モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)と翔泳社の主催によるイベント「mobidec 2006」が11月30日に開催された。「モバイル2.0の衝撃」と題したパネルディスカッションでは、携帯電話におけるWeb 2.0の可能性について語られた。
登壇者は、2ちゃんねるの管理人であり、ニワンゴの取締役でもある西村博之氏、DeNAの川田尚吾取締役COO、グリーの田中良和代表取締役社長。モデレータをKLabの真田哲弥代表取締役社長が務めた。
● 2ちゃんねるのビジネス化は困難
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ひろゆき氏
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西村氏はWeb 2.0について、「お金を払わないユーザーをいくら集めてもビジネスにはならない」と指摘。「広告モデルが儲からないことは、第1次ネットバブルが終わった頃に皆が確認しているはず。最近また広告モデルが上手くいくと思われている気がする。3年で皆は記憶なくしちゃうのかな」と話した。
携帯電話における2ちゃんねるについては、「全体の3~4割(1日約6,000万PV)は携帯からのアクセス。携帯向けは文字数や表示数が小さくなるので使い辛い。誰もしっかり見るよりは、電車の中とかで少しチェックする程度だと思う」とコメント。また携帯向けの検索エンジンについて、「携帯はPCのように何度もキーワードを入力して調べる文化がない。表示速度の問題もあり、まだ発展途上だろう」と述べた。
携帯電話でのビジネスについて西村氏は、「PCでは売れないが、携帯では売れるコンテンツもあるので、市場がなかったコンテンツが携帯経由で売られていくのではないか」とした。このほか、2ちゃんねるには知識情報量に優れたスレッドもあり、それをビジネス化する考えについて尋ねられたところ、「ビジネス寄りにすることも考えたことはあるが、今日も寝坊して遅刻したように、僕がビジネスに向いていないので難しい」と話し、会場の笑いを誘った。
● DeNAは携帯でNo.1サービス企業を目指す
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川田取締役COO
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Web 2.0が盛り上がる以前から消費者参加型メディアをオークションとして提供してきたDeNA。最近の傾向について川田氏は、「モバオクは予想を上回る伸びを見せた。世の中の多くの人は、PCではなく携帯電話がデフォルト端末になっており、そういったユーザーに利用されているため」と指摘。「携帯向けにもWeb 2.0的なサービスが出てきているので、これから伸びるだろう」と述べた。
DeNAが提供する携帯電話向けコミュニティサイト「モバゲータウン」については、「アバター購入時などにモバゴールド(仮想通貨)を使うが、ゴールドは友達を紹介したり、提携している広告サイトなどで登録すると貰える。仮想通貨を使って有料コンテンツに誘導し、収益を上げるモデルが成り立っている」と説明。また、「今後は携帯のブロードバンド化によって、サービスレイヤーでの市場規模が拡大するだろう。モバゲータウンではコンテンツを増やし、現在の会員数200万人から早期に1,000万人を目指す」と語った。
● グリーはKDDIとのサービスに注力
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田中社長
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グリーの田中氏は、KDDIと組んで提供している「EZ GREE」について、「auは回線ユーザー数的には3割のシェアだが、コミュニティサイトへのトラフィックを見るとドコモと半々だった。キャリアはコミュニティサービスをやりたがらない傾向があるが、auは以前から他が踏み込まない領域にもチャレンジしており、モバイルSNSをするにあたってパートナーに選んだ」と経緯を説明。「モバイルサイトは、あまり作ったことがなかったので、EZ GREEを作るにあたり、有名なモバイルサイトを見てデザインやサービスなどのトレンドを研究した」と述べた。
また、「PCは今年いっぱいで面白いサービスが出尽くした感がある。将来、考え付かなかったようなサービスが生まれる可能性もあるので、PC向けサービスはそれに向けて仕込みをしていく時期に来た。モバイルは今、面白いサービスを出す時期だと思う。我々としは当面、KDDIとのサービスを成功されることに注力する」とコメント。「これからのモバイルは、消費者参加型のサービスが加速してくるだろう。問題はビジネスモデルとして何が適しているのか。広告モデルは期待できないかもしれないが、多少なりともマーケットは存在しているので、これからの拡大に注目していく」と語った。
関連情報
■URL
mobidec 2006
http://www.mobidec.jp/
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( 野津 誠 )
2006/12/01 15:55
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