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NHKの番組を会員ユーザー間で交換できるP2Pサービス


 NHK放送技術研究所(NHK技研)にて、5月22日から25日まで開催中の「技研公開2008」では、VODサービスのセキュリティ技術やP2Pを利用した個人間の番組交換サービスなどを展示している。


視聴契約を携帯電話に保存する技術

VODサービスのセキュリティ技術
 VDO関連では、コンテンツの視聴契約(プリペイドチケット)を携帯電話に保存できる技術を展示している。携帯電話をチケット代わりにすることで、他のPCでも同じ契約内容でコンテンツを利用でき、別途IDなどを入力する必要がない。携帯とPC間の通信は暗号化されている。

 また、ダウンロード購入したコンテンツを不正に再配信したユーザーを特定するフィンガープリント技術を展示している。現在は、配信したコンテンツについて、ユーザーごとにフィンガープリントを付加する技術と、フィンガープリントを書き換えた場合でもユーザーを特定できる技術を開発している。

 コンテンツがそのまま再配信された場合、フィンガープリントにより、元の持ち主を特定できる。さらに、結託者同士がフィンガープリントを合成・改竄した場合でも、再配信したユーザーを特定できるという。「番組自体は暗号化して配信されるが、さらに、フィンガープリントを不正再配信の抑止力として利用する」(説明員)。

 ただし、現在は、結託者が2人の場合のみ追跡可能で、2人のうちどちらかを特定できるという。「2人を同時に特定しようとすれば、誤検知する可能性が高くなる」とのこと。「現在、3人以上でも追跡できるように開発を進めている。10人程度に対応できないと実用化は厳しい。将来的にはNHKオンデマンドのようなVODサービスに導入したい」(説明員)。


プリペイドチケットの購入イメージ 開発中のフィンガープリント フィンガープリントのデモ。結託攻撃の場面

受信機のID認証で、ユーザー間のコンテンツ交換を可能に

 P2P関連では、会員ユーザー間で安全にコンテンツの交換を可能とする技術を展示している。同技術は、登録された受信機かどうかを複数の受信機間で相互に認証できるものだ。

 P2Pを利用したコンテンツ流通では、事業者から配信されるだけでなく、欲しいコンテンツをユーザー間でやりとりできる。これにより、ユーザーが増加した場合でも、事業者はサーバーや回線費用に悩まされることがない。ただし、契約者以外にもコンテンツが流れる危険性もある。

 今回の技術では、ユーザー間でコンテンツ交換の要求があった場合に、要求者が同じサービスの会員であるか否かを受信機でID検証する。検証は、複数の会員の受信機で相互に行ない、最終的に要求者のIDが認証されたら、コンテンツ交換が可能となる。「課金については、月額制を想定してる」(説明員)という。


PSPサービスのセキュリティ技術 受信機間で番組を交換するイメージ

映像がなんとなく見えるスクランブル技術、デジタルでも実現

 このほか、コンテンツの購入前に番組内容を確認できるスクランブル技術を展示。同技術は、P2Pを利用した安全なコンテンツ交換を補完するもので、購入契約済みの映像は正常に表示されるが、購入前だと映像がスライスされたように乱れる。「映像が全く見られないと、買おうという気が起きない。アナログのCS放送だと契約前になんとなく映像が見えるが、今回の技術はデジタルでそれを実現している」(説明員)。

 「放送技術の活用と展開」ゾーンでは、画面やスクリーンを再度撮影した映像からでも権利情報を検出できる「再撮耐性を有する電子透かし技術」を展示している。デジタルコンテンツを提供する際に、著作権情報や時刻情報などをリアルタイムでハイビジョンコンテンツに埋め込むことが可能という。画面やスクリーンを斜めから撮影したり、編集などにより一部が欠落しても情報を検出できる「空間同期信号」や「時間同期信号」も同時に埋め込まれている。


デジタル放送のスクランブル技術イメージ 再撮耐性を有する電子透かし技術 検出装置のデモ画面

関連情報

URL
  技研公開2008
  http://www.nhk.or.jp/strl/open2008/

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( 野津 誠 )
2008/05/22 12:39

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