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楽天代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏(左)と慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特別招聘教授の夏野剛氏(右)
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慶應義塾大学SFC研究所主催のイベント「SFC Open Research Forum 2008」で22日、パネルディスカッション「イノベーションは止められない」が行われた。楽天代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏と、元NTTドコモ役員で慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特別招聘教授の夏野剛氏が登壇。同大学の村井純教授ら客席からの飛び入り参加者も交え、ITビジネスを推進するで欠かせないイノベーションの必要性について語り合った。
会場ではまず第1部として、「ネットビジネス・イノベーション研究コンソーシアム」の設立が発表された。参画者の1人である慶應義塾大学SFC研究所長で総合政策学部教授の國領二郎氏からは「安心・安全という言葉がマジックワードになって、さまざまな規制強化のいいわけにはなっていないか」という危機感が示された。現在の日本は既存の枠組みを維持することに注力しすぎており、将来的な社会発展に欠かせないイノベーションの誕生を阻害している懸念がある。それを打破するための研究・討論を共同で行っていくのが設立の狙いという。
コンソーシアムでは市場調査をはじめとした研究だけでなく、具体的な政策提言にも踏み込む計画。また、最終的には議員らと折衝するロビイストの養成も視野に入れていく。なお、同コンソーシアムにはヤフーやマイクロソフト、楽天など、IT系企業が10社程度参加する予定という。
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司会を務めた慶應義塾大学の國領二郎教授(右)と金正勲准教授(左)
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コンソーシアムの設立趣旨。三木谷氏も楽天として協力していくという
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● 三木谷氏、夏野氏が持論を展開
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慶應義塾大学の村井純教授も飛び入り参加
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三木谷氏からは、さまざまな規制が生まれる背景に政府官庁の審議会の存在を挙げる。これら審議会は“官庁が求める結論ありき”で、まともな討論が行われていないと指摘する人も多い。三木谷氏自身もその考えに同調。国民の意見を募るパブリックコメントなどについても「審議会の言い訳を正当化するだけのもの」と厳しく批判する。消費者保護のの重要性を十分に認めつつも、コストがかかりすぎるなど非効率的な規制は阻止すべきと三木谷氏は主張し、審議会の模様をネット配信するのも1つの対処策と述べた。
一方、夏野氏は会場からの質問をきっかけに「考えなくて済む現代」「異なる年代の人間と話さずに済む社会」への憂いを示した。世代や生活環境によって異なるさまざまな考えを持つ人たちと触れあう必要が少ないため、意見を衝突させず楽に生きていけるのではないかという視点であり、ネット先進国かつ多人種社会の米国との大きな違いだとまとめる。
会場の客席で2人の対談を聞いていた慶應義塾大学の村井純教授がここで飛び入り参加。日本の将来を「自分は極めて楽観的に見ている」と語った。村井氏によると、パケット通信を連続的に中継していくインターネットの仕組みは、電気通信事業法的には現在でもグレーゾーンなのだという。それにもかかわらず普及したインターネットを、今現在、日本では活用できていることこそが大きな力だと村井教授は力説。さらに「『ちょっとヤバそうだけどやってみたら支持された』というように、クリエイティビティを自由に発揮し、すぐに試せることがインターネットの素晴らしさ」とも補足した。
三木谷氏は、セッションの本筋からは外れるもののTBS株買収問題にも言及。「(購入した)株式が値下がりしていて大変。どうしようか考えている」とやや冗談めかして会場を笑わせたが、「景気が回復した後、テレビ局のCM数が回復するかは疑問もある」と、広告を中心としたテレビ局経営には限界があるとの見解を提示。YouTubeなどに代表されるオンラインでの動画配信サービスへ広告がシフトしていく将来像を展望した。
夏野氏は、言語上の理由で世界へ羽ばたけていない邦画などを例に「高機能なのに海外へ売れない携帯電話をはじめ、日本にはもったいなサービスがたくさんある」とコメント。「やれることはまだまだたくさんある。だからやるしかない。やりたいことがやれない社会にだけはなってほしくない」と、規制などを理由に新しいビジネス立ち上げが阻害される社会への嫌悪感を改めて示した。
関連情報
■URL
SFC Open Research Forum 2008
http://orf.sfc.keio.ac.jp/
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( 森田秀一 )
2008/11/25 12:33
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