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P2P帯域制御、OP25Bなどプロバイダー側の規制に伴う法的問題〜ぷらら永田氏


 パシフィコ横浜で開催中の「Internet Week 2006」で6日、日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)の主催によるカンファレンス「インターネット上の法律勉強会」が開かれた。カンファレンスでは、ISPによるフィルタリングサービスの提供や、DDoS攻撃への対策などを行なっていく上で、運用面とともに法律面でどのような問題があるのかについて、ISPの担当者が講演を行なった。

 カンファレンスの冒頭では、ぷららネットワークス取締役技術開発部長の永田勝美氏により、P2Pトラフィックの帯域規制やWinnyのフィルタリングサービスの提供の導入に際して問題となった点などが語られた。


P2Pトラフィック規制によりスループットを改善

ぷららネットワークス取締役技術開発部長の永田勝美氏
 ぷららでは、2001年頃からP2Pファイル交換ソフトを使用している一部のユーザーの影響により、「速度が出ない、レスポンスが悪い」といったユーザーからの苦情を受けたことから、P2Pトラフィックの規制に向けて検討を開始。P2Pファイル交換ソフトのアプリケーション自体には違法性はないが、実際の使われ方としては著作権を侵害するような使われ方がメインとなっていることや、他のユーザーに与える影響が大きいことから、規約面とシステム面での対応を取ることにしたという。

 規約面では、2002年12月にぷららのサービス規約を改正。平均的な利用を大幅に超え、サービスに支障をきたす場合には契約を解除できるという条項と、著作権等の侵害にあたる行為や侵害のおそれのある行為については禁止行為とし、禁止行為を犯した場合にはやはり契約が解除できるという条項を追加している。

 システム面では、2003年11月にP2Pトラフィックの帯域制御を開始。帯域コントロールエンジンを導入し、WinMXとWinnyのトラフィック量を制限する措置を実施した。これにより、他のトラフィックには影響を与えることなくWinMXとWinnyのトラフィックを大きく削減することができ、ユーザーからのスループットに関するクレームもなくなったという。また、「帯域制御とは何か」「他のアプリケーションに影響はないのか」といった質問はあったものの、帯域制御を実施したことに対するクレームはほとんどなかったと、導入の効果を語った。


迷惑メール対策のOP25Bは効果は大きいがユーザーへの影響も

 スパムメール対策では、メールの送信に用いられるTCP 25番ポートの外部への通信を遮断する「Outbound Port 25 Blocking(OP25B)」が多くのプロバイダーで導入が進んでいる。スパムメールを送信する際には、プロバイダーが用意しているSMTPサーバーではなく、外部のSMTPサーバーを利用して大量に送信を行なうケースが多いため、外部のSMTPサーバーを利用できなくするためにTCP 25番ポートを遮断してしまうという方法だ。

 ぷららでも2005年から携帯電話宛のメールに対してOP25Bの導入を開始し、2006年からは全てのメールに対象範囲を拡大した。このように段階的に導入したのは、OP25Bを導入した場合に一般ユーザーへの影響も大きいためだ。OP25Bを導入すると、アクセス回線にはぷららを利用していて、メールは他社のホスティングサービスなどを使っているユーザーなどが、従来の設定ではメールが送信できなくなってしまう。これを回避するには、メールサーバーの側が別のポートを用いる「SMTP Auth」に対応する必要があるため、他社の対応も進まないと導入が難しいという事情がある。

 そこで、ぷららでは第1段階として、最もスパムメールが送信されている携帯電話宛のメールについてのみ、OP25Bを導入した。これにより、携帯電話宛の大量のメール送信が止まったことから、携帯電話宛のメールが遅延するといった苦情も大幅に減少し、迷惑メールを受信した携帯ユーザーからの苦情も激減。一方で、OP25B実施に伴う苦情や問い合わせは全くなかったという。

 さらに、第2段階として2006年7月からは全メールを対象にOP25Bを導入した。これにより、迷惑メールの総数や迷惑メールに対する苦情などは大きく減少したが、一方では「メールが送信できない」といった問い合わせも多く寄せられた。永田氏は、問い合わせは徐々に減少しているものの、ユーザーがSMTP Authを利用するためには設定の変更が必要になることなどから一定の問い合わせは続いており、OP25Bを導入する場合にはユーザー対応が重要になると述べた。


