で、『自分の住む地域はまだADSLすら使えないのでなんとかしてほしい』といった要望も多く寄せられている。政策や自治体・地域住民との協力、新技術などを活用して、ぜひとも2010年まで目標を達成したい」と意気込みを語った。
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ブロードバンドサービスの整備状況
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2008年までに全市町村、2010年までに全世帯でブロードバンドを利用可能に
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関連情報
■URL
第6回ファイバーオプティクス EXPO
http://www.foe.jp/
総務省
http://www.soumu.go.jp/
■関連記事
・ 2010年までに上り30Mbps級の次世代双方向ブロードバンドを9割の世帯に(2005/07/15)
( 三柳英樹 )
2006/01/19 19:07
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