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米Microsoftでコーポレートバイスプレジデントを務めるブラッド・ブルックス氏
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幕張メッセで開催中の「CEATEC JAPAN 2008」で30日、マイクロソフトが講演を行い、コンシューマ市場向けの「Windows」ブランドを刷新することをアピールした。Windowsが、PC向けのOSという枠を超え、携帯電話やWebをシームレスに連携することで、新たな付加価値の提供を目指す。
新しいWindowsのブランドコンセプトは、「Windows Life Without Walls(壁のない世界へ)」。新ブランドでは、「Window Vista」「Windows Live」「Windows Mobile」といった製品の上位概念となるプラットフォームとして「Windows」を位置づけ、Windowsブランドを再定義する。
米Microsoftでコーポレートバイスプレジデントを務めるブラッド・ブルックス氏は、新たなWindowsの方針をこう説明した。「あらゆる壁を乗り越えて人々のコミュニケーションを促すとともに、10億人のWindowsユーザーに選択肢を与える。新Windowsでは、家庭や職場だけでなく、移動中や娯楽中にも『壁のない世界』を体験できるだろう」。
● PC、モバイル、Web、テレビの「壁」を取り払うサービスを披露
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Touch Diamondを使ったデモでは、その場で撮影した画像がWindows Live スペースにアップロードされた
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スカパー!Netてれび
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「壁のない世界」を実現する具体例としては、HTCが手がけるWindows Mobile搭載のスマートフォン「Touch Diamond」のカメラを使ったデモを紹介。その場で撮影した画像をブログサービス「Windows Live スペース」のオンラインフォトアルバムにアップロードし、Internet Explorerから閲覧したり、サイドバーガジェットやデジタルフォトフレームに表示させるなどした。
また、PCとテレビの「壁のない世界」としては、PC向け有料コンテンツ配信サービス「スカパー!Netてれび」が発表された。これは、スカイパーフェクTVの放送番組をWindows Vistaプレミアムエディションの標準搭載機能である「Windows Media Center」向けに配信するものだ。
30日のサービス開始時点では、「ナショナルジオグラフィック チャンネル」「Baby TV こどもえいごちゃんねる」「囲碁・将棋チャンネル」「パチ・スロ サイトセブンTV」の4チャンネルを開設、12月には「ディズニー・チャンネル」を追加する予定。
各チャンネルは、スカイパーフェクTVと同じ時間帯に同じ番組を配信するサイマル放送。視聴するには、スカイパーフェクTVの公式Webサイトから専用ソフトをダウンロードし、会員登録と月額利用料が必要となる。
なお、NEC、富士通、東芝が2009年春モデル以降に発売するPCには、「スカパー!Netてれび」の専用ソフトがプリインストールされる。スカイパーフェクト・コミュニケーションズ代表取締役執行役員社長の仁藤雅夫氏は、「直感的で非常にわかりやすいインターフェイス。2009年春モデル以降のPCでは、簡単な操作のみでスカイパーフェクTVの多チャンネルを視聴できるようになる」と述べ、テレビとPCのシームレスな連携をアピールした。
このほか、地上デジタル放送対応のWindows Media Center向け「テレビ連携サービス」が、フジテレビとTBSから提供されたことも発表。同サービスでは、ショッピング番組で紹介されているおすすめ商品が配信されるガジェットから、Windows Media Centerで放送中の番組を視聴したり、商品情報を掲載するサイトにアクセスできる。
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スカパー!Netてれびは、Windows Media Centerからアクセスする
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「スカパー!Netてれび」で「ナショナルジオグラフィック チャンネル」を表示させた画面
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地上デジタル放送対応のWindows Media Center向け「テレビ連携サービス」
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● Microsoftの原点に立ち戻りコンシューマ事業を強化
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マイクロソフト日本法人で代表執行役副社長を務める堂山昌司氏
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これまでMicrosoftは、企業向けブランドと思われがちだったとブルックス氏は振り返る。しかし、同社は1975年に「人間の創造性を発揮するためにあらゆる家庭でPCを拡大する」という目的で設立。「そもそもはコンシューマ市場に根ざしたものだった」と述べ、今後は「かつてない投資で」コンシューマ市場に取り組むと意気込みを示した。
同様に、マイクロソフト日本法人で代表執行役副社長を務める堂山昌司氏も、「法人向けサーバー事業という印象が強いが、原点はコンシューマ事業。あれから数十年で当時を忘れてしまってはいないか、ということでコンシューマ事業に立ち戻る」と原点回帰を強調。PCやモバイル、テレビ、Webなどのプラットフォームの壁を取り除けるのはWindowsだけだと訴えた。
「PC、モバイル、Webのプラットフォームは進化しているが、それぞれが独立していて、本当の意味でシームレスにはなっていない。3つの世界を結び付けるとは、いろんなところで言われ続けているが、それを唯一できるのがMSのWindowsだと信じている。今後は、パートナー企業と実現に向けて取り組んでいきたい。」
その一方、現在展開しているVistaについては、品質に疑問を投げかける声も少なくないという。これに対してブルックス氏は、「すでに1億4000万以上が使われている」と反論。さらにセキュリティ面では、「2007年に見つかった問題点はXP SP2の半分。Vistaを使っていれば、他のOSに比べてマルウェアの被害を受ける確率は6割以上少なかった」とアピールした。
「Windows OSそのものが偉大なプラットフォームという自負がある。Vistaの次のOSとしてはWindows 7が登場するが、『壁のない世界』はそれを待たずして実現できる。今後は、モバイル分野へもさらなる投資を行い、これまで以上にシームレスな体験ができるようになるだろう。」
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今日展開しているWindows
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今後登場するWindows
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● 日本初公開の新インターフェイス「Surface」
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水面に手を触れると、それに応じて波紋が現れる
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新Windowsではこのほか、インターフェイスにも注力するとし、日本初公開となる新インターフェイス「Surface」のデモが披露された。
Surfaceは2007年5月に米国で発表されたもので、タッチセンサーを搭載した30インチのテーブル型コンピュータ。デモでは、ディスプレイに映し出された水面に手で触れると、それに応じて波紋が現れる様子が紹介されたほか、音楽や画像を手によるドラッグ&ドロップで操作するシーンが映し出された。
Surfaceの開発は米国本社のほか、日本と北京で行われている。現時点では、製品化の予定は未定だという。
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音楽プレーヤーも手によるドラッグ&ドロップに対応。再生ボタンやボリュームの調整も手で操作できる
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実際のテーブルに乗っている写真を振り分けるように操作できる
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関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3538
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( 増田 覚 )
2008/09/30 20:12
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