Winnyの遮断サービスは「標準でON」の状態でユーザーに提供

 ぷららではP2Pトラフィックの帯域制御を行なってきたが、2006年にはさらにWinMXやWinnyの通信を遮断する措置についても検討を開始した。これまではWinMXやWinnyについては帯域を絞るという措置であったが、情報漏洩ウイルスの蔓延などが問題になったことから、WinMXやWinnyによる通信を全くできないように遮断しようとするものだ。

 永田氏は遮断を検討した背景について、「プロフェッショナルユーザーが中心だった初期の時代から、利用者はビギナー層に拡大しているという状況があり、インターネットを安全、安心に利用できる環境を簡単に実現できるサービスがプロバイダーにも求められている」と説明。ユーザー側でソフトなどをインストールすることなく、プロバイダー側でセキュリティサービスを提供することで、ユーザーに対して安全な環境が提供できるとした。

 ぷららでは、2006年4月から総務省との間で遮断方法について法的な面なども含めて議論してきたが、5月には総務省が「利用者の同意なく完全規制を実施することは通信の秘密の侵害にあたる可能性がある」と判断したことから、希望者のみに遮断サービスを提供するなどサービス内容を調整し、6月からサービスを開始した。

 総務省との間で議論となったのは、Winnyの規制・遮断が通信の秘密を侵害することになるのかという点に加えて、通信事業者の役割とは何かという点にあったという。総務省側では、通信事業者の役割は“土管”のようなもので、通信はなるべくそのまま運ぶべきであるという意向が強かったのに対して、ぷららは「通信事業者にはユーザーに安心・安全なネットワークを提供する役割がある」と考えており、この点が議論のポイントになったという。

 議論の結果、ユーザー全員に対する遮断ではなく希望者のみにフィルタリングサービスという形で提供することになったが、ぷららとしては標準の状態でフィルタリングを「ON」の状態で提供したいと考えた。そこで、総務省主催の懇談会で、迷惑メールへの対策としてフィルタリングサービスを初期状態でONにするための条件について整理されていたことから、これを参考にしてサービスを導入したという。

 この懇談会では、迷惑メールのフィルタリングサービスを初期状態でONにするための条件として、「ユーザー側で設定の変更ができること」「フィルタリングサービスの利用の有無に関わらず、他のサービスの提供条件は同一であること」「フィルタリングサービスの内容が明確に限定されていること」「アンケート調査等によって、通常の利用者であればサービスの提供に同意することが推定されること」「利用者に対して事前に十分な説明をすること」という5つの条件が示されており、これをWinnyフィルタリングサービスの導入にあたっても適用した。


 ぷららでは、事前のアンケート調査でWinnyフィルタリングサービスについては82%が「必要」と答えたことから、サービス開始の1カ月前にフィルタリングサービスの事前設定画面を用意。WinnyフィルタをONにするかOFFにするかをユーザーが選択できるようにし、設定しなかったユーザーはフィルタをONにする措置を実施した。これにより、事前に設定したユーザーは全体の8%だったが、そのうちフィルタをOFFにした割合はは27.9%にとどまった。結果として、サービス開始時には97.8%のユーザーがWinnyフィルタをONの状態で提供することになったという。

 永田氏は、こうしたP2P制御やOP25Bについて、パケットの宛先や内容などでプロバイダーがフィルタリングを行なうことは、「通信の秘密に抵触するが、正当業務行為として違法性阻却事由にあたる」という解釈が取られていると説明。また、URLフィルタリングやWinnyフィルタリングサービスなどのサービスについては、利用者の同意を得た上で前述の5条件をクリアすることで、標準でフィルタリングをONにした状態でユーザーにサービスを提供することも可能だとした。

 永田氏は、「すべての人に快適なインターネットサービスを提供すべく、インターネット接続サービスだけでなく、映像配信やIP電話など上位レイヤーのサービス提供にも積極的に取り組んでいきたい。そのためには、安心して安全にインターネットを利用できる環境を構築することが、プロバイダーの役割だと考えている。技術革新や法的な整備を皆さんと共に進めていくことで、よりインテリジェントなプロバイダーを目指していきたい」と語り、講演を締めくくった。


関連情報

URL
  Internet Week 2006
  http://internetweek.jp/

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( 三柳英樹 )
2006/12/06 17:01

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