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ネットの有害情報対策、大人が子供にできること・するべきこと


EMA事務局の岸原孝昌氏

EMAの代表理事を務める一橋大学名誉教授の堀部政男氏
 携帯電話向けコンテンツの健全性を審査することなどを目的に設立されたモバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)が4日、「法規制と民間の取り組みの最適バランスを考える〜ネット社会を前提とした、青少年保護と健全育成を実現する責任ある施策とは〜」と題したシンポジウムを東京都内で開催した。

 シンポジウムの冒頭、EMA事務局の岸原孝昌氏があいさつした。岸原氏は、“青少年ネット規制法案”が与野党合意に達し、国会で成立する見込みであることに関して、今後、有害情報への対策を展開していく上では「民間の自主的な取り組みと、法規制あるいは法機関の取り組みとのバランスをとっていくことを現実的に考えていかなければならない。国が主導するか、民間が主導するかという二律背反的な考えでは、なかなか目的を達成できないのではないか」と指摘。また、「インターネットについては悪い面ばかりが喧伝されているが、本来は使い方の問題。どのようにして健全に活用していくべきかというところを考えていくべき」ともコメントした。

 EMAの代表理事を務める一橋大学名誉教授の堀部政男氏は、EMAが5月30日、「第2回インターネット上の違法・有害情報に関する関係閣僚意見交換会」において、法制度の方向性について、関係大臣らに対して行なった意見表明の内容などを説明した。「言論及び表現活動へ国家をはじめとする公権力による恣意的な関与がなされない法制度とすべき」「多様な目的や機能をもった民間の組織や活動が認められる法制度とすべき」「利用者及び事業者が多様な基準から選択できる権利が保障される法制度とすべき」という3項目を示したという。


携帯フィルタリングは、国ではなく保護者が関与すべき

全国高等学校PTA連合会会長の高橋正夫氏
 全国高等学校PTA連合会会長の高橋正夫氏は、小学生から高校生まで一律のポリシーが適用される現状のフィルタリングが義務化されることについて、あらためて疑問を投げかけた。

 ただし、フィルタリングそのものに反対しているわけではなく、「みなさんはフィルタリングを緩くすることをお考えかもしれないが、保護者の立場からすれば、未成年のうちは、保護者の権限できつめのフィルタリングをかけてもかまわないのではないか」とコメント。国が関与することではないと訴えた。

 さらに、ネット上の違法・有害情報対策については現在のことろ、青少年の利用におけるフィルタリングが主に議論されているが、大人の対策の必要性も指摘。現在のネット上の情報は「無法地帯の気がしてならない」と述べ、青少年の利用の観点から審査するだけでなく、「せっかくEMAのような機関が設立されたのだから、児童ポルノなどを含めて、大人社会のネットの審査もある程度考慮していただきたい」と要望した。「18歳までの子供は保護して、19歳になったら被害に遭ってもいいということではない。子供が成長してフィルタリングを外した時、今以上に乱れたネット社会になっていたら非常に恐い。もう少し幅広い体制ができればいい」という。

 高橋氏このほか、保護者自身のITリテラシー教育の必要性も訴えた。


“規制”するだけでなく、“推奨”と“学び”も重要

ビジネスコンシェルジュ・ネット教育アナリストの尾花紀子氏

IT環境誕生前に育った大人たちにできること
 ビジネスコンシェルジュ・ネット教育アナリストの尾花紀子氏は、IT環境が整う前の時代に育った30代以上と、生まれた時にはすでにパソコンなどがあった20代以下との間に横たわる意識の大きな溝という観点から、現在起きている問題を解説した。

 尾花氏によると、30代以上は主にビジネスツールとしてITを使い始めた世代のため、その使い方は「お行儀がいい」という。一方20代は、プライベートのツールとしてインターネットや携帯電話を使い始めた世代。その結果、彼らが社会人になった後、会社の会議で出た話を次の日に自分のブログに書くというトラブルも実際に発生しているのだという。

 30代以上では「機密情報はネットに流さない」のが常識だが、20代以下は「ブログは友達が読むもので、取り引き先が読むとは思っていない」。尾花氏は「この溝を埋めようとして、大人が自分たちの理解できる範囲で何かしようとしているから奇妙なことが起きる」とし、「理解するのは不可能とスパッとあきらめ、もう世代が違うんだと思って、ゼロから教えないといけない時代になっている」とした。

 一方で、ITを使いこなしている子供たちの可能性も強調する。例えば、子供たちが「リアル」と呼んでいる、リアルタイムの実況掲示板があるという。これは、友人とのメールの“応酬”に疲れた子供たちが考えたもので、塾に行く前やお風呂に入る前などにその旨を掲示板に書き込んでおくことで、友人はその時間を避けてメールしたり電話すればよく、なかなか返信が来ないので無視されたなどとするトラブルがなくなるという。

 こういった世代が社会人になれば、会社の中に開設した共有掲示板などをごく普通に使いこなすだろうと述べ、「フィルタリング義務化で掲示板がダメとなれば、その芽を摘んでしまう」と指摘した。

 尾花氏は、「いい素養を持っている子供たちがこれから生きていって、この社会を真っ直ぐに保ってもらうためには、彼らのいいところを生かしながら、大人の“知識”と“経験”と“判断力”で、子供たちを正しい方向に育ててあげる必要がある」と述べる。経験と判断で“規制”しようとすることが多いが、判断力と知識をもとに、子供たちを正しい道に導くために“推奨”もできると説明。さらに、知識と経験に基づき“学び”を与えることも可能だとし、「この3つなくして、今の子供たちにこれからの日本経済を支えてもらうことはできないのではないか」と強調した。


関連情報

URL
  モバイルコンテンツ審査・運用監視機構
  http://www.ema.or.jp/

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( 永沢 茂 )
2008/06/05 11:10

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