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知財分野でタイムスタンプ活用を、「先使用権制度」で十分な“証拠力”


 日本データ通信協会のタイムビジネス協議会(TBF)と、次世代電子商取引推進協議会(ECOM)の共催による「電子署名・タイムスタンプ普及フォーラム2008」が28日に開催された。医療・建設業界における電子署名の取り組み状況などが報告されたほか、知的財産分野におけるタイムスタンプの重要性も指摘された。

 タイムスタンプとは、「ある電子データがある時点で存在していたこと(存在証明)」と「その後、その電子データが変更されていないこと(非改竄証明)」を証明するための手段。電子データのハッシュ値と標準時刻を結合して保存しておく仕組みだ。

 例えば、国立印刷局の官報情報検索サービスでは、「官報」をPDFでダウンロード公開するにあたって、電子署名とタイムスタンプを付与しているという。電子署名とタイムスタンプの検証用プラグインソフトも無償ダウンロード提供しており、これをインストールしておけば、タイムスタンプやデータが改竄されていないかどうかを確認できる。


タイムスタンプにできること 官報情報検索サービスでの利用事例

判例はまだないが、タイムスタンプには「十分な証拠能力」

冊子「知的財産におけるタイムスタンプ活用ガイド−ノウハウの戦略的防衛のために−」を紹介する、アマノタイムビジネス代表取締役社長の内藤隆光氏

先使用権制度の考え方
 今回のフォーラムでは、TBFの副会長および知的財産サブワーキンググループの主査を務める、アマノタイムビジネス代表取締役社長の内藤隆光氏が講演。TBFが作成・配布している冊子「知的財産におけるタイムスタンプ活用ガイド−ノウハウの戦略的防衛のために−」を紹介しながら、特許権に関連して今後はタイムスタンプの重要性が高まってくることを説明した。

 内藤氏によると、特許庁には年間40〜42万件の出願があり、1年半後には全件が公開される。しかし、そのうち審査請求まで行なうのは約3分の2で、さらに特許権を取得するのはその半分。その結果、出願された発明などの約3分の2は、公開されるだけで終わってしまい、これが技術の流出につながるという。

 そこで、企業が知財戦略上とりうる選択肢の1つとして、特許権取得まで辿り着かないのならば、最初から発明や技術を社内に秘匿しておき、「先使用権制度」で防衛するという手段が考えられる。先使用権制度とは、ある発明が特許出願される以前から同じ発明をすでに完成させて事業を実施または準備していた「先使用者」に対して、その特許権の通常実施権が無償で与えられる制度。すなわち、特許の先願主義の例外として、たとえ他者が同じ発明の特許を取得したとしても、先使用者が事業を継続できるよう配慮しているわけだ。

 このことから、他者が特許を出願した時点より前にすでに発明が完成しており、事業の準備をしていたことを証明する客観的な証拠が重要になってくる。タイムスタンプは、社内資料などを電子データとして保存しおく際に有効な手段となる。

 特許庁が2006年6月に策定した先使用権制度のガイドラインでは、先使用権を立証するための具体的な手法の1つとして、タイムスタンプを紹介している。これによれば、「タイムスタンプには、法的な確定日付効はない点に注意する必要がありますが、時刻の先後に関する一つの証拠として、簡便な手法であり、有益であると考えられます」とされている。

 内藤氏によれば、「法的な確定日付効がない点」とは、現時点の法制度において確定日付として認められる公証人や内容証明郵便のような絶対的な証拠ではないということ。しかし、「十分な証拠能力はある」としており、判例が1つでもあれば、タイムスタンプが十分な証拠になるという見解を法務省の担当者も示しているという。


タイムスタンプサービスの信頼性について認定制度も

 タイムスタンプサービスの信頼性を判断するための目安としては、「タイムビジネス信頼・安心認定制度」がある。これは、総務省が2004年11月に策定した「タイムビジネスに係る指針」を踏まえ、日本データ通信協会が定めた基準を満たしたサービスを認定する制度。これに認定されているタイムスタンプサービスであれば、十分な信頼性と安心性を確保しているという。認定の有効期間は2年となっており、定期的に更新することで信頼性・安心性を検証・維持する。現在、時刻配信業務で4つのサービス、時刻認証業務で5つのサービスが認定されている。

 知財管理にタイムスタンプを導入する方法としては、小規模な場合はPC内でタイムスタンプを打つ方法で十分だという。一方、大企業ですでに電子文書の管理システムがあれば、それにタイムスタンプのソリューションを追加するかたちになる。また、自社でタイムスタンプのためのシステムを構築しなくても、インターネット上で提供されているSaaSなどのサービスを利用する方法もあるとした。


「タイムビジネス信頼・安心認定制度」のロゴなど ユーザーPCでタイムスタンプを打つシステム

大規模な文書管理システムと組み合わせたシステム SaaSなどインターネット上のサービスを活用するシステム

弁護士の牧野二郎氏
 フォーラムでは、弁護士の牧野二郎氏も「日本における個人ID番号の議論」と題して講演し、“国民総背番号制”や住基ネットの議論における問題点を整理するとともに、対応策として考えられる方向などを示した。

 また、タイムスタンプがなかなか普及しない理由として、「タイムスタンプがなぜいいのかということを、技術者は左脳の世界で説明してきてはいないか」と指摘。これに対してSuicaやPASMOなどはそのような説明をしなくてもブレイクしてしまう点を挙げ、「ブレイクするのは、どちらかというと右脳の世界。感覚的に便利、感覚的に安全──その感覚をどう作るかだと思う。なんとなく安心だとみんなが思うレイヤーはどこか探し、そこにポイントを絞って説明する。普及のポイントはそこにあるような気がする」などとコメントした。


関連情報

URL
  タイムビジネス協議会
  http://www.dekyo.or.jp/tbf/index.html

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( 永沢 茂 )
2008/02/29 17:24

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