日本放送協会(NHK)と三菱電機は5日、映画スクリーンに表示された映像を再度ビデオカメラで撮影しても、映像を再撮した場所や時刻などを特定できる電子透かし技術を開発したと発表した。近年問題になっている、映画の盗撮映像を収録した海賊版ビデオの流通を抑制できるとしている。
今回開発したのは「再撮耐性」を持つ電子透かし技術。「再撮耐性」とは、一旦テレビ画面や映画スクリーンに表示された映像を再度ビデオカメラで撮影しても、その撮影画像の透かしの情報が損なわれずに検出できるというもの。画面やスクリーンを斜めから撮影したり、コンテンツの一部が欠落したりしても情報が検出可能としている。これにより、海賊版がどの映画館で撮影されたかを追跡でき、映画の盗撮防止に効力を発揮するとしている。
電子透かしとは、映像などの信号を人間の視覚に認識不可能なレベルでわずかに変化させることにより、その映像を特定できる情報を埋め込む技術。従来は、アナログやデジタルコピーによる違法な複製を防止するため、この技術が研究・開発されてきた。
しかし最近では、カメラの小型化・高画質化が進んだことから、映画スクリーンなどを撮影した映像が海賊版ビデオとして流通したり、インターネット上で公開されることがあった。2007年8月には、映画館における映画の盗撮行為を違法とする「映画の盗撮の防止に関する法律」が、著作権法の特別法として制定されている。
NHKと三菱電機では、「将来、本技術のデジタル放送やネット配信ビデオを表示するディスプレイへの導入が行なわれれば、幅広い映像の著作権保護への適用が期待できる」とコメントしている。
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海賊版の流出と電子透かし活用の一例
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関連情報
■URL
NHK
http://www.nhk.or.jp/
三菱電機
http://www.mitsubishielectric.co.jp/
( 増田 覚 )
2007/12/05 16:46
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